← 【65】リーダーシップとは権力ではなく、責任である。【ドラッカー名言】
この記事でまとめたこと
マーケティングは経営の第一目標である
企業の勝敗は、マーケティングの優劣が決める
セブンカフェ・セブンプレミアム(金の食パン)をはじめ、セブンイレブンはコンビニ、小売りの最先端を力強く走っています。
一店舗当たりの売上げにも、競合より2割以上高いのです。
セブンイレブンはなぜ強いのか?
一言で言えば、それは顧客に近いからです。
「顧客を理解すること=マーケティング」で他社を圧倒しているからです。
ドラッカーは、マネジメントの目的を「顧客の創造」と定義しました。そして企業がもつべき基本的な機能はふたつしかない、とも言い切っています。マーケティングとイノベーションです。売上や利益は、その結果として後からついてくるもの。順番を取り違えた瞬間に、経営は少しずつ狂い始めます。
この記事では、「マーケティングは経営の第一目標である」というドラッカーの言葉を、中小企業の現場でどう使えばいいのか、という一点にしぼって解き明かしていきます。大企業の華やかな事例ではなく、社長一人、社員数名で戦っている会社が、明日から視点を変えるための話です。
ドラッカーはなぜマーケティングを「第一の目標」に置いたのか
ドラッカーは経営の目標を語るとき、その筆頭にマーケティングを置きました。これは、「事業においては、顧客を最重要にせよ」ということです。
多くの会社は、経営目標と聞くと、まず売上目標や利益目標を思い浮かべます。もちろんそれらは大切です。しかしドラッカーの考え方では、それらは目標ではなく結果です。目標にすべきなのは、その手前にある「顧客をどれだけ深く理解し、価値を届けられるか」なのです。
リーダーが最重要に自社に問うべきことは、「わが社のマーケティングは機能しているか?」その一点に尽きます。
マーケティング(顧客を理解する・顧客第一・顧客の視点)こそ、第一の目標にすべきものです。マーケティング(顧客第一)をはじめに実践しなくてはなりません。
マーケティングとは「売り込み」のことではない
ここで大きな誤解をほどいておきます。マーケティングという言葉を、多くの経営者は「広告」「宣伝」「売り込みのテクニック」とほぼ同じ意味で使っています。チラシを刷る、SNSに投稿する、キャンペーンを打つ——たしかにそれらもマーケティングの一部ではありますが、本質ではありません。
ドラッカーはむしろ逆のことを言っています。マーケティングが理想的に機能していれば、売り込みは要らなくなる、と。顧客のことを深く理解し、顧客が本当に欲しいものを的確に用意できれば、商品は「売る」のではなく「自然に売れる」状態になるからです。売り込みに必死になっているということは、裏を返せば、マーケティングがまだ弱いというサインでもあるわけです。
マーケティングの語源が教える本質——「Market+ing」
では、具体的にマーケティングとは何でしょうか。
英字で書くとMarketingです。マーケティング=Market(市場の)+ing(中から……)という意味です。会社の中からではなく、顧客のいる市場から見て、事業(商品・サービス)を適正化していくことがマーケティングの本質なのです。
会社の中に、マーケティングは1つもありません。社長室・会議室から顧客は見えません。顧客のもとに行き、市場(現場)からでなければ、事業の真実は把握できない。これこそがマーケティングの本質なのです。
マーケティングで重要なのは視点です。最も大切なことは、視点を自社ではなく、顧客側に完全にチェンジすることです。
企業視点(自社都合の視点)は顧客には必要ありません。顧客が欲しいのは、「私にとって……あなたの会社が何をしてくれるのか?」というただ一点にすぎません。
そのために、企業は企業視点をゼロにして「顧客の視点」で自社を見る必要があります。マーケティングとは、事業のすべてを顧客視点でスタートすることです。
企業の都合・会社の内部視点からはスタートしないということです。商品・サービス、会社のすべてを「顧客の視点」で見直し、価値を上げていくことです。
事例に学ぶ——セブンイレブンはなぜ顧客を理解できるのか
冒頭のセブンイレブンの話に戻ります。同社の強さは、マーケティングという言葉の本質をそのまま体現している点にあります。
マーケティングとはそれほどまでに重要な、「企業活動の理念」です。
同社は、PB(プライベート・ブランド)商品ではメーカーと立場を逆転させ、従わせました。企画は同社が行い、製造のみをメーカーに託したのです。
なぜメーカーに先行できるのか。メーカーより顧客を深く理解し、最適な提案が顧客にできるからです。同社は顧客の購買についての詳細情報を、POSレジシステムを通じ、先行して把握しているのです。
コーヒーやPBでの成功、次に顧客が求めるものは何か。顧客を理解し、商機を創出できる——たった1つの理由は、同社がマーケティングに長けた、「マーケティングカンパニー(顧客への価値創造企業)」だからにほかなりません。
