■ドラッカーの事業のイノベーションを見つけ出す方法

本日は【事業のイノベーションを見つける方法】です。

最近、資生堂が女性用化粧品においてAIを用いて肌を診断し

個々の女性の肌の状態に合わせ調合を変えるカスタマイズ化粧品を開発しました。

基本となる数本の原料のボトルがあり、女性の基本情報や、

写メールで肌の状態をおくると診断して、その人に最適な調合を行うサービスです。

この製品の特長は、全ての人に異なる成分の調合を行える。

すべての人にとっての世界に一つの化粧品を作れること。

資生堂はメインとなるブランド商品がいくつもあるので

今回のカスタマイズ商品を売るということは

これらの商品とのカニバリズム(共食い)を意味します。

社内での多くの反対意見を押し切り、社長みずから決断しました。

お客様から見たら、いくらブランド商品でも自分に最適に調合された

世界に一つの化粧品の方がよっぽど価値のあるブランドだと、

資生堂は判断したのです。

つまりお客様の側から見て、より便利になる、選ばれる事を

社内・業界の常識を無視して進めたんです。

■イノベーションの大敵は、これまでの成功体験・業界の常識

新たなイノベーションを起こす際に一番の抵抗となるものは

お客様にとって既に価値のない業界の固定観念・慣習・成功体験です。

市場とお客様は進化して止みません。

是非この観点で自社の商品・サービスを再構築してみて下さい。

かならず商品の共食いや既存のやり方に反発することは置きますが

お客様にとって良いもの、お客様の進化に対応できるものだけが

市場で生き残ることができるのです。

お客様の視点から、すでにメリットをもたらさなくなっている

業界の常識・固定観念を攻撃してみて下さい。

あらたなイノベーションが見つかります。

■ドラッカーのイノベーションに関する名言

「イノベーションの最大の弊害は、これまでの成功体験・業界の固定観念である。

常識を疑い、顧客にとって既に価値を生まなくなり

陳腐化したものを廃棄せよ。」

「イノベーションの第一目標は廃棄である。」

(ドラッカー著:イノベーションと企業家精神)

■現場のアクションプラン

【1】お客様が本当に困っていることを、一つ聞き直す

社内で「これがうちの強みだ」と思い込んでいることほど、危ういものはありません。まず一人のお客様に、「今、いちばん不便に感じていることは何ですか」と素直に尋ねてみる。答えの中に、次のイノベーションの種が必ず埋もれています。

【2】「昔からこうやってきた」を、一つだけ疑ってみる

長年続けてきたやり方、業界では当たり前とされている手順。その中から一つを選び、「これはお客様にとって今も価値があるか」と問い直す。惰性で続いていた慣習が、実はお客様を遠ざけていた、ということは珍しくありません。

【3】共食いを恐れず、小さく試す

新しい商品が既存商品と食い合うのを恐れて、何もしない。それがいちばん危険です。まずは一部の顧客、一つの店舗、小さな範囲で試してみる。うまくいけば広げ、だめなら引く。大きく賭ける前に、小さく確かめるのです。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
お客様の変化から出発する 社内の都合や過去の成功から出発する
価値を失った慣習を思い切って捨てる 「昔からこうだから」と続ける
共食いを覚悟して自ら変わる 既存商品を守るため何もしない
小さく試して確かめる 完璧を待って動き出さない
業界の常識を疑う 業界の常識に安住する

■経営者へのメッセージ

イノベーションというと、何か特別な発明や、大がかりな新規事業を思い浮かべる方が多いように思います。けれど、その本質はもっと静かなものです。お客様の変化に、自分たちが素直に付いていけるかどうか。それだけのことなのです。

長く続いてきた会社ほど、成功体験という財産を持っています。その財産が、いつのまにか足かせに変わる。かつてお客様に喜ばれたやり方が、時代とともに価値を失っても、なかなか手放せない。これは経営者なら誰もが抱える、ごく自然な迷いです。

資生堂の例が教えてくれるのは、勇気とは、自分の成功商品にすら「もう役割を終えたのではないか」と問える姿勢だということです。守るべきは商品ではなく、お客様との関係。そう考えると、捨てる決断も少しやさしくなります。

あなたの会社にも、必ず次の種があります。それはお客様の困りごとの中に、静かに眠っています。まずは一人のお客様の声に、じっくり耳を傾けてみてください。そこから、会社は新しく生まれ変わっていきます。

■参考にしたいイノベーションに関する名言

「企業の目的は顧客の創造である。したがって企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能をもつ。マーケティングとイノベーションである。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「すでに起こった未来を機会として利用することが、イノベーションの中心にある。」
── ピーター・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』

「体系的廃棄こそ、イノベーションの第一歩である。古いものを捨てなければ、新しいものを生み出す力は生まれない。」
── ピーター・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』

「日に新たに、日々に新たなり。」
── 『大学』(四書五経)

■クライアントの実践事例

私のお客様の、食品製造業E社(社員60名)の社長さんは、地元で長く愛されてきた定番商品に、絶対の自信を持っておられました。ところが数年前から、売上が少しずつ下がり始めた。「味は変えていないのに、なぜ売れなくなるのか」と、頭を抱えておられたのを覚えています。

そこで私がお願いしたのは、お客様に直接、聞いてみることでした。すると意外な答えが返ってきたのです。「味は好きだけれど、量が多すぎて食べきれない」「一人暮らしなので、もっと小さいサイズがほしい」。時代が変わり、家族の形が変わっていたのに、商品はずっと昔のままだったのです。

E社の社長さんは悩みました。小さいサイズを出せば、これまでの主力商品と食い合う。それでも、お客様の声に従って、少量パックを試験的に発売されました。

一年後、少量パックは新しい客層に受け入れられ、店頭での存在感が戻ってきました。守ったのは商品ではなく、お客様との関係だった。社長さんが、そう語ってくださったのが印象に残っています。

■イノベーションに関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. うちのような小さな会社に、イノベーションなんて大それたことができるでしょうか。

A. できます。むしろ小さな会社のほうが有利です。大企業は組織が大きく、方向転換に時間がかかります。あなたの会社なら、お客様の変化に気づいた翌日から手を打てる。大きな発明でなくてよいのです。お客様の困りごとを一つ解決する。それが立派なイノベーションです。

Q. 新商品を出すと、今の売れ筋商品と食い合ってしまいそうで怖いです。

A. その恐れは自然なものです。ですが、あなたが食い合いを恐れて動かなければ、いずれ他社が同じことをします。自分の商品を自分で乗り越えるほうが、他社に乗り越えられるよりずっとよい。まずは小さな範囲で試し、確かめながら進めてください。

Q. 何から手をつければイノベーションの種が見つかりますか。

A. お客様の「不便」「不満」「あきらめ」の三つに注目してください。お客様が仕方なく我慢していること。そこに必ず種があります。ドラッカーは、すでに起きている変化に目を向けよ、と説きました。遠くを探すより、目の前のお客様をよく見ることです。

Q. 業界の常識を疑えと言われても、何が常識なのか自分では気づけません。

A. だからこそ、外の目が役に立ちます。新しく入った社員、異業種の知人、そしてお客様。「なぜこのやり方なんですか」と素朴に問われたことこそ、疑うべき常識です。当たり前だと思って説明できないことの中に、変えるべきものが隠れています。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に

とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。

「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。

貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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