ドラッカーと松下幸之助さんの共通点はありますか?
-セミナー後の、経営者さんの質問です。

経営の神様・ドラッカー、実践の神様・松下幸之助は、尊敬されてやまない現代のリーダーです。

ドラッカーと松下幸之助の思想には、大きな共通点があります。

真摯さ ドラッカーの求めるもの

ドラッカーがリーダーにとって一番大切な条件であるとしたのは、「真摯さ」。
人間として誠実で、真剣な人間であるかどうかということでした。

「リーダー真摯さを、生来持っていなくてはならない。後天的に身に着けることはできない。」
と言うほど、ドラッカーは人間としての在り方を重視します。

素直さ 松下幸之助の求めるもの

これに対し、松下幸之助は「素直」であるということを一番大切にします。
素直な心であるために、という本を出版するほど、素直さを重視しました。

松下幸之助は言います。「成功するためには、素直であることが必要である。」
なぜ素直でないと成功できないのでしょう。

松下幸之助は言います。

「素直な心は、鏡の心、一番強い心である。
私心に囚われず、素直であれば、物事のあるべき姿・道理が見えてくる。」

「事業の、ありのままの姿が、見えてくれば、間違うことはない。
よって、素直な心であれば過ることが無い。」

「成功するためには、素直な心でいることが大切なのである。」

松下幸之助は、出社前に、今日、素直であれますようにと祈り、就寝前には、1日素直に過ごせたかと、反省しました。
それほど素直な心を重視しました。

ドラッカーの真摯さと、松下幸之助の素直さ、双方から見えてくるものは、
事業を成功させるためには、まず「人間としての正しい在り方が重要である。」ということです。

真摯に・素直に、リーダーの人格を磨きましょう。

あなたの素晴らしい人格が卓越した成果を生むことをお祈りしています。
ご質問、ご意見はお気軽にくださいね。

参考動画

■現場のアクションプラン

【1】耳の痛い意見を、まず「ありがとう」で受ける

社長や上司ほど、率直な意見が集まりにくくなります。部下や現場から苦言をもらったとき、反論する前に一度「ありがとう」と受け止める。素直に聴く姿勢そのものが、リーダーの真摯さの表れです。

【2】自分の非を、部下の前で認めてみる

判断を誤ったとき、ごまかさずに「あれは私の間違いだった」と言葉にする。格好をつけるのをやめた瞬間、人格の信頼はかえって高まります。素直さは、弱さではなく強さです。

【3】一日の終わりに、今日の自分を静かに振り返る

松下幸之助が就寝前に一日を省みたように、今日、真摯であれたか、素直であれたかを短く振り返る。人格は一日でできるものではありません。毎日の小さな振り返りが、リーダーの器を少しずつ育てます。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
耳の痛い意見を素直に受け止める 都合のよい話だけを聞く
自分の非を率直に認める 体面を守り、間違いを認めない
言葉と行いを一致させる 立派なことを言い、行動が伴わない
人の強みに目を向け、活かす 人の弱みや欠点ばかりを見る
毎日、自らの在り方を振り返る 自分を省みず、他人ばかり責める

■経営者へのメッセージ

経営の技術は、本を読めば学べます。数字の読み方も、戦略の立て方も、時間をかければ身につくものです。けれど、ドラッカーも松下幸之助も、そのもっと手前にある「人間としての在り方」を、何より大切にしました。

真摯であること。素直であること。言葉は違いますが、二人が指し示しているのは同じ場所です。私心に囚われず、ありのままの現実を受け止め、誠実に人と向き合う。その姿勢があってこそ、技術も戦略も生きてきます。

これは、なかなか厳しい話でもあります。人格は、資格のように取ってしまえば終わり、というものではありません。日々問われ続け、時に自分の未熟さを突きつけられる。それでも、そこから逃げずに向き合い続ける人が、周りから信頼されるリーダーになっていきます。

完璧である必要はありません。松下幸之助でさえ、毎晩「今日は素直であれただろうか」と自らに問うたのです。あなたが自分の在り方を省みようとしているその姿勢こそ、すでにリーダーの真摯さそのものです。焦らず、一日一日、人格を磨いていきましょう。

■参考にしたい人格・在り方に関する名言

「マネジャーにとって決定的に重要なものは、教育やスキルではない。それは真摯さである。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「素直な心になりましょう。素直な心は人を強く正しく聡明にします。」
── 松下幸之助『素直な心になるために』

「己に如かざる者を友とすること無かれ。過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。」
── 孔子『論語』

「上に立つ者が自らを正せば、命令せずとも人は動く。自らが正しくなければ、命じても従わない。」
── 孔子『論語』(其身正、不令而行)

■クライアントの実践事例

私のお客様の、卸売業H社(社員35名)の社長さんは、とても優秀な方でした。頭の回転が速く、先を読む力もある。ただ、その分だけ、部下の意見を「それは違う」と即座に切り返してしまう癖がありました。会議では、いつのまにか誰も本音を言わなくなっていたそうです。

研修の中で、私は一つだけお願いをしました。部下が意見を言ったら、反論する前に必ず一度「なるほど、ありがとう」と受けてから話してください、と。たったそれだけです。社長さんは「そんなことで変わるものか」と半信半疑でした。

ところが三か月ほどで、会議の様子が変わってきました。若手が自分から改善案を出すようになり、社長が気づかなかった現場の問題も上がってくるようになった。「私が口を閉じて素直に聴くようになっただけで、こんなに情報が集まるとは思わなかった」と、驚いておられました。

社長さんの能力は、以前と何も変わっていません。変わったのは、人の話を素直に受け止める、その一点だけです。真摯さと素直さは、こうして日々の小さな態度に表れ、組織を静かに変えていくのだと、私自身も改めて教わりました。

■人格・リーダーの在り方に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 真摯さは生まれつきのもので、後から身につかないのでしょうか。

A. ドラッカーは「生来持っていなくてはならない」と厳しく言いましたが、私はこう考えています。ごまかさない、逃げない、誠実であろうとする。その姿勢を選び続けることは、誰にでもできます。日々の選択の積み重ねが、真摯さを育てていきます。

Q. 素直になると、なめられてしまわないか心配です。

A. 素直さと、迎合はまったく違います。人の意見をよく聴き、非を認めるのは、自分に自信がある人ほどできることです。かえって信頼が増し、人がついてきます。なめられるのは、素直な人ではなく、言行が一致しない人です。

Q. 部下の欠点ばかりが目についてしまいます。

A. それは多くの経営者に共通する悩みです。ドラッカーは「弱みを見れば高い成果は生まれない、強みに集中せよ」と説きました。意識して、その人が何ができるかを先に探す習慣をつけてください。強みに光を当てると、人も組織も伸びていきます。

Q. 忙しくて、自分を振り返る時間が取れません。

A. 長い時間は要りません。一日の終わりに一分だけ、今日、素直であれたか、誠実であれたかを心の中で問う。それだけで十分です。松下幸之助の習慣も、特別な修行ではなく、毎日の小さな振り返りでした。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

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管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


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ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

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