顧客創造の経営を行う

ドラッカーの経営では、市場と顧客は積極的に創造するものと考えます。

環境のなすがままの経営ではなく、積極的に市場・顧客を創造する

『顧客創造』の経営のコンセプトが分かる動画。


 

事業の目的は顧客の創造である。

顧客の創造は経営の2つの基本機能を用いて行う。

2つの基本機能とは、マーケティングとイノベーションである。

【ドラッカー・マネジメント・現在の経営】

■現場のアクションプラン

【1】「うちの本当のお客様は誰か」を紙に書き出す

なんとなく続けている商売の中で、自社が本当に価値を届けられる相手は誰なのか。あらためて言葉にしてみてください。お客様がはっきりすると、何をすべきかも自然と見えてきます。

【2】お客様が「本当に求めていること」を聞きに行く

私たちが売りたいものと、お客様が欲しいものは、しばしば食い違います。商品ではなく、お客様がどんな困りごとを解決したいのかを、直接聞きに行く。そこに、新しい顧客を生む種があります。

【3】まだ取引のない人に、一歩踏み出す

今のお客様を大切にするのは当然として、顧客創造とは、まだ自社を知らない人に価値を届けることでもあります。今週、これまで縁のなかった相手に、一つだけ働きかけてみてください。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
自ら市場と顧客を創り出す 景気や環境まかせで受け身になる
お客様の困りごとから出発する 売りたい商品の都合から出発する
マーケティングとイノベーションに力を注ぐ 値引き競争だけで戦おうとする
まだ縁のない人に価値を届けに行く 今のお客様が続くと思い込む
お客様の変化を機会として捉える 昨日までのやり方に固執する

■経営者へのメッセージ

事業の目的は何か。ドラッカーは、利益ではなく「顧客の創造」だと言い切りました。利益は結果であって、目的ではない。まず、価値を届けるお客様がいて、はじめて事業は成り立つ。この順番を、彼は何より大切にしました。

顧客創造という言葉には、力強い姿勢が込められています。景気が悪いから、環境が厳しいから、と受け身になるのではない。市場も、お客様も、自らの手で積極的に創り出していく。そのための道具が、マーケティングとイノベーションという二つの機能です。

難しく考える必要はありません。お客様が本当に何を求めているかを知り、それに応える形へ自社を変えていく。その地道な繰り返しが、新しいお客様を生み、事業を育てていきます。

今のお客様に支えられている今こそ、その先を見てください。まだ自社を知らない誰かに、どんな価値を届けられるか。その問いを持ち続ける会社が、時代が変わっても、選ばれ続けていきます。

■参考にしたい顧客創造に関する名言

「企業の目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーションの二つである。この二つだけが成果をもたらす。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「顧客が価値ありとし、必要とし、求めているものこそ、事業が何であり、何を生産すべきかを決める。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』

「利益は企業存続の条件であって、目的ではない。事業の目的は、社会に貢献し、お客様に喜ばれることである。」
── 松下幸之助『実践経営哲学』

■クライアントの実践事例

私のお客様の、金属加工業C社(社員28名)の社長さんは、長年、大手一社からの下請け仕事に支えられてきました。ところが、その取引が先細りになり、「このままでは、いずれ立ち行かなくなる」と、強い危機感を抱いておられたのです。

私がお願いしたのは、たった一つ。「御社の技術で、これまで縁のなかったどんなお客様の困りごとを解決できそうか、書き出してみましょう」ということでした。景気を嘆くのではなく、自ら顧客を創る側に回っていただきたかったのです。

書き出すうちに、自社の精密加工の技術が、医療機器の部品づくりに活かせるかもしれない、という気づきが生まれました。社長さんは、これまで営業などしたことのない分野に、思い切って一歩を踏み出したのです。何社も断られながらも、諦めずに通い続けました。

一年ほどかけて、小さな取引がひとつ始まりました。今では、その分野が売上の柱の一つに育ちつつあります。変えたのは、待つ経営から、自ら顧客を創る経営へ、という姿勢でした。

■顧客創造に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 顧客創造といっても、うちのような小さな会社に新規開拓の余力はありません。

A. 大がかりなことをする必要はありません。まずは、今のお客様が本当に何を求めているかを、あらためて聞くことから始めてください。既存のお客様の中に、まだ応えきれていない困りごとがある。そこに応えるだけでも、立派な顧客創造です。

Q. マーケティングやイノベーションと聞くと、難しくて構えてしまいます。

A. かみくだけば、マーケティングは「お客様をよく知ること」、イノベーションは「昨日より良いやり方に変えること」です。特別な専門知識は要りません。お客様の声を聞き、少しずつ工夫を重ねる。その日々の姿勢そのものが、二つの機能の実践です。

Q. 今のお客様で手一杯で、新しい相手を考える余裕がありません。

A. お気持ちはよく分かります。ただ、どんなお客様も、いつかは変わり、離れていくことがあります。今の商売が順調なうちにこそ、その先を見ておくことが大切です。月に一度でよいので、「次のお客様は誰か」を考える時間を持ってみてください。

Q. 良い商品を作れば、お客様は自然についてくるのではないですか。

A. 作り手の思いは尊いものですが、ドラッカーは、事業はお客様から出発すべきだと説きました。私たちが良いと思うものと、お客様が求めるものは、ずれていることが少なくありません。まずお客様の求めを知り、そこへ商品を合わせていく。その順番が、選ばれ続ける会社をつくります。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

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貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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