ここで大切なのは、「大企業だからできるのだろう」と切り捨てないことです。セブンイレブンがやっているのは、突き詰めれば「顧客が今、何を買い、何を買わなかったかを毎日見て、明日の品揃えに反映する」ということです。規模は違っても、原理はまったく同じです。中小企業でも、レジのデータ、リピート状況、問い合わせの内容、常連客の一言——手元にある情報から、顧客の変化を毎日読み取ることはできます。
中小企業こそマーケティングで勝てる理由
むしろ、顧客に近づくという一点においては、中小企業のほうが圧倒的に有利です。
大企業は組織が大きいぶん、経営者と顧客のあいだに何層もの階層があり、生の声が届くまでに時間もかかれば、角も取れてしまいます。ところが社長が現場に立っている中小企業なら、顧客の声はダイレクトに、加工されずに耳に入ってきます。この距離の近さこそ、規模の小さな会社に残された最大の武器です。
問題は、その近さを活かしきれていない会社が多いことです。毎日顧客に会っているのに、「なぜこの人はうちを選んだのか」「なぜあの見込み客は買わずに帰ったのか」を、意識して観察し、言葉にしている社長は多くありません。近くにいることと、理解していることは、まったく別のことなのです。
明日からできる——顧客視点への切り替え手順
顧客の視点に立つ、と言葉で言うのは簡単ですが、日々の業務に追われるとすぐに自社都合に戻ってしまいます。そこで、実務に落とすための具体的な手順を挙げておきます。
ひとつ。自社の商品・サービスを説明する文章を書き出し、主語を数えてみてください。「当社は」「わが社の商品は」という自社を主語にした文が多いほど、企業視点に偏っています。それを「あなた(お客様)は、これで〜〜できます」という顧客を主語にした文に書き換えてみる。これだけで視点はかなり動きます。
ふたつ。直近で買ってくれたお客様に、「なぜ、数ある中で当社を選んでくださったのですか」と直接聞いてみてください。答えは、たいてい社長の想像とずれています。そのずれの中にこそ、本当の強みと改善点が眠っています。
みっつ。逆に、問い合わせをくれたのに成約に至らなかった相手に、可能な範囲で理由を聞く。買わなかった理由は、買った理由よりもはるかに多くのことを教えてくれます。
よっつ。これらで得た顧客の言葉を、社長一人で抱え込まず、全社員で共有する場を作る。顧客視点は、一部の人間の感覚ではなく、組織の共通言語にして初めて力を持ちます。
顧客の視点でなければ、事業についての真実を把握することはできません。事業がうまくいかないのは、顧客の視点から見て、何か不具合があるからにほかなりません。経営がうまくいかないのは、顧客の視点を忘れてしまったことが原因です。
経営者はすべての社員が顧客視点で自社を厳しく見られるように教育する必要があります。(日本で言う、お客様第一とはマーケティングと同様の意味です。)
マーケティングとは、企業が一生かけて実践すべき経営理念と言っても過言ではありません。
【今回のポイント】マーケティングとは顧客の視点からすべての事業を見直すことである。
まとめ
ドラッカーがマーケティングを経営の第一目標に置いたのは、企業の存在理由が「顧客の創造」にあるからです。売上や利益は、顧客を深く理解し、顧客に価値を届けた結果として生まれます。順番はいつも、顧客が先、数字は後です。
マーケティングとは、広告や売り込みのテクニックのことではありません。「Market+ing」——市場(顧客)の側から自社を見て、事業のすべてを顧客視点で見直し続けること。その姿勢そのものが、一生かけて実践すべき経営理念です。
そして、この顧客との距離の近さという点で、中小企業は決して不利ではなく、むしろ有利です。社長が現場で顧客の声を直接聞ける会社は、今日からでも視点を変えられます。「わが社のマーケティングは機能しているか」——この問いを、経営の一番上に掲げてください。それが、規模を問わず会社を強くする最初の一歩になります。
マーケティング・ドラッカー名言に関するよくある質問
ドラッカーが言う「マーケティング」と「販売(セリング)」はどう違うのですか?
販売は「すでにある商品をどう売るか」を考えることで、企業側の視点から出発します。一方マーケティングは「顧客は何を求めているか」から出発し、その答えに合わせて商品や事業のほうを変えていきます。ドラッカーは、マーケティングが理想的に機能すれば売り込みは不要になる、とまで述べています。売ることに苦労しているなら、まず顧客理解を疑うべきだ、というのがドラッカーの立場です。
ドラッカーは「マーケティングとイノベーション」を並べて語っていますが、この二つの関係は?
ドラッカーは、企業がもつべき基本的な機能はマーケティングとイノベーションの二つだけだとしています。マーケティングは「今、顧客が求めている価値を理解し届けること」、イノベーションは「顧客がまだ気づいていない、新しい満足を生み出すこと」です。どちらも出発点は顧客であり、車の両輪の関係にあります。マーケティングで顧客を深く知るほど、次に何を生み出すべきかというイノベーションの方向も見えてきます。
中小企業でも、大企業のようなマーケティングはできますか?
