事業を永続させる、次世代のリーダーを育てるために、管理職研修では何を教えればいいのでしょう。
社長に言われたことをただ、番頭のように管理するタイプの管理職では、この大変化の時代を乗り切ることがきびしくなってきています。

大変化の時代に、事業を成長させることができる管理職とはどうあるべきか。
そして、そのような人材は、どのようにしたら育成できるかについて解説します。

この記事でまとめたこと

■現代にもとめられる管理職の役割の変化とは?

ドラッカーは言います。
「これからは管理的な人材ではリーダーになれない、起業家的な人材でなくてはならない」(現代の経営)

・上司に言われたことやるだけの管理型リーダーシップはもはや通用しない。

右肩上がりの経済の中では、トップが言ったことと補完的におこなっていればいいだけの、番頭タイプの管理職でも組織をマネジメントして、成長させることができました。

しかし、失われた20年という日本経済の中、また多くの企業が伸び悩んでいる経済の中で、トップにいわれたことをただ行っているだけの管理職では、高い成果を上げることはできません。

■成長が停滞している時代には、管理職は、起業家的人材にならねばならない。

・経済が停滞している現代において重要なことは、管理職が自ら、日々の組織のマネジメントの中で、新たな事業や顧客への価値を生み出す、起業家的な人材となること

単に上司に言われたことを、遂行するだけの、業務遂行型の管理職ではこの時代を乗り切ることはできません。
大変化の時代に、事業機会を見つけて、価値を新たに創造できる管理職が求められているのです。

・起業家的人材とはゼロからイチを生み出せる人

起業家とは、ゼロから一を生み出す人、事業を立ち上げることができる人です。

明日会社がなくなったしても、知恵を絞り、新たなビジネスを生み出すことができるものが起業家です。ビジネスにおいて最強なのが、起業家人材です。

起業家的な管理職は、いわゆる、一般的な業務遂行型な管理職とは、真逆の存在です。

業務遂行型なリーダーは定型的な仕事をし続けるだけの人。
起業家型の管理職は、変化の時代に事業機会を探し、新たな事業を創れる人なのです。

■起業家的な管理職とは、変化をマネジメントできる人材である。

・起業家的な管理職になって初めて、変化の時代をマネジメントすることができる

起業家は、変化の時代に、事業機会を探り、新たな顧客価値を生み出していきます。

ドラッカーは言います。
「変化をマネジメントするには、自らが変化の先頭に立ち、変化を機会として扱わねばならない」(マネジメント)

これからの時代の管理職は、業務遂行型人材ではいけません。
変化を機会と捉え、事業を創造できる起業家な管理職人材に進化することが重要なのです。

■これまでの管理職研修が通用しない時代

これまでの管理職の研修は、組織内部の管理に重点がおかれていました。トップから与えられた仕事を着実にこなせる業務遂行的な、内部管理人材が都合がよかったのです。

しかし、内部管理的な管理職では、この経済が停滞する時代を切り拓く次世代を乗り切ることはできません

・管理職研修で育てるべきは、内部管理人材でなく、起業家人材

これからの管理職の研修は、内部管理ではなく、外部にある市場・顧客の変化を捉え、機会を生み出すハングリーな起業家人材を育成するものでなければならないのです。

それでは、起業家的な管理職を生み出すにはどのような研修が必要になのか考えてみましょう。

■起業家的な管理職を育成するためにはどんな研修が必要か?

起業家的な管理職を育成する研修で育てる人材は、市場の変化を捉え、経営者と同等の視点で、事業を創造できる人材です。

管理職は、社内の管理スキルにとどまらず、市場・顧客を洞察するスキル、すなわちマーケティングスキルを学ぶ必要があります。

・マーケティングとイノベーションで顧客を創造できる経営スキルを管理職は学べ

これから重要になる組織のマネジメントのスキルとは、内部管理のみならず、市場に向けて新たな価値を創造できるスキル、マーケティングとイノベーションです。

ドラッカーは言います。
「経営とは、顧客の創造である。」
「顧客の創造は、マーケティングとイノベーションで行う」と。(マネジメントエッセンシャル版)

これからの管理職研修で育成するリーダーは、マーケティングとイノベーションを駆使して、顧客を創造できる起業家リーダーです。

管理職が、起業家リーダーになるためには、経営を学ぶ必要があります。
しかも、社内管理ではなく、市場・顧客に向けて価値を高める意味での経営全般です。

管理職は、起業家になるための学びをしなければいけません。
起業家になるための学びとは、起業家精神の含まれた経営の原理原則を学ぶことです。
起業家精神を学ぶ経営学で最大のものは、ピーター・ドラッカーの経営です。

マネジメント(経営)の父と呼ばれたドラッカーの教えは、起業家精神を最重視します。
また、環境変化に対応できるチェンジリーダーを育てることができるものが、ドラッカーの原理原則です。

■ドラッカーは難しい、中小企業の管理職がどのように実践すればいいか?

