ドラッカーと論語には大きな共通点があります。

ドラッカーは言います。

「マネジメントとは人のことである。」(マネジメント)

2度の世界大戦、そしてホロコーストを経験し、生まれたものがドラッカーのマネジメント思想です。

ドラッカー経営の中心にあるのは、人間の幸せ、人間が社会・組織の中でどう意義ある存在として生きていけるか、ということ。

ドラッカーは人間が中心となり活かされる社会、組織が健全に機能するマネジメントをもってこそ、二度と戦争の起こらぬ、人類の未来を実現するものだと考えました。

そして、2千年以上も前に、孔子は言います。

「人、道を弘む。

道、人を弘むるにあらず。」(論語)

学問を広めていくのはあくまで人であって、学問や、思想が人間より上位にくることはあり得ないということです。

孔子は論語において仁、(仁とは慈愛とか愛情といった意味)を最も重視しました。

実力はありながら流浪の生活を余儀なくされた孔子。

孔子の行きついた先の人間社会の在り様、理想が「仁=愛」だったのです。

孔子・ドラッカーの双方とも、政治・思想・学問・経営において、すべてにおいて人間を中心に考える学問なのです。

学問より、思想より、経済効果よりも、なによりも人間が重要なのだ。

学問の中心には人間、人間の幸せがあるべきだ!と主張している学問なのです。

人間が中心にある学問は、学問の中の学問、学問の本質中の本質です。

人間を活かしぬく学問、人間学の本質がドラッカーと論語の共通点なのです。

ドラッカー・経営セミナーでは、論語とドラッカーの共通点について詳しく解説しています。

■現場のアクションプラン

【1】経営判断に迷ったら「人を活かしているか」で立ち返る

数字やルールだけでは割り切れない判断に出会ったとき、「この決定は、人を活かすことになっているか」と一度問い直してみる。ドラッカーも論語も、最後は人間に立ち返れと教えています。この問いが、判断の軸になります。

【2】社員を「手段」ではなく「目的」として見る習慣を持つ

人を、成果を出すための道具として見ていないか。ときどき自分に問うてみてください。社員一人ひとりの幸せや成長を、経営の目的の一つに据える。その姿勢は、必ず社員に伝わります。

【3】古典の一節を、朝礼や面談で一つ共有してみる

論語でもドラッカーでも構いません。心に残る一節を、社員と分かち合う場をつくる。立派な解説は要りません。「自分はこう受け取った」と語るだけで、職場に人間を大切にする空気が流れはじめます。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
人を目的として大切にする 人を数字を出す手段として扱う
判断の軸に人間への愛情を置く 損得と効率だけで割り切る
社員の幸せを経営の目的に含める 利益だけが目的だと考える
先人の知恵に学び、原点に立ち返る 目先の手法ばかりを追いかける
仁(思いやり)を仕事の根に置く 規律と管理だけで人を動かす

■経営者へのメッセージ

ドラッカーと孔子。生きた時代も、国も、二千年以上も隔たっています。それでも二人は、同じ一点にたどり着いていました。何よりも大切なのは、人間である、ということです。

ドラッカーは、二度の大戦とホロコーストという、人間が人間を踏みにじる時代を生き抜きました。その絶望の底から、人を活かし、人が意味を感じて働ける組織をつくること。それこそが、二度と悲劇を繰り返さない道だと考えたのです。孔子もまた、乱世を流浪しながら、最後に「仁=人を思いやる心」にたどり着きました。

経営をしていると、数字に追われ、人をつい「コマ」のように見てしまう瞬間があります。それは、誰にでもあることです。だからこそ、ときどき立ち止まって、思い出していただきたいのです。会社とは、人が集まり、人が活き、人が幸せになるための場所なのだ、ということを。

人を大切にする経営は、決して甘い経営ではありません。むしろ、最も強く、最も長く続く経営です。あなたの会社で働く一人ひとりが、「ここで働けてよかった」と思えること。その積み重ねの先に、本物の成果が待っています。

■参考にしたい人間中心の経営に関する名言

「組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』

「己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ。」
── 孔子『論語』

「事業の目的は、顧客の創造である。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「企業は人なり。」
── 松下幸之助

■クライアントの実践事例

私のお客様の、運送業E社(社員50名)の社長さんは、数字にはとても厳しい方でした。生産性、稼働率、原価。あらゆる指標を把握し、会社を立派に成長させてこられた。けれど、社員の離職が止まらず、「なぜうちは人が定着しないのか」と悩んでおられました。

お話を伺ううちに、社員が「自分は数字を出すための歯車だ」と感じているのではないか、と思い当たりました。そこで私は、論語とドラッカーに共通する「人を目的として大切にする」という考え方をお伝えし、月に一度、社員一人ひとりと短い面談の時間を持つことをお願いしました。評価や指示のためではなく、ただ相手の話を聴くための時間です。

半年ほど続けると、職場の空気が少しずつ変わってきました。社員が、自分は大切にされていると感じるようになり、辞める人が目に見えて減っていったのです。社長さんは「数字ばかり見て、肝心の人を見ていなかった」と、静かにおっしゃいました。

変えたのは、制度でも給与でもありません。社員を、手段ではなく一人の人間として見る。その一点が、会社を内側から強くしていったのです。

■人間中心の経営に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 人を大切にと言いますが、甘い会社になってしまいませんか。

A. よくあるご心配です。ですが、人を大切にすることと、甘やかすことは違います。相手を一人の人間として尊重するからこそ、本気で向き合い、ときに厳しいことも伝えられる。本当の意味で人を活かす経営は、むしろ規律のある、強い経営になります。

Q. 論語やドラッカーのような話は、現場では理想論に聞こえないでしょうか。

A. たしかに、言葉だけでは空回りします。大切なのは、日々の小さな行動に落とすことです。社員の名前を呼んで挨拶する、話を最後まで聴く、良いところを認める。理想を一つの具体的な行動に変える。そこから現場は変わります。

Q. 利益を追うことと、人を大切にすることは両立しますか。

A. 両立します。むしろ、人を活かすからこそ、長く続く利益が生まれます。短期の利益だけを追えば人は疲れ、去っていきます。人が活き活きと働く会社は、結果として、強く安定した成果を生み続けるのです。

Q. まず経営者として、何から始めればいいでしょうか。

A. 難しく考える必要はありません。明日、社員一人に「最近どう?」と声をかけることから始めてみてください。人を大切にする経営は、大きな制度改革からではなく、そうした日々のまなざしの積み重ねから始まります。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に

とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。

「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。

貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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