← チームの強みで成果をあげる方法!ドラッカーの社員教育【管理職研修】
こんにちは、村瀬弘介です。今日は、社員の生産性を上げる方法について、ドラッカーの経営理論をもとに、中小企業の現場でそのまま使える形でお話しします。
「社員の生産性を上げたい」というのは、経営者なら誰もが抱くテーマです。ただ、その言葉の中身は人によってずいぶん違います。残業を減らしたいのか、一人あたりの売上を増やしたいのか、それとも今のメンバーのまま会社をもう一段成長させたいのか。ここでお伝えするのは、その全部に効く土台の考え方です。
私のクライアントの中には、実際にこの方法を使って、社員の目標達成率がなんと200%近くになったり、パート社員の方が正社員の1.5倍の成果を出したりする成功事例も多数あります。特別な人材を新しく採ったわけではありません。今いる社員のまま、やり方を変えただけです。
ドラッカー経営では、成果を上げるポイントが4つあります。強みに集中すること、成果に集中すること、貢献意識を持たせること、そして大量行動をとること。この4つを順番に、具体的な手順とともに紹介していきます。
この記事でまとめたこと
そもそも「生産性を上げる」とは何をすることか
本題に入る前に、言葉の整理をしておきます。生産性とは、ざっくり言えば「投入した時間や労力に対して、どれだけの成果が出たか」の割合です。
ですから生産性を上げる道は、大きく分けて二つしかありません。一つは、同じ時間でより多くの成果を出すこと。もう一つは、成果を減らさずに投入する時間や労力を減らすことです。
多くの会社が生産性向上でつまずくのは、ここを飛ばして「もっと頑張れ」「もっと効率よく」という精神論に走ってしまうからです。頑張る方向が間違っていれば、頑張るほど疲れて成果は出ません。これから紹介する4つのポイントは、「どこに頑張りを向けるか」を定めるためのものだと思って読んでください。
【1】強みに集中すること
ドラッカーは言います。「人が成果を上げるのは強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になることさえない。」と。
社員に成果をあげてもらうためには、個々の弱みではなく、強みにフォーカスしなければなりません。
会社は、社員の強みを伸ばすことに集中されていますか。弱みを矯正しようとやっきになっていませんか。強みでなければ、成果は上がらないのです。
なぜ弱みの矯正では成果が出ないのか
人事評価の面談を思い出してみてください。多くの会社では、「ここができていない」「あれが足りない」という話が中心になります。もちろん、最低限のレベルに満たない部分は直す必要があります。しかし、人並みの弱みを人並みにするまでには、途方もないエネルギーがかかります。そして、そこまでやっても手に入るのは「平凡」でしかありません。
一方、もともと得意なことをさらに伸ばせば、同じエネルギーで抜きん出た成果になります。生産性という観点で見れば、どちらに力を注ぐべきかは明らかです。
中小企業ですぐできる強みの見つけ方
強みは、意外と本人にも見えていないことが多いものです。次の三つの問いを、面談や日々の会話の中で使ってみてください。
一つ、その社員が「気づいたら時間を忘れてやっている」仕事は何か。二つ、周りの人から「これはあの人に頼むと早い・うまい」と言われる仕事は何か。三つ、本人が苦もなくやっているのに、周りが「よくそんなことできるね」と驚く仕事は何か。
この三つが重なるところに、その人の強みがあります。たとえば、事務のパート社員が「顧客からの細かい問い合わせに、嫌な顔一つせず丁寧に答えられる」なら、それは立派な強みです。その人にクレーム一次対応や既存顧客のフォローを任せれば、営業担当は新規に集中でき、会社全体の生産性が上がります。強みに集中するとは、こういう役割の組み替えのことです。
【2】成果に集中すること
成果を上げるためには、成果に集中する必要があります。集中とは、それのみ行うこと、それ以外やらないことです。
超簡単に言いますと、成果以外やらせない姿勢が大切になります。
