← 43.経営幹部は何を学ぶべきか?【ドラッカーセミナー】

経営リーダーであるあなたへ。社員教育のために外部セミナーへ何度も送り出したのに、現場の行動が変わらない。研修の直後は熱が入っても、一週間もすれば元に戻ってしまう。そんなもどかしさを感じたことはないでしょうか。
実は、社員が本当に育つ場は、費用をかけた外部セミナーではなく、社内で自分たちの手で開く読書会にあります。ここでは、なぜ社内読書会がセミナーより有効なのか、そして中小企業でも無理なく続けられる具体的な開き方の手順を、順を追って整理します。
この記事でまとめたこと
なぜ組織の優劣は「学んでいるか」で決まるのか
組織の優劣は何できまるのでしょう。ドラッカーは次のように指摘します。
「組織に優劣があるのではない。学んでいるか学んでいないかの違いである。」
「組織は優秀な人を取るから、強くなるのではない、文化と風土によって自己啓発を動機付けるからこそ組織は強くなる。」(ドラッカー名言)
組織の最大の資産は「人」です。そして、人の成長は「無限」です。
組織が卓越するかどうかは、リーダーである自身の元に集ってくれた仲間たちに、いかに学び・成長し・挑戦してもらうかにかかっています。
経営者は、社員さんにとって最高の教育者・指導者であるべきです。組織をして、メンバーが自律的に学び成長する「学習する組織」に進化させる必要があります。
ここで多くの中小企業が陥りがちなのが、「学び=外部に頼るもの」という思い込みです。優秀な講師を招けば、有名なセミナーに参加させれば、社員は育つはずだ、と。ところが、外から与えられた知識は、その場では響いても、自社の現実に結びつかないまま流れていきます。
大切なのは、優秀な人を集めることではありません。集まった仲間が、日々の仕事の中で学び合う文化と風土をつくること。ドラッカーが言う「自己啓発を動機付ける風土」とは、まさにこれです。そして、その風土を最も手軽に、最も低コストで育てられる具体策こそが、社内読書会なのです。
セミナーより社内読書会が有効な理由
学習する組織を創るために、効果的な具体策は社内読書会の開催です。弊社のクライアント様でも、読書会を開催するだけで経営幹部が著しく成長したと、喜びの声を頂くことが非常に多い、効果的なアクションプランです。
社内読書会とは、参加メンバーが、同一のビジネス・人生の良書を読み、気づき・実践を分かち合い、共に成長を誓い合う実践会です。
では、なぜ一度きりの外部セミナーよりも、地味に見える社内読書会のほうが成果につながるのでしょうか。理由は三つあります。
理由1 自社の言葉で「自分ごと」になる
セミナーで語られるのは、あくまで一般論です。一方、社内読書会では「では、うちの現場だとどうだろう」という問いが自然に生まれます。同じ本の一節を読んでも、営業の視点、製造の視点、経理の視点が交わることで、知識が自社の具体的な課題に翻訳されていきます。学びが抽象論で終わらず、明日の行動に変わるのです。
理由2 役職を超えた対話が生まれる
普段の会議では、部下は上司の前で本音を言いにくいものです。ところが「本の感想を語る」という場では、立場の壁が下がります。若手が課長に率直な気づきを投げかけ、社長が現場の声に耳を傾ける。この双方向の対話そのものが、チームの一体感と相互理解を育てます。
理由3 継続するから風土になる
セミナーは点の学びです。社内読書会は線の学びです。月に一度、同じ仲間と学び続けることで、「学ぶことが当たり前」という空気が社内に定着していきます。一過性のイベントではなく、習慣として根づく。だからこそ、組織の文化そのものが変わっていくのです。
社内読書会の具体的な開き方
社内読書会の具体的な開き方をご紹介します。特別な設備も、大きな予算も要りません。下記の開催例を土台に、自社の実情に合わせて調整してください。
【セミナーより効果の高い・社内読書会の開催例】
■時間 月・1度・就業時間後 90分〜120分(終了後の簡単なコンパもチーム力に効果的。)
■目的 人間性・ビジネス・スキルを加速し、向上・卓越するヒントを相互に得る。
■階層 特に指定しない方が、組織の役職を超えたコミュニケーションの機会になります。
■課題図書 基礎的なものから、経営幹部向けの発展的なものまで、都度ご紹介しております。(お気軽にお問合せ下さい。)
ステップ1 課題図書を一冊選ぶ
最初は、経営の原理原則をやさしく学べる基礎的な一冊から始めるのがおすすめです。いきなり難解な専門書を選ぶと、読むこと自体が負担になり、参加者の足が遠のきます。全員が同じ本を読む、という一点だけは必ず守ってください。共通の土台があるからこそ、対話がかみ合います。
参考までに、経営の原理原則の学びを深める目的の場合の選書例を挙げます。
■基礎編 お客様第一の会社の創り方(小宮一慶)【お客様第一の実践を学ぶ】
■中級編 経営者になるためのノート(柳井正)【起業家精神・経営幹部の心得を学ぶ】
■発展編 ドラッカー主要著作(マネジメント・イノベーションと企業家精神・創造する経営者等)
ステップ2 開催のリズムを決める
