WAC DATA SERVICE株式会社 代表取締役社長 渡辺 和久 様

まるでドラッカー自身と対話をしているような深い洞察と情熱を持った村瀬さんのコンサルティングで、わが社の進むべきビジョン・戦略が明確になりました。経営のみとどまらず・人間学・哲学・古典など、膨大な知識からご教示抱けるのも村瀬さんならではの魅力です。

70周年を迎える世界市場NO.1企業。
WAC DATA SERVICE 株式会社 社長 渡辺和久様

~ドラッカーで社長のビジョンを明確化、実践できる仕組みとして落とし込む~
70周年を迎えた世界市場NO.1企業。「イノベーターの行動方針」策定

御社の事業概要を聞かせて下さい。
我々が身に着けている洋服などの衣料品の製造元の扱っている、工業用編み機を作っているメーカーがお客様でして、編み機は20~30年前からコンピューターで制御をするようになりました。編み機を制御するアクチュエーターの開発・製造販売をしています。繊維製品のメーカー、編み機を導入する会社もイタリア・ドイツ、台湾・韓国等、海外にあります。親族で靴下を編むところからはじまり、今年で創業70年を迎えます。当時は同業他社も周辺に沢山ありまして、編み機の改造を得意としていたのですが、その噂が広がり頼まれることが多くなりまして。気がつけば、編み機メーカーに弊社の改造用のコンピューターを部品として購入してもらうことになり、それからソフトウェアを扱うという意味で社名を変更し今に至ります。
村瀬さんとの出会いと、コンサルティングを依頼された経緯について聞かせて下さい。
まだ24、25歳の頃、父親が急死し、叔父が社長として経営していたところに色々な事情があり、私が手を挙げ、急遽継ぐことになりまして。BL、PL、キャッシュフローの見方も意味も全然分からないまま、手形もぎりぎりで20代の後半までは死ぬ思いで経営していました。ファミリーカンパニーを脱した後は、私1人で。その頃、ある経営セミナーに参加したのですが、そこではじめて村瀬さんお会いしました。変わった人だな(笑)と興味を抱いて一度話を聞いてみたいと思いまして。1日で分かる・感動・ドラッカーマネジメント講座を受講したのですが、それまで社員に伝えてきた経営への想い・経営理念が明確になる、という体験をしたのです。15年社長をしてきたのですが、イメージが具体化され、その後の業績に繋がりました。それから改めて村瀬さんの連続セミナー(ドラッカーの経営戦略・完全マスタリーコース)にも参加し、今回コンサルティングをお願いしました。
コンサルティングの課題はどのようなものでしたか。
創業70周年という節目であること、ニッチな業界で競合も少ないのですが、経営的にも開発力ももっと力を付けていかないと、シェアを奪われてしまう危機感が常にあります。繊維業界そのものが厳しく、リーマンショック以降も市場の変化の大きい環境の中で、うまく対応していかなければなりません。社員に数字を示すのでない、ミッションやビジョン、私の思いやイメージを村瀬さんのドラッカー流コンサルティングのお力をお借りして、経営指針として具体的にしてもらいたかったのです。
コンサルティングはどのようなカタチで進められたのでしょうか?
ドラッカーをベースにした課題のワークシートとセッションを8回繰り返しました。ワークシートの穴埋めをしていくとまず、ミッションとビジョンが見えてきました。その後のセッションで、ミッションが明文化されたものが出来上がって。新たな課題が見つかり行き詰ってしまった時には、ワークシートを更に埋めて前回足りなかったものを足して明文化し・・・、と繰り返していくことで課題が明確化され、取り組むべき経営課題と戦略が明らかになっていきました。
コンサルティングを受ける中で、どのようなブレークスルーがありましたか?
「WAC流・イノベーターの行動指針(経営指針)」を文章によって完成したことが大きな成果です。最も大きな気づきは「ドラッカーのマネジメントの神髄である強みを生かす」ことを実践に落とし込むことができたことです。今までメンバーの弱みをいかに消し込んでいくことに力を注いでいたことに気づきました。また家庭では、中学生と小学生の子供がいて、接し方を変えてみたのです。全教科で平均点を取るのではなく、出来るところを先に褒めて伸ばしてあげると子どもも勉強が楽しくなってくるようです。強みに着目し、いかに伸ばしていくかというアプローチが人を動かしたり、成長させるための着眼点ということです。
今回のコンサルティングの最終的な目的はどんなことでしたか?
会社の経営方針発表会を行うのです。社員の皆さんに今後の会社の方針や、皆にこうあってほしい、という社長のビジョンを伝える発表会なのですが、準備も村瀬さんにして頂き、進行表を作って頂きました。経営計画書の数字の部分でない、コンセプト・骨子の部分を一緒に詰めてもらうと、わが社の進むべき今後のビジョンも明確化していきました。
発表会はいかがでしたか?
これまでにない大変面白い発表会となりました。人は人に言われても変わることを拒んだりするものですが、社員の皆が主体的に参加することで、‘変わること’は、楽しく変化させていくものだということを村瀬さんから学んでいて、実践できていったのです。今までは経営者サイドが一方的に話をするスタイルでしたが、今回はグルーブワークで発表について考えてもらう機会をつくり、『こうしたらお客様に喜んでもらえる』と様々な意見やアイデアを皆に出してもらい、そこから向かうべきベクトルを定める運びとなりました。「皆の参加型の経営」。それが自分の一番やりたいことだったと、村瀬さんのコンサルティングを受け、大きな気付きを得たのです。
「メンバーの強みを活かす」ということから、「社員さんを参加させて強みを活かしたい」と元々お持ちであった考えを明確に形にしたわけですね。
