(前回の続き)

目標を設定したら、上司、部下で少なくとも月に一度、目標管理面談を行います。
目標管理面談というと、いかにも上司が部下を管理して、その進捗を精査するような部分がありますが、ドラッカーの言う目標管理は全く違います。

目標管理という言葉をドラッカーが発明した時、その意味は「MBO-S(Management by Objectives and Self-Control/マネジメント バイ オブジェクティブズ アンド セルフ・コントロール)」でした。
このself contrlという部分が特に大切で、自己目標による【自己統制による】目標管理だったのです。

しかし、日本に入ってきた時に大きな誤解があり、この自己統制によるという部分が抜け落ち、Management by Objectives(目標による管理)の側面だけが強調され、まるで上司の権力による部下のチェックのようなイメージが定着してしまったのです。

ドラッカーのマネジメントというのは、ドラッカーが世界大戦やホロコーストを経験後、人が自由で生産的に生きられる社会を至上の目標に創造されたものです。
ドラッカーの思想を理解すれば、マネジメントには権力・統制・管理というイメージの言葉が入ることは絶対に無いのです。

そのため、部下統制のための目標管理ではなく、自律的な管理、自分の目標を自分で立て、自らその達成に向けて努力していくという「自己目標による目標管理」こそドラッカーの真意ということになります。

なぜ目標を設定して自己管理することが必要かというのは、前回の講義のように目標を明確にすることで人間は集中することができます。集中すれば成果が出るというのがドラッカーの法則だからです。

そして、自己の目標を上司のとの面談で振り返る意義は、デミングの以下の言葉に反映されています。

「計測できるものはコントロールすることができる。」
「コントロールできるものは最適化することができる。」【E・デミング】

つまり目標を立て、その実行具合を振り返り、計測することができると、自己の目標達成にむけての現在の行動を自分でコントロールし、最適化することができるという意味なのです。

振り返りなしでは、現在の行動が効果的なのか、そうでないかを知ることはできません。
自己目標と目標管理があって初めて、自己の仕事を効果的に、成果に向けて改善し、成果を上げていくことができるとドラッカーは言うのです。

ドラッカーは言います。
「自己目標による目標管理こそ、マネジメントの哲学である。」

是非、部下管理の道具としてではなく、メンバー自らが自律的に目標達成に向かうサポートなる自己目標管理システムの本質を実践してみて下さい。

人は管理されいやいや成果をあげるのではなく、自律的に成果を生み出す創造的な生き物なのです。

ドラッカーは人間中心の経営です。

ドラッカーは言います。

「人は、何か偉大なことを成し遂げたがる生き物である。」と。

この人間に最大の期待をするドラッカー先生の思想に、私は惚れ込んでおります。

共になすべき事を成し遂げて生きましょう!

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