社員が育たない会社に共通する、七つの致命的な間違い

社員が思うように育たない。現場がどこか停滞している。そんなとき、表面的な施策を増やしても、根本は変わりにくいものです。

ドラッカーが見ていたのは、制度や研修以前に、経営者の人間観と組織観でした。

ここでは、社員が伸びなくなる典型パターンを七つに整理しながら、組織が変わるための視点を一緒に確認していきます。

致命的な間違い1:人を「管理すべき資源」として見ている

人・モノ・カネ。よく並べて語られますが、ドラッカーはここを並列に扱うことを強く戒めます。

人は管理する対象ではなく、活かすべき存在だからです。

ドラッカーの本質は、人の尊厳を守り抜き、働く人の可能性を解き放つことにあります。マネジメントは、人のことである。経営の中心にあるのは、ここです。

期待が、組織の温度を決める

人は、自分が期待されているかどうかを驚くほど敏感に感じ取ります。

「うちの社員はできない」と言う空気が漂うと、社員は縮みます。すると経営は管理統制へ傾き、言うことを聞かせる組織になっていきます。

反対に、社長が社員を誇りある存在として扱い、全面的に期待する会社は伸びていきます。人の成長が組織の成長だからです。

働く人を誇りあるものにするのが、経営者の役目

人ほど、まだ能力が発揮されていないものはない。ドラッカーはそう見ていました。

だからこそ、経営者が掲げる理念と価値観が、人を鼓舞し、信じがたい成果につながっていく。ここに経営の醍醐味があります。

致命的な間違い2:研修をすれば人が育つと思っている

研修やセミナーは大事です。ただ、研修だけで人が育つと考えると、現実とずれていきます。

本当に火がつくのは、社長自身が当事者として入るときです。

「育てる側」と「育てられる側」を分けない

育てる側、育てられる側に分けてしまうと、成長の主語が「自分」から離れていきます。

現場が言いがちなのは、「その研修、社長に聞かせてください」という言葉です。つまり、上が変わらない限り下は変わらない、と感じている。

リーダーが率先垂範し、「自分もまだ分かっていないことがある。教えてほしい。一緒に変えていこう」と言えると、組織の温度が変わります。

責任と権限をセットで渡す

よくある失敗は、「やれ」と責任だけを与え、権限は渡さないことです。

ドラッカーは、責任と権限は必ずセットだと言います。権限がなければ、組織を変える役割を与えられても、結局は社長のお伺い係になってしまう。

任せるなら、任せ切る覚悟が必要になります。

致命的な間違い3:仕事を「作業」として定義してしまっている

仕事が作業になると、人は無感動になっていきます。

ドラッカーは、仕事を生産的なものにせよと言いました。ここでいう生産的とは、単なる効率ではありません。意義をもって、生き生き働ける状態です。

大義と意義が、仕事から創造性を引き出す

同じ作業でも、そこに大義が宿ると意味が変わります。

たとえばコピー一枚でさえ、それが「会社の未来を変える会議の場を支える」なら、仕事は作業ではなくなります。

経営者が最後にやるべきことは、働く人を鼓舞すること。情熱を込めて意義を語れるかどうかで、仕事の質が変わります。

仕事の再定義が、人を変える

単なる清掃を「おもてなし」と再定義したことで、人の動きが変わり、現場から提案が生まれるようになった例があります。

人は大義によって、想像を超えて変わる。だからこそ、経営者は仕事を作業に落とさず、意味を与える役目を持っています。

致命的な間違い4:貢献を問わず、行動だけを評価している

忙しく動いている。指示されたことをこなしている。だけれど成果が出ない。

その背景には、貢献の視点が抜けていることがあります。

成果は「相手が何を望むか」から生まれる

お客様に対しても、社内の相手に対しても、成果は貢献から生まれます。

同じ仕事でも、「どんな形で納めるのが相手にとって望ましいか」「どれくらいのスピードが必要か」を貢献から考えると、アウトプットは変わります。

チームは「ラグビー型」で強くなる

一人のスターに投げて終わる組織は、たまたま勝てても伸びにくい。

後ろへつなぎ、支え合い、貢献しなければ前に進めない。そういう構造の中で、チームは強くなっていきます。

致命的な間違い5:弱みを直し続けている

弱みを改善する努力は必要です。ただ、経営がそこに偏ると、成果は伸びません。

ドラッカーが一貫して言うのは、成果は強みによってのみ生まれるということです。

弱みの改善は「平凡」にしか近づかない

三十点を五十点にしても、五十点の人材が増えるだけになりがちです。

それより、五十点を七十、八十、百へ。強みを卓越へ押し上げるほうが、選ばれる力になります。

チームの目的は「強みを爆発させ、弱みを中和する」

できないことを見るのではなく、できることをつなぎ合わせる。

人の強みを見ることが、人を活かすことにつながります。

致命的な間違い6:答えを与えすぎて、問いを奪っている

答えを与え続けると、人は考えなくなります。

ドラッカーは、答えよりも問いが大切だと言いました。

問いが、人の潜在力に火をつける

どうやったらお客様にもっと喜ばれるか。どうやったら周囲に貢献できるか。どうやったら生産性を上げられるか。

問いは、相手の中にある力を引き出します。リーダーは正しい問いを投げ続けることで、組織の思考力を育てていきます。

致命的な間違い7:使命が「言葉」で終わっている

ミッションが掲げられているのに、日々の判断に使われていない。これはむなしさを生みます。

理念は、作るだけでは意味がありません。浸透し、そして判断軸として使われる段階までいって初めて力になります。

理念が生きるかどうかは、社長が体現しているかで決まる

社員がついてくるかどうかは、社長が嘘をついているかどうか。

つまり、自ら掲げたミッション・ビジョン・バリューに沿って、自分を律して動いているか。そこが問われます。

他責ではなく、自責から始める

組織の問題は、現象だけを見ても解けません。

人が育たないと感じるときほど、まずリーダーが自分を見直し、誠意と真摯さで現場と向き合う。泥臭い対話の中で、組織は変わっていきます。

今回まとめ(人を活かすドラッカー研修のポイント)

  • 【1】社員を「資源」ではなく「期待を受ける存在」として見直し、まず社長の言葉と態度から変える
  • 【2】研修を“受けさせる”のではなく、社長も当事者として入り、責任と権限をセットで任せる
  • 【3】答えを急がず、「何に貢献する?」「その仕事の意義は?」という問いを現場に投げ続ける

【ドラッカー理論による人材育成・研修についてはこちらのページからご覧ください】