
最終更新:2026年11月
二代目社長の方と話していて、こんな声を聞きました。
「毎月、幹部会議をやっています。
でも、報告を聞いて終わり。同じ課題が、翌月もまた議題に上がる。
議事録に残るのは『引き続き検討』の一行だけです」
あなたの会社の会議は、どうでしょうか。
「集まって、報告して、解散する。それで現場は何も変わらない」。
承継した社長の多くが、この手応えのなさに悩んでいます。
この点について、ドラッカーはこう述べています。
「成果をあげるには、貢献に焦点を合わせなければならない。」
― P.F.ドラッカー『経営者の条件』(上田惇生訳・ダイヤモンド社)
会議も同じです。
報告という手続きではなく、現場の行動が変わるという成果に焦点を合わせる。
今回は、報告だけで終わらせない議題のつくり方について解説します。
この記事でまとめたこと
会議が回らないのは、やる気のせいではない
同じ課題が毎月出てくる。
社長は「うちの幹部は当事者意識が薄い」と感じがちです。
でも、原因はたいてい人ではありません。議題の立て方です。
「新規顧客について」「売上の件」「人手不足の件」。
こうした議題は、話しても決まりません。
大きすぎて、誰が何をするかに落ちないからです。
報告と感想で時間が終わり、結論は先送りになります。
議題を「決められる大きさ」に刻む
私が後継社長にお願いするのは、議題の言い換えです。
決まらない議題を、その場で決めきれる大きさに刻む。
これだけで、会議の空気が変わります。
たとえば、こう言い換えます。
「新規顧客について」
→ 「来月、どの用途のお客様に、どの幹部が一社提案するか」
「売上の件」
→ 「落ちている商品Aを、続けるか手を引くか。何を見て決めるか」
「人手不足の件」
→ 「来月までに、誰のどの作業を、誰に引き継ぐか」
左は感想が出ます。右は決定が出ます。
違いは一つ。右には、主語と期限と行動が入っていることです。
会議の目的を「決めること」に据え直す
議題を刻むと、会議そのものの目的が変わります。
報告の場から、意思決定の場へ。
ここで、もう一つのドラッカーの言葉が効きます。
「成果をあげる者は、仕事からではなく時間からスタートする。」
― P.F.ドラッカー『経営者の条件』(上田惇生訳・ダイヤモンド社)
幹部の時間も、社長の時間も、限りがあります。
二時間集まって、何も決まらないのは、全員の時間を捨てているのと同じです。
「この会議が終わるとき、何が決まっていればよいか」。
始まる前に、これを一つ決めておくだけで、会議は締まります。
たとえば、こう議題を書き換える
特定の一社ではなく、よくある例として読んでください。
ある製造業の後継社長の会議では、毎月「新規開拓を強化する」が議題でした。
掛け声で終わり、翌月も同じ文字が並んでいました。
そこで、議題を一行だけ書き換えました。
「来月、試作のお客様向けに、営業部長が二社へ提案する。結果を次回報告する」と。
主語が営業部長に定まり、やることと期限が決まった。
翌月の会議は、報告ではなく「二社のうち一社が前向きだった。次はどう詰めるか」の議論から始まりました。
議題の文を変えただけです。
でも、会議が過去の報告から、来月の行動に向きを変えたのです。
報告で終わる会議と、決めて終わる会議
| 観点 | 報告で終わる会議 | 決めて終わる会議 |
|---|---|---|
| 議題の形 | 「〇〇について」 | 「来月、誰が何をするか」 |
| 話す中身 | 過去の数字と状況 | 次にとる一手 |
| 終わり方 | 「引き続き検討」 | 担当・期限・確認日が決まる |
| 翌月 | 同じ議題が再び出る | 前回の結果から議論が進む |
右の会議なら、一か月ごとに現場が一歩ずつ動きます。
これが、貢献に焦点を合わせるということです。
議事録に、三つだけ残す
決めて終わる会議には、議事録も変わります。
長い経過報告は要りません。
決定ごとに、三つだけ残してください。
一、何を決めたか。(そして、なぜそう決めたか。理由も一行で)
二、誰がやるか。(担当者を名前で。「営業部で」はだめ)
三、いつ、何を見て次を判断するか。(確認する日と、見る事実)
特に二つ目の「理由」が大事です。
なぜそう決めたかが残っていれば、状況が変わったとき、決め直せます。
「引き続き検討」の一行とは、重みがまるで違います。
方針を伝える会議とは、別の仕事
ここで一つ、区別しておきます。
「社長の方針を幹部に分かってもらう」会議と、
「その場で決めて、行動を割り振る」会議は、別の仕事です。
方針を伝えるのは、向きをそろえる作業。
会議で決めるのは、その向きを誰の来月の行動に変えるかという作業。
今回お話ししているのは、後者です。
方針が伝わっているのに現場が動かないなら、たいてい決めて割り振る一手が抜けています。
原理原則に立つと、会議が武器になる
お気づきかもしれません。
ここまで、小難しい会議術は一つもありません。
成果に焦点を合わせる。限りある時間から考える。決めて、割り振る。
流行りの会議手法ではなく、変わらない原理原則に沿っているだけです。
原理原則に沿って会議を回すと、社長の決断に芯が通ります。
幹部が自分の言葉で「来月はこれをやります」と言うようになる。
会議が、時間を食う行事から、会社を前に進める武器に変わります。
ただ、問いの立て方は一人では磨けない
正直に申し上げます。
「決められる議題に刻む」のは、一人では磨きにくい技術です。
いつもの議題の形が、社長自身にも染みついているからです。
刻んだつもりで、また大きなままになってしまう。
これは能力の問題ではありません。問いの立て方を一緒に鍛える相手が要るのです。
私の仕事は、そこにあります。
ドラッカーの原理原則を、御社の会議の進め方に翻訳します。
月1回の社長面談で、「何を決めるべきか、なぜ今か」を言葉にします。
約2時間の幹部会議に入り、誰が何をやり、何を見て次を判断するかまで決めます。
会議を、報告の場から決定の場に変えるところまで、私が伴走します。
御社の次の幹部会議が終わるとき、何が決まっていれば社員の行動が変わりますか。
いつもの議題を一つ、「来月、誰が何をするか」に書き換えるなら、どれから始めますか。
私は、月1回の社長面談と、約2時間の幹部会議を通じて、社長が「何を選び、なぜ今なのか」を言葉にし、その意図を幹部と共有して「誰が何を試し、何を見て次の判断をするか」まで一緒に具体化しています。無料相談では、ドラッカーの「人を活かす経営7つの原則」による経営診断で、御社の現状と優先して取り組む課題を一緒に整理します。考えがまとまっていなくても、お申し込みいただけます。