しかしドラッカーは、難解な書籍が多く、社長でもなかなか難しい学問でもあります。
経営の元祖、経営卓越のナンバーワンの学問と言われながら、ドラッカーはむずかしいといわれ、まだまだ多くの社長、管理職がドラッカーを習得できずにいるのです。

そこで私、難解なドラッカーを貫くコンセプトをたった7つに集約し、「人を活かす経営7つの原則」という書籍にしました。

この7つの原則は、シンプルで、しかもドラッカーの本質をすべて網羅でき、中小企業でも平易に導入できるものです。

今回は、この7つの原則を活かした管理職の研修法についてお伝えします。

7つの原則とは、7つの組織のマネジメントスキルのことです。

■起業家的な管理職を育てるためには「ドラッカーの7つの組織マネジメントスキル」を身につければよい

・起業家的な管理職に必要とされる7つの組織マネジメントスキルとは?

ドラッカーが定義する起業家リーダーに必要なスキルを、管理職向けに体系的に分類すると次の7つのスキルになります。

■【1】マーケティングスキル 管理職は顧客志向であれ

ドラッカーは、マーケティングは経営の第一目標だといます。マーケティングとは市場・顧客との関係性をマネジメントすることです。組織は外部にいる顧客に貢献することによってのみ、利益を上げることができます。

組織の目的は、外部に向けられるべきであり、市場への貢献こそ、管理職が第一義とするべきものです。内部管理的な人材でなく、市場志向の管理職が、顧客志向の組織をつくるからこそ、高い成果をあげることがでるのです。

■【2】イノベーションスキル 管理職は変革を進めよ

ドラッカーは言います。この動的な社会では、「イノベーションを常としなければいかない。」【マネジメント】

組織は、自ら変化しなければ生き残っていくことはできません。市場が変化しているのに、組織が以前と同じままでは、事業は退化しているということです。管理職には、これまでの成功体験にとらわれずに、イノベーションを起こし、市場に合わせて、自社を何度も創り変えていく変革思考が求められます。

■【3】生産性向上スキル 管理職は生産性を上げよ

ドラッカーは言います。「成果をあげるかそうでないかは、能力の問題ではない。成果を上げる習慣を身に着けているかである。」【経営者の条件】

生産性向上の技術は成果を上げる具体的なスキルです。管理職は成果に厳格でなくてはいけません。管理職は「人・モノ・金」という会社の資源を結集し、生産性を高め、成果を上げる必要があるからです。

■【4】組織学習スキル 管理職は組織に学習させよ

現代の知識社会においては、今日、最先端の知識を持っていたとしても、継続して研鑽(することなしには、すぐに陳腐化してしまいます。知識社会で活躍するためには、学校の卒業後にこそ、チームは継続学習により知識をアップデートすることが必要です。

管理職は組織に自己啓発・継続学習を奨励し、学び・教え合う組織・「学習する組織」を創る必要があるのです。
組織の強みの源は、帰属する人間の持つ知識・ノウハウであり、人の成長は無限です。人を中心にするドラッカー経営では、管理職は、メンバーの成長を心から願い、支援していきます。

■【5】リーダーシップスキル 管理職はリーダーシップを確立せよ

管理職は使命感を持って、経営の中で2つの責任を果たします。第一に組織に成果を上げさせる責任であり、第二に働く人を活かす責任です。組織の盛衰の責任は、リーダー自身あると言っても過言ではありません。これからは、すべての人がリーダーになる時代です。

世の中をより良くするという使命感に燃える経営者がリーダーシップを確立し、組織のリーダーシップに火をつけていきます。ドラッカーの研修において、すべての人が、起業家的なリーダーとして市場に攻撃的に挑む原則を身につけます。

■【6】ミッション・ビジョンスキルを確立し、浸透させるスキル 管理職は経営理念を浸透せよ

使命に目覚める時、人ははじめて生きる意義を得ます。働く人の人格の延長として、真のビジネスがあります。リーダーとして、何を成し遂げるためにこの世に生を受けたのかに気づき、仲間たちも、崇高な使命に目覚めさせることが、あなたの役割です。

