目標の重要性について、ドラッカーは以下のように言います。

「工場のラインの人から、トップマネジメントまで組織に属するメンバーはすべての人が情報を設定する必要がある。」

それでは目標設定はなぜ必用なのでしょう?

目標を設定すると、メンバーが集中するからです。ドラッカーの法則は、成果をあげるためには集中しなければいけないという成果集中の原則です。

集中するということは、的(目標)を定めて、そこに集中する。すなわち目的以外のことは切り捨てやらないということです。

すべての人が具体的に明確で、振り返り可能な目標(的)を設定することで、その活動に集中し、成果を生み出していくことができるのです。

容易に達成できる目標では、意味がありません。目標を設定する場合には、ストレッチ目標を行って下さい。
ストレッチ目標とは、現在からするとすぐには達成は難しいが、頑張る事で達成することができるというものです。

目標を定める時には、誰が、いつまでに、何を、どこまで行うか、そして誰がそれをチェックするとい点まで明確にしなければ、目標が実現することはありません。

ドラッカーも言います。

「目標・計画だけでは夢に過ぎない。仕事に具体化せよ。」

仕事に具体化するというのは、先ほどの「誰が・いつまでに・何を・どこまで行うか・そして誰がそれをチェックするか・」という事まで落とし込むことを言います。

是非組織のすべての人に目標を設定してもらい、組織に集中状態をもたらしてください。

集中するからこそ成果が出ます。【ドラッカーの成果集中の法則】

成果を中心に、成果に集中して経営に効果性をもたらしていきましょう。

【セミナー動画:なぜ目標設定が必要なのか?】

■現場のアクションプラン

【1】全員が「振り返れる目標」を持つ

現場の担当者から経営層まで、一人ひとりが具体的な目標を持つ。「がんばる」ではなく、「何を・どこまで」を数字や状態で言い切れる形にする。あいまいな目標は、達成したかどうかも分かりません。

【2】目標は「5つの要素」で言い切る

誰が・いつまでに・何を・どこまで・誰がチェックするか。この五つが埋まって、初めて目標は仕事になります。どれか一つでも欠けると、目標は「いつかやりたい夢」のまま止まってしまいます。

【3】少し背伸びした目標を置く

簡単に届く目標では、人は本気になりません。今のままでは難しいが、工夫と努力で手が届く。そんなストレッチ目標が、人と組織の力を引き出します。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
具体的で振り返れる目標を立てる 「がんばる」というあいまいな目標
一つの的に集中する あれもこれもと手を広げる
目的以外を思い切って切り捨てる 全部やろうとして中途半端になる
少し背伸びした目標を掲げる 簡単に届く目標で満足する
誰がチェックするかまで決める 立てっぱなしで振り返らない

■経営者へのメッセージ

忙しい会社ほど、実はやることを絞れていないものです。あれもこれもと手を伸ばし、結局どれも中途半端に終わる。私は、そんな現場を数多く見てきました。目標を定めるとは、やることを増やすことではなく、やらないことを決めることなのです。

的を一つに絞り、そこに力を集める。ドラッカーが説いた成果集中の原則とは、つまるところ、この覚悟のことです。人の力も、会社の力も、限りがあります。だからこそ、いちばん大切な一点に、静かに集中する。

目標は、掲げただけでは夢のままです。誰が、いつまでに、何を、どこまで、誰が確かめるのか。そこまで具体的に落とし込んだとき、初めて夢は仕事に変わります。ここを面倒がらないことが、成果を分けます。

そして、目標は少し背伸びしたものであってほしいのです。楽に届くものに、人は胸を躍らせません。手が届くかどうか、というぎりぎりの高さにこそ、人は本気を出します。あなたの掲げる一つの的が、社員の力を引き出す旗印になります。

■参考にしたい目標設定に関する名言

「成果をあげる者は、最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』

「集中とは、真に意味のあることは何か、最も重要なことは何かという観点から、自らの時間と行動について決定を下す勇気のことである。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』

「計画とは未来に関する現在の決定である。」
── ピーター・ドラッカー『創造する経営者』

「高い目標を掲げ、それを日々の具体的な行動にまで落とし込んだとき、可能性は現実に変わる。」
── 稲盛和夫『生き方』

■クライアントの実践事例

私のお客様の、物流業G社(社員30名)の社長さんは、社員に「今年もがんばろう」と声をかけるのが常でした。ところが年末になっても、何がどれだけ良くなったのか、誰にも分からない。「うちの社員はやる気はあるが、成果が形にならない」と、悩んでおられました。

そこで私は、目標を五つの要素で言い切ることをお願いしました。誰が・いつまでに・何を・どこまで・誰がチェックするか。たとえば「配送部が、三月末までに、誤配率を、今の半分に、班長が毎週確認して下げる」といった具合です。

最初は「そこまで細かく決めるのか」と面食らっておられました。それでも、あいまいだった目標を一つずつ具体化していくと、社員の動きが変わっていきます。何をすればいいかが、はっきり見えるようになったからです。

半年後、G社の誤配率は目標どおり下がり、社員は初めて「やり切った」という手ごたえを口にしました。社長さんは言います。「がんばれ、では人は動かない。何を、どこまで、と決めた途端に動き出した」と。

■目標設定に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 目標を高くすると、社員がつぶれてしまわないか心配です。

A. 大切なのは「背伸びすれば届く」高さに設定することです。到底無理な目標は、人をあきらめさせます。逆に楽すぎる目標は、人を退屈させます。頑張れば手が届く、そのぎりぎりの高さが、人の力を最も引き出します。

Q. 数字にしにくい仕事は、どう目標を立てればよいですか。

A. 数字が難しければ「状態」で表してください。「お客様アンケートで満足の声が増える」「クレームがゼロになる」など、達成したと分かる姿を言葉にする。振り返れる形になっていれば、それは立派な目標です。

Q. 目標を立てても、いつのまにか忘れられてしまいます。

A. 「誰がチェックするか」を決めていないことが原因です。目標は立てた瞬間ではなく、確かめる仕組みで生き続けます。週に一度でいいので、進み具合を確認する場を作ってください。

Q. 全員に目標を持たせる必要が、本当にあるのでしょうか。

A. あります。ドラッカーは、現場の一人からトップまで、すべての人が目標を持つべきだと説きました。一人ひとりが自分の的を持つからこそ、組織全体が同じ方向に力を集められるのです。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


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ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

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