次世代リーダーが育たない中小企業へ。後継者・幹部育成の「本当のツボ」とは(ドラッカーに学ぶ)

先に結論:次世代リーダー育成でつまずく最大の理由は「管理型のまま育てている」ことです

「うちには、会社を任せられる次世代リーダーがいない」
「後継者候補も、幹部候補も、どうも頼りない」
「管理職を育てているつもりなのに、いつまでたっても経営を担う器にならない」

もし今、あなたがそう感じているなら、原因はあなたの見立ての甘さでも、社員の能力不足でもありません。育て方の「設計図」が、時代に合っていないだけです。

多くの中小企業は、今も「管理ができる人=次世代リーダー」という前提で育成しています。ところが、これから会社を背負う人材に本当に必要なのは、管理する力ではなく、変化を機会に変え、イノベーションを起こせる力、ドラッカーの言う「チェンジリーダーシップ」です。ここが抜けているから、いくら研修に通わせても「有能な番頭」止まりで、経営を任せられる次世代に育たないのです。

この記事では、257社・のべ1,520名以上の中小企業の管理職・幹部にドラッカー研修を実施してきたドラッカー専門コンサルタント・村瀬弘介が、次世代リーダー・後継者・幹部が育たない本当の理由と、明日から変えられる打ち手までを一気にお話しします。

次世代リーダーを育成する中小企業の管理職

この記事でまとめたこと

①よくある通説:「次世代リーダー育成=マネジメント研修で管理スキルを付けること」

次世代リーダー育成というと、世の中では次のように語られます。

戦略的思考、目標管理(MBO)、問題解決、コミュニケーション、部下育成、タイムマネジメント。この6つの管理スキルをコンピテンシーとして定義し、選抜した候補者に研修で身に付けさせ、修羅場を経験させる。大手の育成理論はおおむねこの型です。

もちろん、これらはリーダーの土台として欠かせません。方向を示し、資源を効率的に配分し、目標に導く。これができない管理職では話になりません。

念のため、この「土台としてのマネジメント能力」を整理しておきます。

次世代リーダーに最低限求められる6つのマネジメント能力

1. 戦略的思考力 … 経営計画を理解し、部門や個人の具体策に落とし込み、環境を踏まえて何をすべきかを描く力。

2. 問題解決能力 … 日々起こる問題を論理的に分析し、最適な解決策を導く力。

3. 目標設定・目標管理能力 … チームの目標を明確に設定し、進捗を管理し、達成に導く力。

4. コミュニケーション能力 … ミッション・ビジョンを浸透させ、部下を鼓舞し、チームワークを高める力。

5. 人材・チームのマネジメント能力 … メンバーの強みを活かし、適材適所で成果を最大化する力。

6. 自己管理・セルフリーダーシップ … 時間管理と自己啓発で、自らの人間力とリーダーシップを高め続ける力。

ここまでは、いわば「管理職の合格ライン」です。世の中の育成論の多くは、ここをゴールにしています。

しかし——ここに、中小企業がハマる大きな落とし穴があります。

②中小企業が次世代リーダー育成でつまずく、本当の理由

大手のきれいな育成フレームを、そのまま中小企業に当てはめても、なぜかリーダーが育たない。私が257社の現場で繰り返し見てきた、つまずきの正体はこの4つです。

落とし穴1:管理はできても「変化を起こせない」番頭止まりになる

日本経済が緩やかにでも成長していた時代は、社長が掲げた目標を忠実に管理し、問題を片付けてくれる「番頭型」の管理職がいれば、会社は伸びました。ワンマン社長の意図をくみ取り、そのまま実行する。それで十分だったのです。

ところが今は、国内市場そのものが縮み、放っておけば売上が下がる時代です。与えられた方針をこなすだけの番頭型では、新しい市場も顧客も生み出せません。管理はできる、けれど会社を次の段階へ引き上げる一手は打てない。多くの中小企業の「次世代候補」が、まさにこの状態で止まっています。

