日本の未来を担うエグゼクティブ向けビジネス季刊誌「Saysouce Magazine」に代表村瀬の寄稿が掲載されました。

掲載内容をブログに転載いたします。

連載「もし現代の経営相談をドラッカーが受けたら」

第1回 「人手不足の解消法 」

「優秀な人材が欲しいけど採用できない」「手塩にかけて育てた社員が辞めてしまった」――。

こうした悩みを抱える経営者は今も昔も少なくありません。

これらの諸問題について、「20世紀最大の知恵者」と呼ばれたピーター・ドラッカーが相談を受けたら、どう答えるのでしょうか。

このコーナーでは、「経営の父」の異名を持つドラッカーの教えを「日本一わかりやすく教える」と評判の‶ドラッカー専門コンサルタント″村瀬弘介氏が、ドラッカー理論を踏まえて現代の経営者が抱える悩みを解決します。

第一回は、「急に人手が足りなくなった場合、とうすればいいか」という悩みについてです。

■採用を急ぐより生産性を見直してみる

私のクライアント企業は首都圏にも地方にもおられますが、「人手が足りない」「いい人材が来ない」といったお声が多く、皆さん採用にはとても苦労されています。特に建設業や飲食業では顕著ですね。

「求人広告を出しても応募がこない」「採用したが、急に来なくなってしまった」というお声も多い。

今後、日本の労働人口が減っていくというのは大前提ですが、経営のリソースとして『人』『もの』『お金』の中で一番大事なのは『人』です。

ドラッカーの説く経営やマネジメントにおいても、全ての中心は『人』にあります。

組織にどれだけ優秀な人材を採用できるか。そして、雇い続けられるか。ドラッカーは著書「現代の経営」や「ネクスト・ソサエティ」の中で、その重要性を述べています。

人が足りないという課題の解決策には、新しい人材の採用と、すでにいる人材の生産性を上げるという二つがあります。

中小企業の場合は特にですが、人が抜けてしまっても採用を急がず、後者の生産性向上を優先して取り組むべきです。

例えば、今まである部署を10人で回していたのに、二人辞めてしまったという状況があるとします。

その場合でも、ドラッカーはすぐに補充はしないほうがいいと言うのです。

なぜなら、大企業と比較すると、中小企業の社員一人あたりの売上や粗利は、およそ5分の1と言われ、生産性が非常に低いからです。

業界によって異なりますが、平均値で言えば、大企業では社員一人あたりの売上が1億円なのに対し、中小企業ではグンと落ちて、だいたい1500〜2000万円にとどまる計算です。

もし一人あたりの売上が業界平均を超えていない場合、離退職により人数が減ったのなら、採用以前に「より少ない人数で仕事をするには、どうすればいいか」を考えるべきです。

部内の業務を棚卸するとか、タスクの割り振り方を見直すとか、方法はあります。2、3ヶ月は増員をせずに、徹底して生産性を上げる工夫をしていただきたいのです。

お客様に対するサービス低下が免れない場合や、緊急の対応ができなくなるといった場合には、採用を急ぐ必要性もあるとは思います。

ただ、特に直接利益を生まない管理・スタッフ部門の場合には、採用や増員には慎重になってください。

■問われるリーダーの資格

今年6月にサービスを始めた「‶最強の経営者″養成プログラム」でも話していますが、中小企業の場合、部署と仕事を縦割りに区分なんてしていたら、仕事が成立しません。一人が二人分、三人分働いてようやく成立するのです。

たぶん社員の皆さんからすれば、「これではできません」「人を増やしてください」と思うでしょう。もちろん現場との相談や、社員への激励は必要です。

でも、今の人数で回そうと一丸となれば、案外できてしまうものです。

社長の皆様は「大変だけど、そこをなんとかみんなでやってみよう」と激励する方針を貫いてください。

私の著書では、『イノベーション』を第2の原則で扱っています。

すでに役立たなくなった既存業務や成果を生まなくなった行動、仕事のプロセスを見直してみてください。

今やっている会議は、本当に時間を投じる価値がありますか?二つの会議を一つにまとめられませんか?

種々の報告書や決済書類の中で、不要なものはありませんか?ただこの場合、お客様へのサービス品質だけは絶対に落とさないよう注意が必要です。

「‶最強の経営者″養成プログラム」ではかなり時間を割いて、個人と組織の生産性アップについて解説しています。社員一人あたりの生産性を1.5〜2倍にしていくのは、ドラッカーのメソッドに沿って実践すれば必ず可能です。

ドラッカーは、「脅威も機会にせよ」と言っています。

最近はAI(人工知能)やロボットも導入され、企業規模に関わらず、少数精鋭で競争力のある組織を築くことが可能になっています。

技術革新は脅威でもあり、機会にもなります。

20年、30年後には、単純操作は全てAIがやると言われる時代です。

組織の生産性を徹底的に高める一方で、直接利益を生まない部署や業務についての人材採用は、特に慎重になってください。

◆村瀬弘介(むらせ・こうすけ)

経営コンサルティング会社「日本リーダーシップ・オブ・マネジメント」(東京都台東区)代表取締役社長。クライアントには業界首位企業を多く持ち、経営戦略策定、後継者育成、幹部教育等を専門とする。難解なドラッカーの教えを日本一わかりやすく教えると評価が高く、各種講演会やセミナーを各地で開いている。著書に「ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則」(産業能率大学出版部)。

■経営者のお悩み募集中

このコーナーでは、経営者の皆様が抱えている企業経営についての悩みや質問に、村瀬氏が回答いたします。質問をご希望の方は、①職種②企業所在地③役職④質問内容を明記の上、Soysauce Magazine Online編集部のメールアドレス(info@soysauce-mg.com)までご応募ください。

 

書籍『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』

リーダーシップとは権力ではない。働く人を活かし、成果を上げる「責任」である。経営の中心は『人間の尊厳』にあるべきだと亡きドラッカーは訴えた。現代リーダーのための現場で実践できる『人間中心の経営』『立志の指南書』

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