月に一度、就業時間後に90分から120分ほど。この程度のリズムが、負担なく続けられる目安です。最初から週一回のような高い頻度を設定すると、通常業務との両立が難しくなり、長続きしません。まずは月一回で確実に回すこと。日時を固定し、全員のカレンダーに先々まで登録してしまうと、開催が習慣として定着します。
ステップ3 当日は「気づき」と「実践」を分かち合う
当日は、講義形式にしないことが肝心です。進行役が一方的に解説するのではなく、参加者一人ひとりに「印象に残った一節」と「明日から自分がやってみること」を語ってもらいます。順番に発言する形をとれば、全員が必ず口を開きます。正解を出す場ではなく、それぞれの気づきを持ち寄る場だ、と最初に伝えておくと、発言のハードルが下がります。
終了後の簡単な懇親の場も、チームの結束に効果的です。堅苦しい研修では生まれない、ざっくばらんな会話が信頼関係を深めます。
ステップ4 次回につなげ、実践を確認する
一回で終わらせないための工夫が、成果を左右します。次回の冒頭で「前回宣言した実践は、その後どうなりましたか」と振り返る時間を設けてください。学びを行動に移し、その結果をまた仲間に報告する。この循環が回り始めたとき、読書会は単なる勉強会から、組織を変える実践の場へと変わります。
中小企業だからこそ、社内読書会が効く
大企業のように潤沢な研修予算や専任の人材育成部門を持たない中小企業にとって、社内読書会は理にかなった選択です。必要なのは、一冊の本と、月に一度の時間、そして学び合おうという意志だけ。外部に頼らず、自分たちの手で人を育てる仕組みを持てます。
経営の原理・原則から、強力なトップマネジメントチームを創る。教え・学び合う風土を創り、自己啓発・継続学習の風土を醸成し、卓越企業に進化しましょう。
「組織の優劣は、学習しているか、いないかで決まる。」のです。リーダーは組織に、自己啓発を強く動機付け、その機会を設ける必要があります。
【セミナー動画:組織の優劣は何で決まるのか?】
【ドラッカー完全講座についてはこちら・日本リーダーシップ・オブ・マネジメント㈱セミナー情報】
まとめ
社員を育てる場は、費用をかけた外部セミナーの中だけにあるのではありません。同じ本を読み、気づきを語り合い、明日の行動を誓い合う。そんな社内読書会こそが、学びを「自分ごと」に変え、役職を超えた対話を生み、そして継続することで組織の風土そのものを変えていきます。
大掛かりな準備は要りません。一冊の本と、月に一度の時間から始められます。まずは小さく、確実に一回を開いてみる。その積み重ねが、ドラッカーの言う「学習する組織」への確かな一歩になります。
社内読書会に関するよくある質問
Q. 何人くらいで始めるのがよいですか。
A. 全員が必ず発言できる規模が理想です。5名から8名ほどが、一人ひとりの気づきをじっくり分かち合える目安です。人数が多い場合は、いくつかのグループに分けて対話し、最後に全体で共有する形をとると、発言の機会が失われません。
Q. 読書が苦手な社員が多く、続くか不安です。
A. 最初から一冊すべてを読破する必要はありません。「今回は第1章だけ」というように範囲を区切れば、負担は大きく下がります。また、正解を問う場ではなく、それぞれの感想を持ち寄る場だと最初に伝えておけば、読み込みの浅さを気にせず参加できます。基礎的で読みやすい一冊を選ぶことも、続けるための大切な工夫です。
Q. 進行役は誰が務めればよいですか。
A. 必ずしも社長や役職者である必要はありません。進行役の役割は、順番に発言を促し、時間を管理することだけです。むしろ持ち回りにすると、それぞれが主体的に関わるようになり、役職を超えた対話も生まれやすくなります。
Q. 忙しくて時間が取れません。効果を出すには頻度が必要ですか。
A. 頻度よりも継続が重要です。週に何度も開いてすぐ途絶えるより、月に一度を一年間続けるほうが、はるかに大きな成果につながります。就業時間後の90分から120分を月一回。まずはこの無理のないリズムで定着させることを優先してください。
Q. どんな本を選べばよいか分かりません。
A. 目的から逆算して選ぶのが基本です。経営の原理原則を学びたいなら、まずは読みやすい基礎的な一冊から。慣れてきたら経営幹部向けの発展的な書へと段階を上げていきます。課題図書は、基礎から発展まで都度ご紹介しておりますので、お気軽にお問合せください。
「もしどら」より分かり易い! ドラッカー専門コンサルタント 村瀬弘介
【ドラッカー学会会員・日本ドラッカー経営研究会 代表】
【マネジメント・マーケティング・イノベーションの本質を学び、卓越した業績を生みだす。(人間の尊厳を重視する経営を実現するための)ドラッカーマネジメント年間講座を全国に展開予定です。】
書籍『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』
リーダーシップとは権力ではない。働く人を活かし、成果を上げる「責任」である。経営の中心は『人間の尊厳』にあるべきだと亡きドラッカーは訴えた。現代リーダーのための現場で実践できる『人間中心の経営』『立志の指南書』

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