落とし穴2:育てる人物像がぼやけている

「次世代リーダーがいない」と嘆く会社ほど、実は「どんなリーダーが欲しいのか」を言語化できていません。求める人物像が曖昧なまま、なんとなく優秀そうな人を候補にし、なんとなく研修に出す。基準がないから、育っているのかどうかも判断できず、育成そのものが途中で止まってしまいます。

落とし穴3:社長が本気でコミットしていない

中小企業の人材育成は、人事部に丸投げしてうまくいくものではありません。そもそも専任の人事部門がない会社がほとんどです。「最低5年は自分が育てる」という社長の腹決めがないまま、日々の業務の忙しさに流され、育成が後回しになる。ここが大手と決定的に違う、中小企業ならではの難所です。

落とし穴4:管理スキルの寄せ集めに「経営の背骨」がない

戦略、目標管理、コーチング……と、流行りのスキルを単発の研修でつまみ食いさせても、候補者の中でバラバラの知識のまま終わります。「なぜこの会社は存在するのか」「うちの顧客は誰で、何に価値を感じるのか」という経営の背骨=一本の哲学が通っていないから、いざ経営判断を任せると軸がぶれるのです。

この4つに共通するのは、「管理スキルを足し算する発想」から抜け出せていないことです。では、本当のツボはどこにあるのか。

ドラッカー・マネジメント講座のご案内


③本当のツボ:これからの次世代リーダーに要るのは「チェンジリーダーシップ」

結論から言えば、次世代リーダー・後継者・幹部を育てるということは、「有能な管理職」を育てることではありません。変化を機会に変え、事業と組織にイノベーションを起こせる「チェンジリーダー」を育てることです。

これは私が思いつきで言っているのではありません。マネジメントの父・ドラッカーが、はっきりと指し示していることです。

ドラッカーは言います。「これからの管理職は管理的であってはならない。起業家的に変革できるリーダーシップを持たねばならない。」(変革の哲学・ドラッカー著)

そして、リーダーとマネジャーの違いについても、こう述べています。「チームの進むべきビジョンを示せない者はリーダーではない。それは事務長にすぎない。」(チェンジリーダーの条件・ドラッカー著)

「これまでの管理職」と「これからの次世代リーダー」の違い

【これまでの管理職=番頭型】
社長の掲げた目標を忠実に管理し、問題を解決する。成長時代にはこれで十分だった。

【これからの次世代リーダー=チェンジリーダー】
トップの方針を踏まえつつ、大きな変化そのものをマネジメントし、自ら事業機会を生み出す。縮小市場でも会社を伸ばせる。

ここが、次世代リーダー育成の一番のツボです。多くの会社が、いまだに前近代的な「管理型の管理職研修」しかしていない。だから、変化の時代を生き残るリーダーが生まれてこないのです。

村瀬の現場知:「管理職にドラッカーは難しい」は誤解です

「ドラッカーは社長向けの学問で、管理職には難しいのでは?」——研修先で必ず頂くお声です。

答えははっきりノーです。

私は257社・のべ1,520名以上の中小企業の管理職・経営幹部に、ドラッカーの研修を実施してきました。その現場で断言できます。ドラッカーは、管理職・後継者候補こそ学ぶべき学問です。なぜなら、ドラッカーを学ぶと、目の前の管理スキルが底上げされるだけでなく、「うちの会社は誰の役に立つために存在するのか」という経営の背骨が、候補者一人ひとりの中に通るからです。この背骨が通った瞬間、番頭は次世代経営チームの一員へと変わり始めます。

そしてもう一つ、私が大切にしているのが「人間学」です。マネジメントは技術である前に、人が人を動かす営みです。だからこそ、スキルの前に、リーダーとしての人格を高めることを避けて通れません。ドラッカーの「組織で最も重要な資源は人である。人の成長こそが経営の成長にとって一番重要なファクターである。」(マネジメント・ドラッカー著)という言葉は、まさにここを指しています。技術と人間学、その両輪で育ててこそ、任せられる次世代が育つのです。

