ドラッカーは言います。
「マーケティングとは顧客スタートすることである。」
「マーケティングは経営の最重要な目標である。」
経営において一番大切なことは、マーケティングであると言うのです。
それではマーケティングとは何でしょうか。マーケティングとは英語で書くと、Market+ingつまり市場の中とか、市場の中からという意味です。
これは、企業のすべての活動を企業の中(社長室、会議室の中)からではなく、市場の中・現場から、一番厳しいお客様の視点で適正化し、価値向上を目指していくという意味なのです。
コトラーは言います。
マーケティングに一番危険な場所はデスクの上である。
(デスクの上、企業の中からは市場は全く見えないという意味です。)
そしてドラッカーは
「企業が顧客について想像することの大半は間違いである。顧客のことは複雑すぎて顧客にしかわからない。顧客に【直接】質問せよ。」
よりシンプルに言うと、マーケティングとは市場の中に身を置いて、顧客を深く理解することなのです。
よく、企業の会議室の中、研究室の中だけで開発された商品が、市場に出してみて大失敗するのは、顧客のことが全く理解できず、企業の一人よがりで創っているからです。
経営者は常に・市場の中・顧客のもとに身をおいて、外部を中心に自社を把握しなければなりません。
ウォルマートの創業者は、世界的な小売り企業へと成長を遂げた後でも、必ず店頭に立ち、顧客と話していたそうです。まさに市場に身を置き、自社は顧客視点で見るというマーケティングの重要性を認識していたのです。
またあるGMの創業者も、一年の内数週間は休暇を取ると、自分の身分を隠して、車のディーラーにアルバイトをしにいって、顧客の生の声を聞き、市場を把握するための活動をしていたと言います。
ドラッカーはマーケティングでは自社の中からではなく、窓の外を見て、外部を中心に自社を把握する【アウトサイドイン】の視点が重要だと言います。
自社を市場から、アウトサイドインの視点で捉え、事業を適正化し、顧客への価値向上につとめていくことが重要なのです。
是非下記の動画もご参考になり、マーケティングを全社で理解し、実践されてみて下さい。
動画【ドラッカーのマーケティングとは何か?】【ドラッカー・経営セミナー】
■現場のアクションプラン
【1】週に一度、社長自身が「市場の中」へ出る
会議室の資料からは、本当のお客様の姿は見えてきません。売り場、納品先、お客様の職場。実際に足を運び、生の声を一つでも多く持ち帰る。その時間を、先に予定表へ入れてしまう。
【2】お客様に「直接」聞いてみる
想像で決めつけず、お客様に「なぜ当社を選んでくださったのか」「何にお困りか」を直に尋ねる。ドラッカーの言うとおり、顧客のことは顧客にしかわかりません。三人に聞くだけでも、思い込みの多さに気づかされます。
【3】社内発の企画に「お客様は誰か」を書き添える
新商品や新サービスの案には、必ず「これは誰の、どんな困りごとを解決するのか」を一行そえる。ここが埋まらない企画は、社内の都合で生まれた企画かもしれません。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| 市場の中・お客様のもとに身を置いて考える | 社長室・会議室の中だけで判断する |
| お客様に直接たずねて事実をつかむ | お客様の気持ちを想像で決めつける |
| 外から自社を見る(アウトサイドイン) | 自社の都合から市場を見る |
| 顧客の困りごとを起点に商品を作る | 作りたいものを作って後から売り先を探す |
| 現場の生の声を全社で共有する | 数字の報告だけで現場を分かった気になる |
■経営者へのメッセージ
マーケティングというと、広告や販売の技術のことだと思われがちです。けれど、ドラッカーの言うマーケティングは、もっと根っこにあるものです。それは、自社の都合をいったん脇に置き、お客様の側に立って自分たちを見つめ直す姿勢そのものです。
うまくいっている会社ほど、社長がよく現場に立っています。ウォルマートの創業者も、身分を隠してまで顧客の声を聞いた経営者も、特別なことをしていたわけではありません。ただ、市場の中に身を置き続けただけなのです。
会社が大きくなり、忙しくなるほど、経営者は建物の奥へと引っ込みがちになります。そこには、いつのまにか本当のお客様がいなくなっている。多くの失敗の始まりは、実はそこにあります。
難しく考える必要はありません。まずは今週、一度でいい、お客様のところへ足を運んでみてください。窓の外に、答えは必ずあります。
■参考にしたいマーケティングに関する名言
「企業の目的は顧客の創造である。したがって企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能をもつ。マーケティングとイノベーションである。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』
「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
「お客様は、自分が求めるものを買っているのではない。自分の問題を解決してくれるものを買っているのだ。」
── セオドア・レビット『マーケティング発想法』
「われわれの事業は何かを決めるのは、生産者ではなく顧客である。顧客だけが、自らが買っているものによって、事業が何であるかを教えてくれる。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
■クライアントの実践事例
そこで私は、たった一つだけお願いをしました。営業任せにせず、社長ご自身が月に二社、お得意先の工場まで足を運んで、現場で使われている様子を見てきてください、と。最初は「今さら何を聞けばいいのか」と戸惑っておられました。
ところが通ううちに、社長さんは思わぬことに気づきます。お客様が本当に困っていたのは、製品の精度ではなく、納期の読めなさと、細かな相談のしづらさだったのです。自社が磨いてきた強みと、お客様が求めていたものが、少しずれていた。
そこから、社長さんは短納期対応と相談窓口の一本化に取り組みました。半年後、「あの会社は話が早い」という評判が、静かに広がっていきました。変えたのは技術ではなく、お客様の側から自社を見直したこと。ただそれだけです。
■マーケティングに関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. うちは小さな会社です。マーケティングなんて大企業の話ではないですか。
A. むしろ逆です。小さな会社ほど、社長がお客様の顔を直接見られる強みがあります。大企業のように調査会社に頼まなくても、自分の足でお客様のもとへ行ける。これは中小企業だけの、大きな武器です。
Q. お客様に直接聞いても、本音を言ってもらえない気がします。
A. いきなり「不満はありますか」と聞いても本音は出ません。「どういうときに助かりましたか」「もっとこうだったら、という点はありますか」と、具体的に、そして相手を責めない形で尋ねてみてください。三人に聞けば、共通する声が必ず見えてきます。
Q. 現場を見に行きたくても、日々の業務に追われて時間が取れません。
A. 多くの社長さんが同じ悩みを抱えています。だからこそ、月に一度でいいので「市場を見に行く日」を先に予定表へ入れてしまうことをお勧めします。空いた時間に行こうとすると、永遠に行けません。
Q. 社員にもアウトサイドインの視点を持たせるには、どうすればよいですか。
A. 社員が持ち帰ったお客様の声を、会議で共有する場を作ってください。「今週、お客様からこんな声があった」を一人一つずつ。それを続けるうちに、社員の目線が、自然と自社の外へ向いていきます。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に
とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。
「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。
管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。
貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。
ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。


