ドラッカーは言います。
「成果を上げるためには、成果を明らかにし、成果に集中する必要がある。」
(経営者の条件・プロフェッショナルの条件)
成果を上げることと、よく誤解されがちなのが、効率を上げる事です。
成果を上げることは、正しい事を行うことです
効率を上げることとは、やり方を正しく行う事です。
いくら効率がよくても、正しい方向性を設定していなければ成果を上げることはできません。
成果を上げるためには、まずやるべき正しい事(成果)を明確に定義することの方が重要なのです。
たとえば、セミナー終了後に、私が東京から大阪へ出張があるとします。
この場合は、最短ルートで東京駅に出て、新大阪方面の新幹線にのることが正しい成果です。
いくら効率よく、つまり最短ルートで東京駅から北陸方面行きの新幹線になったのでは、いつまでたっても大阪にはつきません。
効率の前に、まずやっていることが正しいことなのか、成果を明確に定義・確認することが必要なのです。
効率をあげようとする前に、まずやっていることが正しい事なのか? 本当にすべき事なのか? 成果を明確に定義してみて下さい。
ドラッカー・経営セミナーでは、成果と効率の違いを解説しています。
この記事でまとめたこと
■現場のアクションプラン
【1】仕事を始める前に「何が成果か」を一行で書く
作業に取りかかる前に、「この仕事で得たい成果は何か」を一行だけ書いてみる。やり方を考えるのは、その後です。ゴールがはっきりすれば、そもそも必要のない作業が見えてきます。
【2】「速くやる」より「正しいことをやる」を先に問う
目の前の仕事を速く片づけたくなったら、一呼吸おいて「そもそも、これは本当にやるべきことか」と問い直す。間違った方向に全力で走るほど、成果から遠ざかります。方向が先、速さは後です。
【3】がんばっているのに成果が出ない仕事を一つ見直す
時間も労力もかけているのに、報われない仕事。それは、効率ではなく方向が間違っているのかもしれません。今週、そういう仕事を一つ選び、「やめる」「やり方を根本から変える」を検討してみてください。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| 正しいこと(成果)を先に決める | やり方の速さばかりを気にする |
| 目的地を定めてから走り出す | 方向を確かめず全力で走る |
| 「本当にやるべきか」を問い直す | 言われた作業をそのままこなす |
| 報われない仕事を思い切ってやめる | 無駄かもしれない仕事を続ける |
| 少数の正しいことに集中する | あらゆる作業を効率化しようとする |
■経営者へのメッセージ
真面目な経営者ほど、効率を上げることに一生懸命になります。少しでも速く、少しでも無駄なく。その姿勢は、本当に尊いものです。けれど、ドラッカーはあえて、こう問いかけました。その努力は、正しい方向に向かっていますか、と。
東京から大阪へ行きたいのに、北陸行きの新幹線に全力で飛び乗ってしまう。どれほど速くても、目的地には永遠にたどり着きません。会社の仕事にも、同じことが起きています。一生懸命やっているのに成果が出ないとき、足りないのは努力ではなく、方向の確認なのです。
だからこそ、立ち止まる勇気を持っていただきたいのです。忙しさの中で走り続けていると、「そもそも、これは何のためか」を問う余裕を失います。その問いを取り戻すだけで、努力は正しく報われるようになります。
まず、正しいことを見定める。それから、効率よくやる。この順番さえ守れば、あなたの会社の努力は、必ず成果へとつながっていきます。やみくもに速く走るのをやめ、どこへ向かうのかを、まず定めてください。
■参考にしたい成果に関する名言
「最も重要なことに集中せよ。成果をあげる者は、最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
「何も行わないことほど、容易なことはない。しかし、成果のあがらないことを上手に行うことほど無駄なことはない。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
「ビジョンなき行動は時間の浪費であり、行動なきビジョンは夢物語にすぎない。」
── ジョエル・バーカー
「方向が間違っていれば、速度は意味をなさない。」
── マハトマ・ガンジー
■クライアントの実践事例
よくよく話を伺うと、社員たちは、売上につながりにくい作業を、ものすごく効率よくこなしていたのです。方向はそのままに、速さだけを磨いていた。そこで私は、「効率を上げる前に、まず、本当に成果につながる仕事はどれかを決めましょう」とお伝えしました。
社長さんは、全部の業務を書き出して、「これは本当に成果につながるか」を一つずつ見直されました。すると、やめてよい作業がいくつも見つかり、社員の時間が、本当に大事な顧客対応へと振り向けられたのです。半年後、同じ人数のまま、売上は着実に伸びはじめました。
変えたのは、仕事の速さではありません。「正しいことをやっているか」を先に問う。その順番だけでした。
■成果と効率に関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. 効率を上げるのは、良いことではないのですか。
A. もちろん良いことです。ただ、順番が大切なのです。正しいことをやっているなら、効率を上げれば成果は何倍にもなります。けれど間違ったことを効率よくやると、間違いが速く進むだけ。まず方向、次に速さ。この順番さえ守れば、効率は強い味方になります。
Q. 何が「正しいこと」なのか、判断が難しいです。
A. 難しく考えなくて大丈夫です。「これは、お客様や会社の成果に直接つながるか」と問うてみてください。つながるならやるべきこと、つながらないなら見直すべきこと。この一つの問いが、方向を照らす灯りになります。
Q. 忙しくて、立ち止まって考える時間がありません。
A. そのお気持ち、よく分かります。ですが、方向を確かめない忙しさほど、消耗するものはありません。一日のうち、たった十分でいい。「今日やることは、本当に成果につながるか」を確認する時間を持つ。その十分が、残りの時間を何倍も活きたものにします。
Q. 部下が、作業をこなすこと自体を目的にしてしまっています。
A. よくある光景です。それは、管理職が「成果」を示せていないサインでもあります。作業を指示する前に、「この仕事で何を実現したいのか」を一緒に確認してあげてください。目的が分かれば、部下は自分で、やるべきこととやめるべきことを考えはじめます。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
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とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
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管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
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ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
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