(参考)次世代リーダーに効くドラッカーの名言

1.「マネジメントとは、他人の業績と成長を通じて成果を達成するためのものである。」

2.「組織が成長するためには、それを管理する人々が成長しなければならない。」

3.「マネジメントの真の課題は、変革を管理し、それに応じて変わることである。」

4.「リーダーシップとは、他人が自分では成し遂げられないことを成し遂げさせることである。」

5.「組織に優劣があるのではない。学んでいるか、いないかの違いにすぎない。」

(出典:経営者の条件・マネジメント・チェンジリーダーの条件:いずれもドラッカー著)

感動ドラッカー・マネジメント講座のご案内


④解決できるのが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です

とはいえ、「ドラッカーを学べ」と言われても、あの膨大な著作を管理職が読みこなすのは現実的ではありません。難解だという評判も、正直なところ事実です。

そこで私は、ドラッカーの経営を、中小企業の現場でそのまま実践できる、シンプルで分かりやすい「7つの原則」にまとめ直しました。これは著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部・Amazon企業経営部門第2位・7刷)にまとめた、私の全仕事の背骨です。

なぜ「7つの原則」で次世代リーダーが育つのか

7つの原則は、管理スキルの寄せ集めではありません。「わが社は誰の役に立つのか」という事業の定義から、強みを活かす人材配置、変化を機会に変えるイノベーションまでを、一本の筋で貫きます。だから、候補者の中に経営の背骨が通り、番頭型のまま止まっていた管理職が、自分の頭で経営判断できるチェンジリーダーへと変わっていくのです。

しかも、これは私の主観ではありません。私自身が日本ドラッカー学会の会員として理論の正統性に責任を持ち、257社・のべ1,520名という一次事例の積み重ねで、中小企業でも本当に機能することを確かめてきた方法です。世に多いドラッカー研修が大企業・社長向けであるのに対し、弊社は「中小企業の管理職・幹部を、次世代の経営チームへ育てる」ことに特化した、ドラッカー管理職研修の実績を積み上げてきました。

➡(参考)257社以上が導入:ドラッカーで次世代リーダーを生み出されたお客様の声
ドラッカー研修導入企業のお客様の声

まず、7つの原則の全体像と、書籍の朗読を動画でご覧ください。育成の「設計図」がどう変わるのかが、きっと伝わります。

【動画】ドラッカーが簡単に実践できる村瀬の7つの原則

【動画】朗読:ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則

まずは「知る」ところから。段階的にお試しください

いきなり研修を導入する必要はありません。次のように、無理のない順序でお試しいただけます。

【第1歩・無料〜入門】まずは全体像を知る … 3時間で概要がつかめる体験セミナーで、「次世代リーダー育成の設計図」を体感する。

【第2歩・本命】自社に合わせて導入する … 御社の課題と目指す組織像に合わせた、管理職・幹部向けのドラッカー研修を設計する。

【3時間で分かる!感動ドラッカー・マネジメント講座】
3時間で分かる感動ドラッカー・マネジメント講座

御社に合わせた研修の内容は、こちらのご案内もご覧ください。 ドラッカー研修のご案内(研修プログラム詳細)セミナー・体験講座の日程はこちら

まとめ:次世代リーダー育成のカギは「管理」から「変革」への設計変更

最後に、この記事の要点を整理します。

【まとめ】
・次世代リーダー・後継者・幹部が育たない最大の理由は、「管理型のまま」育てていること。

・中小企業のつまずきは、番頭止まり/人物像が曖昧/社長が本気でない/経営の背骨がない、の4つ。

・本当のツボは、変化を機会に変える「チェンジリーダーシップ」を育てること。ドラッカーがそう指し示している。

・スキルの前に人間学。技術と人格の両輪で育ててこそ、任せられる次世代が育つ。

・その設計図が、中小企業で実践できる「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。

よくある質問(次世代リーダー・後継者・幹部育成)

Q1. 次世代リーダー・後継者・幹部は、それぞれ育て方が違うのですか?