ドラッカーは言います。「成果を上げる鍵は、成果に集中することである。」「そのためには、成果につながらない一切の活動を止めさせることである。」と。全社員一人ひとりの成果を明確にして、基本、成果につながる行動のみ行う組織をつくる必要があります。
社員の中には、なんとなく日々の仕事をやっている人もいます。成果を明確にして、成果につながらない一切の行動を捨てさせるからこそ、成果に集中することができて、成果があがるのです。
「やめる仕事」を決めることが出発点
生産性の話になると、みんな「何を足すか」を考えます。新しいツール、新しい施策、新しいチェック項目。しかし、時間は有限です。何かを足すなら、必ず何かをやめなければ、社員はパンクします。
ドラッカーが「一切の活動を止めさせる」と言い切っているのは、ここが本質だからです。まず問うべきは「この仕事は、もし今やっていなかったとして、これから新しく始めるだろうか」です。答えがノーなら、その仕事はやめる候補です。
中小企業での具体的な進め方
実務では、次の手順をおすすめしています。
まず、社員それぞれに、直近一週間の業務を15分単位で書き出してもらいます。次に、その一つひとつに「これは成果に直結するか」「間接的に支えているか」「実は惰性で続けているだけか」の三段階で印をつけます。そして、「惰性」の印がついた業務を、思い切って一つか二つやめてみます。
たとえば、誰も読んでいない日報、形だけになった定例会議、二重に入力している台帳。こうしたものを一つやめるだけで、社員は週に数時間を取り戻せます。その時間を強みの仕事に振り向ければ、それだけで生産性は上がります。やめて困ったら戻せばいい、くらいの軽さで始めるのがコツです。
【3】貢献意識を持たせること
成果を上げるためには、社員がやりたいことではなく、会社に求められていることに貢献する必要があります。
経営計画書のどの部分に貢献するのかを明確にし、社員にはやりたいことではなく、求められることに集中してもらうよう促すことが重要です。
社員には、今期の経営計画に対してどのように貢献できるのかを具体的に伝えることで、貢献意識を持たせることができます。また、目標設定面談などを通じて、社員自身が自分の仕事が会社全体の成果にどのように貢献しているのかを理解し、自らの役割と貢献を明確にするとさらに効果的になります。
「作業」を「貢献」に変える一言
同じ仕事でも、それを「作業」と捉えている人と「貢献」と捉えている人では、生産性がまるで違います。有名なレンガ職人の話があります。「レンガを積んでいる」と答えた職人と、「人々が祈る大聖堂をつくっている」と答えた職人。手を動かしている内容は同じでも、後者のほうが工夫し、粘り、質の高い仕事をします。
経営者の役割は、日々の作業が会社のどの成果につながっているのかを、社員に言葉で結びつけてあげることです。「この見積もりを早く出すことが、うちの強みであるスピード対応を支えている」という具合に、一言添えるだけで、社員の仕事の意味が変わります。
目標設定面談で使える問い
半期に一度の面談で、次のように問いかけてみてください。「今期の会社の目標の中で、あなたが一番貢献できると思う部分はどこですか」。上から役割を割り振るのではなく、本人に貢献先を選ばせると、当事者意識が生まれます。選んだ以上は自分の仕事になり、指示待ちが減ります。これが貢献意識の土台になります。
【4】大量行動をとる
成果を倍増させるためには、これまで以上の大量行動が必要です。
社員全体が行動量の基準を上げ、成果に向けて積極的な行動をとることが必要です。組織全体で行動量の基準を共有し、KPIを明確に設定して、目標に向かって行動する文化をつくることが必要になります。
質を上げたければ、まず量を確保する
「量より質だ」とよく言われます。しかし現場を見ていると、質は十分な量をこなした先にしか身につきません。営業の切り返しトークも、企画の精度も、量を重ねる中で磨かれていきます。最初から質だけを求めると、社員は失敗を恐れて動かなくなり、かえって成長が止まります。
まずは、成果につながる行動の量をはっきり決めることです。訪問件数、提案件数、フォローの電話本数。何でも構いませんが、成果に直結する一つの行動を選び、その基準を全員で共有します。
