会議で意見が出ない・会議が多い・無駄な会議を減らしたい経営者へ|ドラッカー「会議は例外にせよ」の答え

会議で意見が出ない。会議の数だけが多い。減らしたいのに、なぜか減らせない。中小企業の経営者から、いちばん多く聞く悩みのひとつです。

そして、たいていの解決本やコラムは、こう答えます。ファシリテーションを学べ。心理的安全性を高めよ。アジェンダを配れ。時間を区切れ、と。どれも間違いではありません。ですが、それを全部やっても会議が減らない会社を、私は数えきれないほど見てきました。

理由は単純です。多くの記事は「会議のやり方」を直そうとしている。ドラッカーが問うたのは、その一歩手前。「そもそも、その会議は要るのか」という問いです。

結論(先にお答えします)

会議で意見が出ないのは、社員の意欲が低いからでも、司会が下手だからでもありません。多くの場合、その会議が「決める場」ではなく「集まること自体が目的」になっているからです。人は、決まらない場では発言しません。

ですからやることは三つです。ひとつ、会議を原則ではなく例外に戻す。つまり「開かない」を初期設定にする。ふたつ、残す会議は「何を決めるか」を一行で書けるものだけにする。みっつ、決定に責任を持つ人を一人決める。この順で手をつけると、会議は減り、残った会議で意見が出るようになります。

以下で、なぜ通説だけでは効かないのか、中小企業ならではの落とし穴、そしてドラッカーの真意と現場での直し方を、順に説明します。

① 世間の通説──「会議のやり方」を上手にすれば解決する、という考え方

会議についての助言は、世の中にあふれています。整理すると、だいたい次のどれかです。

司会(ファシリテーター)の腕を上げる。誰もが話しやすい心理的安全性をつくる。事前にアジェンダと資料を配り、参加者を準備させる。開始と終了の時刻を厳守し、時間を区切る。参加者を必要な人だけに絞る。チャットツールで済むことは会議にしない。

いずれも正しい助言です。実際、司会の問いの立て方ひとつで発言量が変わるのは事実ですし、目的が曖昧な会議がだらだら長引くのもその通りです。ですから、まだ何も手を打っていない会社は、まずここから始める価値があります。

問題は、これらがすべて「会議は開く」という前提の上に立っている点です。上手な会議のやり方を極めることと、会議そのものを減らすことは、別の話なのです。

② 中小企業で、それでもうまくいかない落とし穴

大企業向けの会議術を、そのまま中小企業に持ち込むと、たいてい途中で息切れします。理由は、中小企業には固有の事情があるからです。

ひとつ目。人が兼務だらけで、そもそも動く時間がない。会議に出ている一時間は、現場が止まっている一時間です。大企業なら「会議に出る担当」が別にいますが、中小企業では、会議に出ている人がそのまま営業であり、製造であり、経理でもあります。会議が一件増えるたびに、稼ぐ手が一本止まる。ここが決定的に違います。

ふたつ目。社長が出席すると、意見が出なくなる。心理的安全性うんぬん以前に、社長が「どう思う?」と聞いた瞬間、全員が社長の顔色を読み始めます。悪気はありません。社長の一言が給料と直結する会社では、それが自然な反応です。司会技術で覆せる問題ではありません。

みっつ目。「情報共有」という名の、決めない会議が生き残る。誰も反対しないから残る。しかし共有だけなら、集まる必要はありません。決めない会議こそ、意見が出ない会議の正体です。人は、自分の発言が何かを動かすと分かって初めて口を開くからです。

つまり、通説の会議術は「開く前提」で組まれているために、開くこと自体のコストが重い中小企業では効き目が薄い。ここに、いちばん大きなコンテンツギャップがあります。

③ 本当のツボ──ドラッカーの「会議は例外にせよ」の真意

ドラッカーは、会議についてこう言い切りました。

会議は、原則ではなく例外にしなければならない。

そして、こうも書いています。「人は、会議に出ているか、仕事をしているか、そのどちらかである」(『経営者の条件』)。会議は仕事ではない、という厳しい認識です。

なぜ、そこまで言うのか。ドラッカーの経営観では、成果は組織の外、つまり顧客のところにしか生まれないからです。組織の中には、コストと努力があるだけで、成果はひとつもありません。会議は、その組織の内側の活動の代表格です。会議室で交わされる言葉は、それ自体では一円も生みません。

ここが、多くの会議術との決定的な違いです。世間の助言は「会議の質を上げる」。ドラッカーは「会議の量を減らし、外向きの時間を増やす」。前者は内側の改善、後者は組織の重心を外へ移す話です。

私、村瀬は、コンサルティングの現場でこの考えを、こう翻訳して使っています。会議は「例外」だ。だから、開くときは理由を説明できなければならない。決めることが一行で書けない会議は、開かない。共有はチャットや日報で流す。残す会議は、決定と、その決定に責任を負う一人を必ずセットにする──。