はい、今回、社員に一番伝えたメッセージは、社員の皆とその家族の笑顔を大切にしたい、ということです。これもドラッカーからなのですが、セッションを終えて、ひとりひとりの強みにスポットライトを当てて楽しく成長していける場を提供していく、『人が活かされる組織』そういった会社組織にしていきたいと強く感じています。
イノベーターの行動指針は、これから具現化されていくのでしょうか。
経営方針発表会をもとに小集団活動を始めました。その一つに、プロジェクタで「イノベーターの行動指針」を映し、皆でディスカッションをします。現場の課題の本質に迫っていくディスカッションを行っています。すると、今まで思っていたことは表面的な願いや悩みであって、現場を良くする本質というのはもっと違うところにある、ということに気づいていくのです。例えば、お互いが違う要求をしていても、根底にある課題は共通だったということに気づき、共通の課題を解決すれば互いの課題も同時に解決できる、というようなことです。チームが強化されていくのを感じています。
クリニックの経営もしていますが、応用されていることはありますか。
逆にクリニックの経営からも学んだことがあります。病院はB to Bですから、リアルに患者さんが不安なのか、喜んでくれるかリアルに見えるのです。医療の技術とはどこでもそんなに変わらなくとも、病気という不安に対して、患者さんに安心と信頼をもって頂けること、うちに来ると『大丈夫なんだ』と安心して笑顔になって帰って頂く事に大きなやりがいを感じたのです。この経験から、社員の笑顔を見たいと思うようになりました。究極のわれわれのミッションは、繊維を通して世界中の人々笑顔を届けること。これも今回決めたミッションのひとつなのです。
ドラッカーのキーワードでは「使命は何か、顧客は誰か」ということになりますね。
例えば製造ラインでの仕事では、ドライバーでねじを締めて機械をくみ上げるだけで何に使われているか分からないまま仕事をしているのが現状ですが、この仕事によって実際に商品ができているということを皆に知ってもらう機会を作っています。お店の衣料品コーナーで手にした時、日々、皆が一生懸命作っているからこの商品ができていることを実感する。自分の仕事によって喜んでくれる人がいる、ということをもっと身近に感じることで社員もきっと笑顔になれると思うのです。
製造ラインの方も働く喜びを見出していただくこともそうですが、会社もお客様を定義し、使命を明確にすることによりお客様第一と事業の明確化につなげていけることになりますね。
実際に編み機を使って製品を作る現場へ赴き、クレームが起きたら直接対応することはずっとしていたことでした。怒られたとしても結果として‘喜んでもらえる’ことが現場の楽しいところなのです。開発の種を探すことも、エンドユーザーさんのリアルな声を聞くことで活かせるのです。弊社の営業部は「技術営業部」と言いますが、スーツにアタッシュケースというより作業着に工具を持って海外に行くのです。まさに現場でメンテナンスや修理をしながらお客様とコミュニケーションを取っているのです。お客様を中心にする基本行動は、全社に浸透させていきたいと考えています。
コンサルタントがいるといないとはどう違いますか。
これまで経営方針は自分で考えてきたのですが、村瀬さんともう少し早く出会っていたらと感じますね。具体的な成果物になるまでサポートしてくれるということがコンサルタントの入る大きな意義ですが、村瀬さん抜きであったら曖昧なまま、先の見えない状態のままだったと思います。また、20~30冊あるドラッカーの本の要所をご紹介して頂いたことも非常に役立ちました。もし、ひとりだったら必要としているヒントがどこに隠れているかなどとは分かりませんから。
他の方もご検討されたとは思いますが、なぜ村瀬さんに依頼されたのでしょう。また、村瀬さんのコンサルを受ける方へおすすめのポイントはありますか。
普通と違うコンサルタントを受けたい方にお勧めします(笑)。他の方にも何回かお願いしたことはあるのですが、教科書どおりの型にはめようとはする形でした。村瀬さんに依頼をしたのは直感みたいなものなのですが、ドラッカーの知識に長けていたり、それ以外の専門的なことにも長けている方は沢山いると思うのですが、村瀬さんはひとつのビジネスツールを教えているというより、まるでドラッカーがその場にいてドラッカーのコンサルをそのまま受けているような体感で、とても実践的に活用ができます。セミナーでも眠くなったことが一度もありません。型通りのセミナーや勉強会に行っている人にすれば、村瀬さんの研修やコンサルティングを受けることによって、見方や感じ方が大きく変わることが期待できるかと思います。
まるでドラッカーとやりとりをしているような気分になりました。さすがはドラッカーの伝道師と言われるだけのことはあります。

 

渡辺さん、ありがとうございました。

村瀬より一言

経営計画発表会では、経営者の熱い想いを、できるだけシンプルに、行動につながるように、明確なコンセプトとして組織メンバー伝えることが重要です。
社長の頭の中にある経営に対する思い、ビジョン、戦略を具体化し、実践できるアイデアとして整理するためには、ドラッカーの経営原則は、有効なツールとなります。

ご自身の経営を振り返り、さらなるイノベーションに向けての方向性を示すことができれば、組織はあらたな成長に向けての舵を切る事ができます。
渡辺さんの場合は、ドラッカーを通じてこれまでの経営を体系的に整理し、さらに未来へ向けてのイノベーションビジョンを示すことができました。
結果として社員さんのコミットメント・情熱も高まり、力強い成長への舵を切って頂く事となりました。