ドラッカーを活かして、社員に伝わるビジョンをつくる方法

今回は、「ドラッカーを活かして、社員に伝わるビジョンをつくる方法」を紹介しますね。組織を牽引していくリーダーにとっては、ビジョンを確立し、メンバーをビジョンへ向けて導くことがかかせません。

ドラッカーは言います。「ビジョン無きものはリーダーの資格がない、それは事務長にすぎない。」と。

この記事でまとめたこと

■リーダーの持つべきビジョンとは?【ドラッカーのビジョン】

それでは、リーダーが持つべき、ビジョンとは何でしょう?私はビジョンを「未来の映ったテレビ」だと説明しています。リーダーが組織を率いて、実現する未来がゴールであり、それを今見えるように視覚化したものがビジョンです。

つまり、ドラッカーの重視するビジョンとは、あなたがリーダーとして組織を率いると、どんな世界が実現するのか?それを現在の段階で組織のメンバーに資格化して、わかりやすいものにしてあげることが、ビジョンなんです。

ビジョンがなければ、メンバーはリーダーの示す方向性がわからず。リーダーであるあなたについていったらどのような世界が実現するかを、メンバーが認識することはできません。ビジョンがあるからこそ、メンバーはあなたについていったら、どのように世界が変わるのか、どのような世界が実現するのかを知り、あなたに安心してついていくことができるのです。

ビジョン無きリーダー、ビジョンの示されない組織は、航海地図、羅針盤を失った舟と同じです、日々の仕事に追われるのみで、メンバーがどの方向性に行くのか、どこに進んでいるのかを知ることはできません。

ビジョンがあって初めて、メンバーは安心して未来像を意識しながら、日々の仕事にエネルギーを注ぐことができるのです。ビジョンは、村瀬式・ドラッカー理論で確立することができます。

あなたも、村瀬式・ドラッカーを活かし、強いビジョンを組織に明示し、力強い経営を牽引していきませんか?

■リーダーシップとは責任である。【ドラッカーのリーダーシップ】

まず、ドラッカー定義するリーダーシップとは何かについて解説します。ドラッカーは、リーダーシップとは2つの責任であると言います。

■ドラッカーの説く、リーダー2つの責任

【第1の責任】ともに働く人を活かす責任
【第2の責任】 組織に成果を上げさせる責任

リーダーは、この2つの責任を経営の中で強く実践していく存在です。リーダーは、働く人を活かしながら、組織に成果を上げさせる責任を持つのです。

■明確なビジョンを確立して、ビジョナリーリーダーになろう。

ビジョンに導かれるリーダーを、私は「ビジョナリーリーダー」と定義しています

【ビジョナリーリーダーとは】

ビジョナリーリーダーとは使命を軸として組織のあるべき姿を明確に提示できるリーダーのこと。組織のメンバーはリーダーの示す強烈なビジョンに惹(ひ)かれ、大きな仕事を成し遂げます。

組織を動かすには、ビジョンが不可欠なのです。

■ビジョナリーリーダーに求められる2つの条件とは?

ビジョナリーリーダーなリーダーになるために必要な条件は2つあります。

【1】明確な理念(ビジョン)を持っている

ビジョンとは、あなたが、どのような未来・ゴールを実現するかということ。。
明確なビジョンを語れず、業務の細部に、何かにつけて口出しするような人はリーダーとは言えません。

ビジョン無きリーダーは単なる事務長です。事務長では、組織を導くことはできません。

【2】一貫した価値観(信念)を持っている

リーダーは、変転する市場環境の中、常に最適なアクションをとり続ける必要があります。リーダーの行動は、その都度変っても大丈夫です。中国古典にいう、君子は豹変すです。

しかし、根底となる価値観(信念)は、ぶれてはいけません。明確なビジョンと一貫した価値観に、人は導かれていくからです。

では、ぶれない確固たるビジョンをつくるには、どうしたらいいのか?それは、自己の価値観を確立し、価値観に基づくビジョンを構築することなのです。

それでは、ドラッカー理論に基づき、価値観を確立し、価値観に基づくビジョンを構築するステップを解説していきます。

■確固たるビジョンを確立するには、まず①自己の価値観を探り、その後、②価値観に基づくビジョンをつくる。

ドラッカー理論では、まずリーダーの価値観を明らかにすることから始め、次に、価値観に一致した、ビジョンを確立していきます。リーダーの価値観、そして価値観に基づくビジョンは一貫している必要があります。

リーダーに必要とされる「一貫性」については、ドラッカーはこう言っています。「リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならない。リーダーシップは、賢さに支えられるものではない。一貫性に支えられるものである」と。
参考:P・F・ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

それでは、実際にビジョンを確立する方法です。

■ドラッカーで効果的なビジョンを確立するための3つのステップ

【1】リーダーの価値観を確立する

【STEP1】 価値観を確立する

ドラッカー経営におけるリーダーシップは「使命」を核とします。強い使命に導かれ、明確なビジョンを示し、一貫した価値観を持って、メンバーを導き大事を為(な)すのです。

■ビジョンに「一貫した価値観」を盛り込むことで、リーダーの影響力を高めることができる

リーダーシップとは「影響力」です。働く仲間を鼓舞し、組織に制約を超えさせ、高い目標を達成させるリーダーの影響力です。影響力の源は、一貫した価値観です。

影響力は、価値観の強さに比例して強化されていきます。そのため、リーダーの自身が、価値観の権化となって、周囲を感化していく必要があります。

■ビジョンの根となる自己の価値観を知ろう

価値観を強めるために、自分の価値観を知りましょう。次の3つのワークをしてみてください。

【ワーク1】尊敬するリーダーを挙げ、その人が持つ価値観を明らかにする

価値観を明確にするためには、尊敬するリーダーを思い浮かべます。歴史上・架空の人物でもかまいません。次に、そのリーダーが持っている価値観を列挙します。

(例)ドラッカー(真摯さ)、マザー・テレサ(慈愛)、ガンジー(不屈)、スティーブ・ジョブス(反骨心)、稲盛和夫(利他)