呼び名は違っても、これからの時代に求める本質は同じです。管理ができるだけでなく、変化を機会に変え、自ら事業機会を生み出せる「チェンジリーダー」であること。後継者であれば経営全体を、幹部であれば担当領域を、それぞれの範囲でこの力を発揮できるよう育てます。土台となる考え方(ドラッカーの7つの原則)は共通です。

Q2. うちには次世代リーダーの候補になる人材がいません。どうすればいいですか?

「いない」と感じる会社の多くは、実は「どんなリーダーが欲しいか」が言語化できていないだけです。求める人物像を管理型ではなくチェンジリーダー像で描き直すと、これまで評価していなかった社員の中に、変化に前向きな候補が見えてくることがよくあります。まずは人物像の再定義から始めるのがおすすめです。

Q3. 管理職にドラッカーは難しすぎませんか?

ドラッカーの原著は確かに難解です。しかし村瀬は、それを中小企業の現場でそのまま使える「7つの原則」に翻訳しています。257社・のべ1,520名の管理職・幹部が実際に学び、実践してきた実績があります。管理職にこそ学んでいただきたい内容です。

Q4. 育成にはどれくらいの期間がかかりますか?

人が変わり、組織が変わるには時間がかかります。社長ご自身が「最低でも数年は本気で育てる」と腹を決めていただくことが、何より重要です。一方で、考え方の転換(管理→変革)は、3時間の体験セミナーでも十分に体感していただけます。まず設計図を知り、そのうえで中長期の育成計画に落とし込むのが現実的です。

Q5. 社長である私自身は、何をすればいいのですか?

一番大切なのは、育成を人任せにせず、社長自身がコミットすることです。求める人物像を示し、権限を段階的に委ね、学び→実践→振り返りのサイクルを回す。その設計を弊社が伴走します。社長の本気が、次世代の本気を引き出します。

明日からやる3つのこと

1. 「うちの次世代リーダー像」を1枚に書き出す。 管理してほしいのか、変革してほしいのか。求める人物像を、管理型ではなくチェンジリーダー像で言語化してみてください。

2. 候補者リストを見直す。 その新しい人物像で見ると、これまで評価していなかった「変化に前向きな社員」が候補に浮かんでこないか、書き出してみてください。

3. まず社長自身が全体像を知る。 3時間の体験セミナーで、「管理から変革へ」の育成設計図を体感し、自社に持ち帰る一手を1つ決めてください。

是非、村瀬と共に、学び続け成長し続ける「学習する組織」へ。御社の管理職を、次世代の経営チームへと進化させましょう。


■ブログ執筆者 ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

2002年、大学卒業後、株式会社KUBOTAの人事教育部で全社の人材育成を担当。2011年、経営と起業家精神をより深く学ぶために日本経営道協会(コンサルタント)に転職。

2013年、小宮一慶氏の経営する株式会社小宮コンサルタンツに経営コンサルタントとして転籍。本格的な経営コンサルティングを開始。マネジメントを学ぶ中で、【ドラッカーの人を活かす経営】との運命的な出会いを果たす。

人が活かされ、高い成果を上げる幸せな企業をつくることこそ自分の天命だと悟り、2017年独立。「高い理想と自己犠牲の精神で、人の魂の成長に貢献する」「リーダーの人格の向上に奉仕する」をコンセプトに、使命感を持って日々の業務にあたっている。

講師としても依頼が絶えず、全国の商工会議所、経営者団体など各種経済団体でのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」「ドラッカーが降りてきた」「マネジメントの真髄を見た」と熱狂的に支持する経営者が後を絶たない。

著書:『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則(産業能率大学出版部・Amazon【企業経営部門】第2位)

■ドラッカーが圧倒的に分かる!活かせる!イノベーションが起こすドラッカーの伝道師です。


【3時間で分かる!感動ドラッカー・マネジメント講座】