KPIは「結果」ではなく「行動」で置く
ここで大事なのは、KPIを売上や契約数といった結果の数字だけで置かないことです。結果は相手のあることなので、頑張っても届かない日があります。それだと社員は疲弊します。
そうではなく、自分の意志でコントロールできる行動の数字をKPIにします。たとえば「一日3件の既存顧客フォロー」なら、やるかやらないかは本人次第です。行動を積み上げれば結果はあとからついてくる、という順番で設計すると、社員は安心して大量行動に踏み出せます。行動量が上がれば、掛け算で成果が伸びていきます。
4つのポイントは掛け算で効く
ここまでの4つは、どれか一つだけやればよいものではありません。強みに集中し、成果に絞り込み、貢献意識を持ち、そのうえで大量行動をとる。この4つが噛み合ったとき、生産性は足し算ではなく掛け算で伸びます。
冒頭でお話しした「達成率200%」「パートが正社員の1.5倍」という事例も、特別なことをしたわけではありません。今いる社員の強みを見極め、無駄な仕事をやめさせ、貢献先を本人に選ばせ、行動量の基準を上げた。この積み重ねの結果です。
まとめ
今回は、社員の生産性を上げる方法を、ドラッカー経営の4つのポイントに沿ってお話ししました。最後に要点を整理します。
強みに集中すること。社員の弱みを矯正するのではなく、強みを見極めて役割を組み替える。同じエネルギーで抜きん出た成果になります。
成果に集中すること。足すより先に、惰性で続けている仕事をやめる。空いた時間を成果に直結する仕事へ振り向けます。
貢献意識を持たせること。日々の作業が会社のどの成果につながるのかを言葉で結びつけ、貢献先は本人に選ばせる。指示待ちが減ります。
大量行動をとること。KPIは結果ではなく、自分でコントロールできる行動の数で置く。量が質を連れてきて、成果が掛け算で伸びます。
どれも、新しい人を採らなくても、今日から始められることばかりです。まずは一つ、自社で手をつけやすいところから試してみてください。社員の生産性は、必ず動き始めます。
社員の生産性を上げる方法に関するよくある質問
Q. 生産性を上げようとすると、社員から反発が出ないか心配です。
反発の多くは「仕事を増やされる」と受け取られたときに起きます。今回のやり方は、まず惰性の仕事をやめることから始めるので、社員にとってはむしろ負担が減る話です。「もっと成果を出せ」ではなく「無駄をやめて、得意なことに集中しよう」という順番で伝えると、反発は起きにくくなります。
Q. パート社員やアルバイトにも同じ考え方は使えますか。
使えます。冒頭の「パート社員が正社員の1.5倍の成果」という事例が、まさにそれです。雇用形態に関係なく、人は強みを生かせる仕事で、自分の貢献が見えているときに力を発揮します。むしろ、担当業務がはっきりしているパート社員のほうが、強みへの集中がやりやすい場合もあります。
Q. 効果が出るまで、どれくらいの期間がかかりますか。
「やめる仕事を一つ決める」のように、すぐ着手できるものは、その週から時間が生まれます。強みへの役割の組み替えや、行動量の基準づくりは、定着まで数ヶ月を見ておくと安心です。一度に全部を変えようとせず、四半期ごとに一つずつ手をつけると、無理なく続けられます。
Q. まず何から手をつければよいですか。
最初の一歩としておすすめするのは、【2】の「やめる仕事を決める」ことです。強みの発見や評価制度の見直しは時間がかかりますが、無駄な仕事をやめるのは今日からできて、効果もすぐ実感できます。生まれた時間を、社員それぞれの強みの仕事に振り向けてください。
Q. 経営計画書がまだありません。それでも進められますか。
進められます。立派な計画書がなくても、「今期、会社として一番達成したいことは何か」を経営者が一つ言葉にできれば十分です。それを社員と共有し、「その達成に、あなたはどこで貢献できるか」を問うところから、貢献意識は育ち始めます。
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