尊敬するリーダーは、あなたの大切な価値観の体現者です。このワークによってあなたの重視する価値観が明らかになります。

【ワーク2】仕事、私生活において、絶対に許せない行為を挙げてみる

そしてなぜ許せないのか、自己のどのような価値観に反するかを書き出してみる。切れてしまうほどの許せない行為は、あなたの価値観に反するタブーだというサインです。

例えば、顧客にウソをつく(信頼感に対するタブー)・時間に遅れる(規律重視に対するタブー)。価値観に反する行動を書き出してみることで、自分の重視する重要な価値観がより鮮明になります。

【ワーク3】【ワーク1】と【ワーク2】で分かった価値観を体現する「厳格なルール」を3つ設定する

これまでのワークで、自分の考える重要な価値観が明確になりました。

次は、日々どんな行動をすればその価値観をさらに高めることができるのかを考えます。自己の価値観を、守るためのルールを設定しましょう。

トランスポーター(運び屋)という映画をご存じですが?

この映画では、主人公の運び屋は、自分に厳格なルールを課しています。それは、①契約厳守、②依頼者の名前は聞かない、③荷物は開けないというものです。この形を真似て、自己の価値観を守り抜く3つのルールを定めて下さい。ルールを定めることで、行動に一貫性が生まれます。

価値観と、とる行動が合体する時、リーダーは一貫した価値観を体現する存在となるのです。

【2】 ビジョンをチームに明示する

■【STEP2】ビジョンを明示して、ビジョナリーリーダーとして、組織を導びく

リーダーは使命感を持ち、ビジョンを明示し、使命の実現に向け、仲間を鼓舞、サポートします。使命とは組織の存在理由そのもののことです。

ビジョンは、「組織が未来に向けどうあるべきか? 何を実現するのか? どのように世の中を良くするのか?」ということを視覚化するもの、未来の映ったTVだとお話しました。

マザー・テレサ、ガンジー、キング牧師。偉大なリーダーは皆、世界を変えるほどのビジョンを明確に示し、組織にインスピレーションを与え、メンバーに卓越した活動をなさしめました。ビジョンなきリーダーは退屈なのです。ビジョンがなければ、チームメンバーはどの方向に行けばいいのかがわかりません。

ビジョンをもたない、リーダーは、働く人に対して、「働く・意義・意味」を与えることができないのです。意義のない仕事は、創造性・やりがいを奪い、組織のエネルギーを低下させます。だからこそ、組織にはビジョンが必要なのです。

思うように社員が動いてくれない、覇気が感じられないという状況は、リーダーのビジョンがメンバーに明確に伝わっていないために起こるのです。

このような状況において、私がドラッカ流ーのコンサルで使う、「社長の決意表明シート」が大きな効果を発揮します。

ビジョンが確立したら、「社長の決意表明シート」で社員に効果的に伝え、ビジョンを浸透させていく

「社長の決意表明シート」は、社長のビジョンを組織に明快に伝えて、浸透させることができるシートです。次のワークシートを埋めて決意表明を行ってみましょう。

【リーダーのビジョンを明確に伝える 社長の決意表明ワークシート】
【書籍:ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則(村瀬弘介著)より】

このシートの埋め方を解説します。

■ビジョンを浸透させる・社長の決意表明をつくる3大ポイント

【1】明確なビジョンを示す

リーダーはビジョンによりフォロワーを導きます。ビジョンを示すことではじめて、人々はついて行くことができます。ありありとイメージできるほど、ビジョンが明確でなければ、社員もどの方向に行ったらいいのか、何をするべきかが分かりません。ビジョンは「崇高」で、働く者を挑戦に駆り立て、鼓舞するものである必要があります。

【2】マーケティング的な視点を持つ(社長目線でなく、社員目線で伝わらなければ意味がない)

会社の施策を発表するときには、マーケティング同様、「顧客の視点のメリット」、社員にとってどんなメリットがあるのかという点を伝えます。
リーダーシップとはマーケティングです。社員の目から見て、価値ある提案をしているか。組織の求心力を高めていくためには、社員を顧客と考えたマーケティング的視点を持たなければなりません。

社長がいい会社にしたいと言っても、社員に伝わらなければ意味がありません。人間というのは現金なものです。聞き手にとって、興味があるのは、自分にどんなメリットがあるのかという一点です。そのため、まず、社長の方針を書き上げ、次に、それを行うことが、相手にどんなメリットがあるのかという視点から内容を再構成します。

このプランは素晴らしいことなので行って下さい、と言うのではなく、このプランを実施することは、聞き手(社員)にとってどんなメリットがあるのかという社員視点で、発信することが重要です。

【3】これまでと、今後では何が違うのかを明確にビジョンで示すこと

方針表明では、これまでと、今後では何か変わるのかという、ビフォアー・アフターを明確にします。未来に実現したい自社の姿と、これまでとは何が違うのかという点を語れば、メンバーの理解はより深まります。

是非、これまでの「村瀬式・ドラッカー」シートを参考に、ビジョンを組織に強く浸透させてください。ビジョナリーリーダーとなって、組織を強く牽引していきましょう。

ドラッカー理論で社長のビジョンを確立ち、組織に火をつける方法をセミナーで解説しています。確固たるビジョンを気づき、組織を成長路線に向かわせたい社長様は、是非、ご受講をお勧めします。

社長の人生が変わるほどの熱量で、ドラッカーの人を活かすマネジメントの本質を伝えていきます。

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