使命・経営理念を浸透して、組織に大義を与え、メンバーを目覚めさせさせ、「志事(しごと)」に邁進(まいしん)してもらうのです。いかに仕事の意義を認識させて、経営理念に魂を入れられるか。ミッション・ビジョンの浸透は、リーダーが取り組むべき真摯な仕事です。

■【7】マネジメントスキル 管理職は働く仲間が活かされる組織を実現せよ

ドラッカーは著書の中で「マネジメントは人にかかわること」と述べています。
経営においては、なによりもまず人の尊厳(幸せ)を第一に考えよ! ということです。

管理職は、すべての中心に人間を置き、人が幸せになる社会を実現する、「マネジメントリーダー」として克己し、組織に高い成果を上げます。ドラッカーのマネジメントの根底にある理念とは、人を活(い)かし、幸せにする経営です。

・この7つの組織マネジメントのスキルを身に着ける、管理職の研修プログラムを解説します、

■組織のマネジメントスキルが身につく・ドラッカー管理職研修とは

起業家的な管理職を育てるために必要な、7つの組織のマネジメントスキルを身に着けることのできる研修をご紹介します。
この研修は、本ブログの執筆者であり、ドラッカー理論による人材育成書「ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則(産業能率大学出版)」著:、村瀬弘介の理論をベースに開設していきます。

■【1】管理職のためのドラッカー・マーケティング研修

【目的】 顧客に熱烈に支持され、市場で勝てる会社をつくれる管理職をつくる

「顧客志向で機会を創出する。」
「市場の変化をつかみ、変革の担い手になれ。」 (ドラッカー・チェンジリーダーの条件)

顧客志向を高め、ライバルに差別化して選ばれ続けるためのマーケティングを学びます。
ドラッカーのマーケティング思考を徹底的に学ぶことで、市場を理解する力が高まり、顧客とのより良い関係性がマネジメントできるようになります。

ドラッカーのマーケティング会議を仕組化し、組織で働くすべての人が、マーケターとして事業機会をみつけることができるようになります。
マーケティングを習得することは、管理職が組織をマネジメントする際に、最も大切なスキルです。

■【2】管理職のためのドラッカー・イノベーション研修

【目的】 変転する顧客・市場に合わせ、変革し続ける会社をつくる管理職をつくる

「古きを捨て、新領域に挑戦せよ。」
「未来志向でイノベーションの断絶を飛べ 」(ドラッカー・イノベーションと起業家精神)

管理職は、組織の日常のマネジメントのみならず、新たな事業づくりにも取り組む必要があります。
新規事業を生み出すために、イノベーションを起こすための組織のマネジメントスキルが身につきます。

ドラッカーのイノベーション創出会議、イノベーションの組織づくり、新規事業創出アイデア研修も併せて行います。

■【3】管理職のためのドラッカー・生産性向上研修

【目的】 組織の生産性を高め、成果志向に向かわせる管理職をつくる

「成果に集中し、高い成果をあげる。アウトプット思考のリーダーとなれ!」 (ドラッカー・経営者の条件)

知識労働者の生産性を最大化するためのドラッカーの生産性の原則を軸に、成果志向の組織をつくるための組織のマネジメントスキルを身に着けます。

組織を成果に集中させる技術を、管理職が身に着けることで、メンバーを成果志向に変え、チームの生産性を何倍にもすることができます。
生産性を上げるタイムマネジメント、会議の効率的な運営法、セルフリーダーシップの向上を併せて行います。

■【4】管理職のためのドラッカー・リーダーシップ研修

【目的】 メンバーが、誇りある、起業家としてのリーダーシップを確立する。

リーダーシップ=起業家精神を宿し、組織に挑戦させよ (ドラッカー・創造する経営者)

リーダー以上になる組織はない、リーダーの限界が組織の限界である。とドラッカーは言います。組織を正しくマネジメントするスキルのみならず、人間学的な、人としての器も求められます。

管理職は、ドラッカーの原理原則を学ぶことで、リーダーはぶれない経営判断をできるようになります。リーダーとしての正しいあり方、リーダーシップの本質、またいかにより高いリーダーシップを確立し、組織をマネジメントしていくかについて、ドラッカーの原則と実例を踏まえ、管理職の深いレベルまで浸透させます。

■【5】管理職のためのドラッカー・セルフマネジメントと学習する組織づくり研修

【目的】 メンバー自律的に学習させ、自己成長していくチームに進化する。

メンバーの人間的成長を実現し、誇りあるものとせよ。(ドラッカー・プロフェッショナルの条件)