この順で手を入れると、不思議なことが起きます。会議が減って、残った会議で意見が出るようになるのです。理由は先に述べた通り。人は、決まる場でしか本気で発言しないからです。会議が例外になると、一回の会議の重みが増し、参加者は「ここで決まる」と分かる。だから準備してくるし、口を開く。会議で意見が出ない問題と、会議が多すぎる問題は、じつは同じ一本の根から生えています。

④ 解決の道すじ──村瀬式・人を活かす経営「7つの原則」

とはいえ、「会議を例外にせよ」を号令だけで実現するのは難しいものです。減らそうとすると必ず「では、どうやって意思疎通するのか」「決めるのは誰か」という次の問いが出てくる。ここを組織の仕組みとして整えないと、数か月で元に戻ります。

私たち日本リーダーシップ・オブ・マネジメントは、ドラッカーの原理原則を中小企業で実際に回る形に落とし込んだ「人を活かす経営 7つの原則」として体系化し、これまで257社・1,520名の経営者と幹部に伝えてきました。代表・村瀬弘介はドラッカー学会の会員であり、著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営 7つの原則』は7刷を重ねています。世間に会議のノウハウ本は多くありますが、中小企業に特化し、ドラッカーの人間学を土台に、社長ご本人の判断軸から組織の共通思考まで一本で通す──ここが私たちの立ち位置です。情熱をもって語ることから「炎のドラッカー」と呼ばれることもあります。

会議の問題は、単独の問題に見えて、実は「誰が何に責任を持つか」という組織設計そのものの映し鏡です。だからこそ、小手先の司会術ではなく、原則から直す必要があります。

まずは無理なく始めていただくために、二段構えでご案内しています。ドラッカー経営の全体像と「7つの原則」の考え方に触れたい方は、無料セミナー・無料相談から。会議や意思決定の仕組みを社内に根づかせたい方は、各種セミナー・講座、そして組織ぐるみで変えたい経営者には企業研修・コンサルティングをご用意しています。原則の中身そのものは人を活かす経営7つの原則のページでご確認いただけます。

いきなり研修を、と身構える必要はありません。多くの経営者が、まず無料の相談で「うちの会議のどれが例外にできるか」を一緒に棚卸しするところから始めています。

まとめ

会議で意見が出ない、会議が多い、無駄な会議を減らしたい。この三つは別々の悩みに見えて、根はひとつです。会議が「集まること」自体を目的にしてしまっている、という一点。

世間の会議術は「上手に開く」ための技術です。役に立ちますが、開く前提のままでは、兼務だらけの中小企業では重すぎます。ドラッカーの答えは逆向きでした。会議は例外にせよ。開かないを初期設定にし、成果の生まれる外側へ時間を戻せ、と。会議を減らすと、残った会議で意見が出る。これが現場で何度も確かめてきた事実です。

よくある質問

会議で意見が出ないのは、社員のやる気がないからでしょうか。

ほとんどの場合、違います。人は「決まらない場」「発言しても何も動かない場」では口を開きません。まず、その会議が本当に何かを決める場になっているかを疑ってください。決める会議に絞れば、同じ社員から意見が出るようになります。

会議を減らすと、情報共有ができなくなりませんか。

共有と決定を分けて考えてください。単なる情報共有は、日報・チャット・議事メモで十分に流せます。集まる必要があるのは「その場で議論して決める」ときだけです。共有目的の定例会をいったん全部止め、本当に必要なものだけ戻すと、驚くほど残りません。

社長の自分が出ると、みんな黙ってしまいます。どうすれば。

中小企業では自然な反応です。対策は二つ。ひとつは、社長は最初に意見を言わず、最後に締める役に回ること。もうひとつは、決める会議とアイデアを出す会議を分け、後者には社長が出ない設計にすることです。仕組みで解けば、性格を責めずに済みます。

まず何から手をつければいいですか。

いま社内で定期開催している会議を紙に全部書き出し、それぞれに「この会議で決めることは何か」を一行で書いてみてください。一行で書けない会議が、減らす候補です。多くの会社で、半分近くが候補に挙がります。

ドラッカーの考え方を自社に取り入れたいのですが、独学で足りますか。

入り口は独学で構いません。ただ、会議の問題は「誰が何に責任を持つか」という組織設計に直結するため、そこまで踏み込むと自社だけでは行き詰まりやすいのも事実です。全体像をつかみたい段階では無料セミナー・無料相談を、本格的に組織へ根づかせたい段階では企業研修・コンサルティングをご利用ください。

明日から実行できる3つのこと

一、いま社内にある定期会議を全部書き出し、「決めること」を一行で書けないものに印をつける。書けない会議は、来月から止めてみる。

二、残す会議それぞれに、決定に責任を持つ人を一人決める。全員の合意ではなく、一人の決定と全員の意見表明に分ける。

三、共有だけの会議はやめ、日報かチャットに移す。空いた時間を、顧客と会う・現場に立つ、という外向きの時間に回す。

この三つだけでも、会議は目に見えて減り、残った会議で意見が出るようになります。もし途中で「うちはここが引っかかる」という壁にぶつかったら、その壁こそが、私たちが原則からご一緒に直すべき本丸です。

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