経営とは変化をマネジメントすることだと言われます。

今回は20世紀最大の知恵者・ドラッカーと、クリントン元大統領やマザーテレサもクライアントだったことで知られる、世界最高のコーチと呼ばれるアンソニーロビンズの言葉の対比から、進化するためのリーダーの思考を解説します。

■変化を機会とし、自らが変化を担うチェンジリーダーとなれ。(ドラッカー)

ドラッカーは変化をマネジメントする心得について、次のように述べます。

「変化を機会とせよ。事業の機会は変化の中に生じる。

変化をマネジメントする唯一の方法は、みずからが変化の先頭に立ち、変化の担い手となることである。」

(ドラッカー著:チェンジリーダーの条件)

リーダーは、変化を経営の機会として、自らがその機会を利用するチェンジリーダーとなる必要性を、ドラッカーは訴えるのです。

■経営者はバランスしてはならない。バランスを常に崩しながら進化せよ。(アンソニー・ロビンズ)

これに対して、アンソニーロビンズは次のように述べます。

「変化の世界において、リーダーはバランスすることがあってはならない。

バランスは崩しながら取れ、それが進化する道である。」

人間のいつもの生活領域・慣れた・安定した領域・安心する状態の事をコーチングの世界で快適領域(コンフォートゾーン)と言います。

例えば、年収500万の人はその範囲での生活にいつも慣れています。

突然年収が5億になったら、混乱してどのように生活すればいいか、不快感を感じますよね。

一時的にダイエットしても、またいつもの生活に戻り、リバウンドしてしまうのも、コンフォートゾーンが原因です。

人間は安定領域(コンフォートゾーン)を求める生きものです。

しかし、世の中が進化してやまない以上、リーダーの精神は自分の快適な安定領域に留まることは許されません。

世の中が進化しているのに、リーダーが安定しているとしたら、それは退化していることになるのです。

両者に交通する要素は、変化・進化とのリーダーの一体化です。

ドラッカーもアンソニー・ロビンズも、経営者は常に変化の中に身を置いて、安定することなしに進化し続ける事を教えてくれるのです。

ドラッカー・経営セミナーでは、ドラッカーと世界最高のコーチアンソニーロビンズにみる成功する経営者の条件を解説しています。

■現場のアクションプラン

【1】変化を「脅威」ではなく「機会」として言い換えてみる

市場の変化、法改正、新しい技術。多くの人はまず脅威として身構えます。ですが同じ変化を、「この中に、どんな機会が隠れているか」と問い直す。この視点の切り替えが、チェンジリーダーの第一歩です。

【2】自社の「快適領域」がどこにあるかを見つける

いつものやり方、いつものお客様、いつもの商品。慣れて安心している場所こそ、退化の始まりかもしれません。今の安定が、変化から目をそらす言い訳になっていないか。一度、正直に点検してみてください。

【3】小さな挑戦を、あえて一つ自分の予定に入れる

大きく変える必要はありません。新しいお客様を一社訪ねる、これまで避けてきた分野を少し学ぶ。快適領域から半歩だけ出る挑戦を、意識して習慣にする。その積み重ねが、進化し続ける力になります。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
変化を機会ととらえて先に動く 変化を脅威として身構える
自ら変化の先頭に立つ 周囲が変わるのを待つ
快適領域から半歩踏み出す 慣れたやり方に留まり続ける
安定を疑い進化し続ける 今の安定を守ることに満足する
小さな挑戦を習慣にする 大きな決断を先延ばしにする

■経営者へのメッセージ

変化に立ち向かうのは、怖いものです。今うまくいっているなら、なおさら、そっとしておきたくなります。人は本来、安定を求める生きものだと、アンソニー・ロビンズも言うとおりです。ですから、変化を避けたくなるのは、決してあなたが弱いからではありません。

けれど、世の中が動き続けている以上、その場に留まることは、実は少しずつ後ろへ下がっていることでもあります。ドラッカーが「みずから変化の担い手となれ」と説いたのは、待っていても変化は向こうからやってくる、それなら自分から先頭に立ったほうがよい、ということなのだと思います。

大切なのは、無理に大きく変わろうとしないことです。快適領域から、半歩だけ踏み出す。新しいお客様を一社訪ねる、今まで避けていたことを少し学ぶ。その小さな一歩の連なりが、気づけば会社を大きく前へ進めています。

変化を機会と見なせるかどうかで、同じ出来事が、脅威にも追い風にもなります。あなたが変化の先頭に立つ姿は、社員にとって何よりの勇気になります。焦らず、まず半歩から始めていきましょう。

■参考にしたい変化・チェンジリーダーに関する名言

「変化はコントロールできない。できるのは、その先頭に立つことだけである。」
── ピーター・ドラッカー『明日を支配するもの』

「未来を予測する最善の方法は、自分でそれを創り出すことである。」
── ピーター・ドラッカー

「すでに起こった未来を体系的に探すことこそ、イノベーションの機会をとらえる方法である。」
── ピーター・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』

「兵の形は水に象る。水の形は高きを避けて下きに趨く。兵の形は実を避けて虚を撃つ。」
── 孫武『孫子』

■クライアントの実践事例

私のお客様の、小売業S社(社員18名)の社長さんは、長年、地域に根ざした店舗経営を続けてこられた堅実な方でした。近くに大型店が進出し、通信販売も広がる中で、じわじわと客足が減っていることには気づいていました。ですが、「うちのやり方は変えたくない」という思いが強く、なかなか動けずにいたのです。

そこで私がお願いしたのは、店を大きく変えることではありません。今のお客様の声を、あらためて聞いてみることでした。すると、常連の方々が求めていたのは、安さではなく、相談できる相手や、細やかな対応だったのです。大型店にはない、この店ならではの強みでした。

社長さんは、その強みを活かす小さな挑戦を始めました。顔なじみのお客様に向けた注文の取り置きや、電話一本での配達です。慣れた快適領域から、ほんの半歩の踏み出しでした。

一年後、客数は劇的に増えたわけではありません。ですが、離れかけていた常連が戻り、店の空気が明るくなりました。変化を脅威ではなく機会と見た、その視点の転換が、確かな第一歩になったのです。

■変化・チェンジリーダーに関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 変化が大事なのは分かりますが、失敗が怖くて踏み出せません。

A. 当然のお気持ちです。だからこそ、大きく賭ける必要はありません。失っても会社が揺るがない範囲で、小さく試す。半歩だけ踏み出して、手応えを確かめる。この慎重な一歩の積み重ねが、無謀にならずに進化する道です。

Q. 社員が変化を嫌がり、抵抗されてしまいます。

A. 人が安定を求めるのは自然なことです。まずは、なぜ変わる必要があるのかを、脅すのではなく丁寧に語ってください。そして経営者自身が、率先して半歩を踏み出す。その背中を見せることが、言葉よりも社員を動かします。

Q. 今は業績が安定しています。それでも変わるべきでしょうか。

A. 安定しているときこそ、変化を仕込む好機です。追い込まれてからでは、余裕を持って挑めません。世の中が動き続ける以上、留まることは緩やかな後退でもあります。今の安定を、未来への投資に使ってください。

Q. 快適領域から出るとは、具体的にどうすればいいのですか。

A. 日々の中で、いつもは避けていることを一つだけやってみてください。会ったことのない相手を訪ねる、苦手な分野を少し学ぶ。小さな居心地の悪さを、あえて自分に課す。その繰り返しが、変化に強い自分をつくっていきます。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に

とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。

「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。

貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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