できます。むしろ有利です。大企業は経営者と顧客の間に何層もの組織があり、生の声が届きにくいのに対し、社長が現場に立つ中小企業は顧客の声を加工されずに直接受け取れます。高価な調査システムがなくても、「なぜ当社を選んだのか」を一人ひとりに聞くだけで、大企業以上に深い顧客理解にたどり着けます。
顧客の視点に立つには、具体的に何から始めればよいですか?
まずは、自社の商品説明の文章の主語を確認してください。「当社は」で始まる文が多ければ企業視点に偏っています。それを「お客様は、これで〜できます」という顧客を主語にした表現に書き換えるところから始めるのがおすすめです。あわせて、買ってくれたお客様に「選んだ理由」を、買わなかった相手に「選ばなかった理由」を直接聞き、その言葉を社内で共有していくと、顧客視点が組織に根づいていきます。
「マーケティングは経営の第一目標である」とは、売上目標を軽視してよいという意味ですか?
いいえ、逆です。売上や利益を確実に達成するために、その手前にあるマーケティング(顧客理解と価値提供)を最優先せよ、という意味です。数字は目標ではなく結果である、というのがドラッカーの考え方です。顧客を第一に置くことが、結果として最も確実に売上・利益を生む道になります。
ドラッカー理論で経営・マネジメント・リーダーシップ・イノベーション・生産性向上が実現できるセミナーの開催情報は
ドラッカーの伝道師と呼ばれる村瀬弘介の情熱のセミナーです。
まずはセミナーのプレ動画をご覧ください。
バナーをクリックすると各講座の詳細ページに移動します。
【感動から分かるドラッカー人を活かす経営7つの原則講座】
GE・グーグル・アップル・P&Gといった世界的企業やセブンイレブン・ソニー・パナソニック等の国内首位企業が取り入れ成果を上げたドラッカー経営の本質を「感動」の視点から分かり易く解説します。
感動から学べば、ドラッカーはちっとも難しくない。音楽家としても活動する著者独自の視点で語る「感動からのドラッカー」。組織で働く人が生き生きして、高い成果が上がるマネジメントの本質が掴め、実践できる講座です。
【1日で分かる!ドラッカー・感動マネジメント講座】
ドラッカーのマネジメントが1日で、感動から理解できる日本一情熱的なセミナー。
マーケティング・イノベーション・リーダーシップ・マネジメントという経営の原理原則と実践法を1日で学ぶことができます。
【ドラッカーの経営戦略・完全マスタリーコース】
ドラッカーの経営戦略5大書籍をマスターし、実践する連続セミナー。
書籍(マネジメント・イノベーションと企業家精神・経営者に贈る5つの質問・創造する経営者・経営者の条件)の徹底理解と組織での実践法がわかります。
【ドラッカー理論による 経営計画策定セミナー】
【対象者:経営者・経営幹部・上級管理職】
最高業績を出せるドラッカー理論に基づき、社長のビジョンの明確化、自社の戦略の策定、経営計画への落とし込みができる2日間の集中セミナー。
弊社代表コンサルタント・村瀬弘介と社長様が一日をかけ、共に戦略を考えることで、ビジョンを具体化して「明日から使える経営計画書」を作成します。
【対象者:新入社員】
通常の新人研修では得られないビジネスの本質と挑戦するリーダーシップを得て即戦力の新人を手に入れる/本質のドラッカー理論による新入社員1日セミナー。ビジネスの本質と成果を上げる方法をマスターできる講座です。
【ドラッカー研修・ドラッカーコンサルティング】
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、強力な組織の共通思考モデルを創りあげる日本で唯一のドラッカー研修です。
社長の判断軸、経営トップマネジメントチームの育成、マネージャーのリーダーシップ向上など社長へのコンサルティングと研修を組み合わせ、卓越した業界首位企業を実現します。
【ドラッカーセミナー・研修の豊富なプログラムについてはお問合せ下さい】
日本リーダーシップ・オブ・マネジメント㈱には、ドラッカー理論による経営幹部研修・役員研修・管理職研修・マネジメント研修・マーケティング研修・イノベーション研修・リーダーシップ研修・生産性向上研修・経営戦略策定・経営コーチング・後継者育成等、ドラッカーを活かせる豊富な研修プログラム・セミナーがあります。
フォーム・お電話からお気軽にお問合せ下さい。(ドラッカー導入のご相談は無料です。)
【ドラッカーの講義動画を200本以上公開・Youtube 感動から分かる!ドラッカー経営】
【ドラッカーで最高業績を生む経営情報が週に一回届くドラッカーメールマガジン】
【ドラッカーメールマガジン:登録は下記リンクより】
メールアドレスを入れるだけで手続きは簡単です。


















