ドラッカーは言います。
「マーケティングとセールスは全く反対である、重なり合う部分さえない。」
(ドラッカー著 マネジメント)
マーケティングとは事業の全ての活動を顧客視点から捉えなおす事です。
セールスは一方的に自社目線で、商品を顧客に売り込むことです。
マーケティングとセールスではそもそもの視点が正反対なのです。
顧客にとって重要なのは、もちろん顧客視点。
いかに顧客視点をもって事業を改善できるかが、経営の成否を決めます。
自社でマーケティングを全従業員に理解してもらい、顧客志向の組織を創るポイントを解説しています。
この記事でまとめたこと
■現場のアクションプラン
【1】「うちの商品はここが良い」という言葉を一度封じる
朝礼や商談の場で、自社の良さを語る前に「お客様は何に困っているのか」を先に口にしてみる。売り込みの言葉を一度封じるだけで、社員の目線が自然と顧客側へ移っていきます。
【2】お客様が「買った理由」を三人に聞いてみる
売れた理由を社内で推測しても、たいてい当たりません。実際に買ってくださったお客様に「なぜ選んでいただけたのか」を直接うかがう。そこに、次の商売の種が必ず隠れています。
【3】全社員が「自分の仕事は顧客のどんな役に立つか」を一行で書く
経理でも製造でも、必ず先にお客様がいます。自分の仕事が最終的に誰のどんな役に立つのかを一行で書き出してもらう。これだけで、会社全体が顧客の方を向き始めます。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| お客様が何に困っているかから考える | 自社の商品の良さから語り始める |
| 買った理由をお客様本人に聞く | 売れた理由を社内で推測する |
| 全社員が顧客視点を共有する | 顧客対応は営業任せにする |
| お客様に選ばれる仕組みをつくる | 押しの強さで売り切ろうとする |
| 売った後の満足まで責任を持つ | 売った瞬間で関係が終わる |
■経営者へのメッセージ
まじめに商売をされている社長さんほど、「良い商品を作れば売れるはずだ」と信じておられます。その真摯さは、何より尊いものです。ただ、どんなに良い商品でも、お客様が「自分のためのものだ」と感じてくれなければ、手に取ってはもらえません。
ドラッカーがマーケティングとセールスは正反対だと言ったのは、売り込みを否定したかったからではありません。順番が違う、と伝えたかったのです。まずお客様を深く理解する。そのうえで、お客様が求めるものを差し出す。その順番さえ整えば、無理な売り込みはいらなくなります。
顧客視点というのは、営業部門だけの仕事ではありません。経理も、製造も、配送も、すべての社員が「その先にお客様がいる」と感じられたとき、会社は静かに強くなっていきます。
難しく考える必要はありません。今日、社員の誰か一人と「うちのお客様は本当は何を求めているんだろうね」と話してみる。その一言から、顧客志向の組織づくりは始まります。
■参考にしたい顧客志向に関する名言
「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
「企業の目的は、顧客の創造である。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
「われわれの事業は何かを知るためには、顧客からスタートしなければならない。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』
「お客様に喜んでいただくことが、私たちの喜びである。」
── 松下幸之助
■クライアントの実践事例
そこで私は、営業成績の話をいったん脇に置いて、「最近取引が続いているお客様に、なぜうちを選んでくれているのか聞いてみませんか」とお願いしました。社長さんは半信半疑でしたが、営業マンと一緒に何社かを回ってくださった。
すると、返ってきた答えは意外なものでした。「値段でも品揃えでもなく、困ったときにすぐ相談に乗ってくれるから」。押しの営業だと思っていた自分たちの本当の強みは、実は「相談しやすさ」にあったのです。
D社はそこから、売り込みの回数を減らし、お客様の困りごとを聞く時間を増やしました。半年後、取引先からの紹介が目に見えて増えていきました。変えたのは、商品ではありません。お客様の側から自社を見直した、その一点だけでした。
■顧客志向に関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. 顧客視点が大事なのは分かりますが、結局は売らなければ会社は回りません。
A. おっしゃる通りです。顧客視点は、売ることを否定するものではありません。むしろ売れやすくするためのものです。お客様を深く理解すれば、無理に押さなくても「これが欲しかった」と選んでもらえる。売り込みが減るのに数字が上がる。それが顧客視点の力です。
Q. 営業以外の社員に顧客視点を持てと言っても、ピンとこないようです。
A. 抽象的に「顧客視点を持て」と言っても伝わりません。「あなたの仕事は、最後にどのお客様のどんな役に立っているか」を具体的に一緒に考えてあげてください。自分の仕事の先にいるお客様の顔が見えたとき、人は自然と顧客の方を向きます。
Q. お客様に「なぜ買ったのか」を聞くのは、失礼にならないでしょうか。
A. 聞き方さえ丁寧なら、むしろ喜ばれることが多いです。「今後のサービス改善のために、ぜひ教えてください」とお願いすれば、お客様は真剣に答えてくださいます。関心を持たれて嫌な人はいません。それ自体が、良い関係づくりにもなります。
Q. マーケティングというと大がかりで、中小企業には難しく感じます。
A. カタカナにすると難しく聞こえますが、要は「お客様をよく知ること」です。高価な調査は要りません。既存のお客様に話を聞く、問い合わせの内容を書き留める、それだけでも立派なマーケティングです。まず身近なところから始めてみてください。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に
とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。
「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。
管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。
貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。
ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。