組織の最大の資産は、人です。人は学ぶことによって成長していきます。管理職は、メンバーに共に学び、共に教え、成長する組織を実現しなければいけません。

自主的に学び、成長できる組織文化をつくるドラッカーの原則を学びます。自ら学び、成長する自動成長のサイクルを学びます。

■【6】管理職のためのドラッカー・ミッション・ビジョン確立研修

【目的】 ミッション・ビジョンを確立し、確固たる軸をもってチームをマネジメントできるようになる。
使命に目覚める時、人ははじめて生きる意義を得ます。 誠実な人格の延長として、真のビジネスがあります。

多くの管理職がミッション・ビジョンを確立していないため、メンバーに対し、組織の進むべき方向性を示せずにいます。企業の存在意義(ミッション)、今後進むべき方向性(ビジョン)を明確に作り上げて、メンバーに示すことは、チームを一丸とし、成果を上げるために重要な組織のマネジメントスキルの一つです。

■【7】管理職のためのドラッカー・組織マネジメント研修

【目的】メンバーの強みを活かし、弱みは打ち消し、卓越した成果を上げる会社になる。

人が成果を上げるのは強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。【ドラッカー・マネジメント

ドラッカーの経営では、強みを中心として、事業、人を伸ばし、卓越した存在を目指します。管理職のマネジメント研修では、チームの成果を最大化する、人材の活かし方を、ドラッカーの強み集中の原則から学びます。

チームの成果を最大化するには、メンバーの強みをつなぎ合わせて、弱みをゼロにする必要があります。
強みを中心としていかに組織の生産性につなげるか。強みからチームメンバーが成長する組織をどうつくるか。強みを中心とし成果をあげる管理職のマネジメントの本質がわかります。

■管理職の7つの組織マネジメントスキルは、村瀬弘介のコンサルティングで一括して導入可能です。

今述べた、7つの組織マネジメントスキルは、ドラッカーコンサルタント村瀬弘介の行う管理職研修の1年間のプログラムで実施可能です。


村瀬のドラッカー管理職研修は、7つの組織のマネジメントスキルを年間プログラムとして、体系的に実施します。そして、ドラッカー思考で、起業家的に組織をマネジメントできる管理職を1年間で育てていきます。

具体的には、ドラッカー専門のコンサルタント・村瀬弘介の主催するドラッカー管理職研修は次のような形式で開催しています。

■ドラッカーの管理職研修の開催方法

・対象 経営幹部 管理職 主任レベルまで(階層別に行います)
・人数 15名程度
・カリキュラム 著者書籍「ドラッカーが教えてくれる 火を活かし経営7つの原則」に即して行います。
・時間 1回4時間30分~半日
・期間 月一度開催で12回の年間研修プラン
・費用面 1回あたり30万円から50万円
・形式 対面・オンライン

ドラッカーの伝道師と呼ばわれるドラッカー専門のコンサルタント村瀬弘介の研修情報については、
以下のリンクをご参考にしてください。

■ドラッカーの管理職研修・セミナー情報


【対象者:経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー】
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、強力な組織の共通思考モデルを創りあげる日本で唯一のドラッカー研修です。
社長の判断軸、経営トップマネジメントチームの育成、マネージャーのリーダーシップ向上など社長へのコンサルティングと研修を組み合わせ、卓越した業界首位企業を実現します。
ご参考にしていただけましたら幸いです。

■人生が変わるドラッカー講座! 村瀬弘介の灼熱のセミナー

人生が変わるほど、熱く、魂に響く、事業アイデアがあふれる、ドラッカーの伝道師・村瀬弘介のセミナーを体感ください。

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ブログ執筆者 ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

2002年、大学卒業後、株式会社KUBOTAの人事教育部で全社の人材育成を担当。2011年、経営と起業家精神をより深く学ぶために日本経営道協会(コンサルタント)に転職。

2013年、小宮一慶氏の経営する株式会社小宮コンサルタンツに経営コンサルタントとして転籍。本格的な経営コンサルティングを開始。マネジメントを学ぶ中で、【ドラッカーの人を活かす経営】との運命的な出会いを果たす。

人が活かされ、高い成果を上げる幸せな企業をつくることこそ自分の天命だと悟り、2017年独立。「高い理想と自己犠牲の精神で、人の魂の成長に貢献する」「リーダーの人格の向上に奉仕する」をコンセプトに、使命感を持って日々の業務にあたっている。

講師としても依頼が絶えず、全国の商工会議所、経営者団体など各種経済団体でのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」「ドラッカーが降りてきた」「マネジメントの真髄を見た」と熱狂的に支持する経営者が後を絶たない。

著書:『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則(産業能率大学出版部・Amazon【企業経営部門】第2位)』