【君子の役目は人の徳性を解放させ、成長を手助けすること。中国古典・大学より】
ドラッカーは言います。
「リーダーシップとは権力ではない、責任である。」
リーダーは何に対して責任を持つのでしょうか。
リーダーは共に働く人を活かし、社会の生産的な一部にする責任を持ちます。
中国古典はリーダーの役割を
「人の持つ特性(本心・良心・強み)を発現させ、解放することにある。」と定義します。
ドラッカーも全く同じです。
リーダーは働く仲間の持ち味を最高に生かし、組織に成果を上げる責任を持つのです。
働く仲間の徳性を解放させる、潜在能力を解放させ高い目標を達成させるためには、
その人の「強み」を用いなければいけません。
ドラッカーのマネジメントにおける人を活かすことに対する名言を列挙します。
「人が何かを成し遂げるのは強みによってのみである。弱みはいくら強化しても平凡になる事さえ疑わしい。」
「組織の目的は均衡と調和ではなく、人のエネルギーの解放と動員にある。」
「リーダーには正当性が必要である。すなわち、人活かすということである。」
「人は弱い、そして過ちを犯す、しかし人はこのことのために雇われるのではない、人が雇われるのは
強みによってである。強みによって事を為すために人は雇われるのである。」
これらのドラッカーの言葉からも、リーダーが人を活かし、幸せな会社を創るためには
なにをすればよいかが明らかになってきます。
リーダーは共に働く仲間の持ち味を生かし、徳性(潜在的な力)を解放させる、人を成長に導く指導者なのです。
最後にもう一つドラッカーのリーダーに関する言葉を
「リーダーシップとは、共に働くものの視野を高め、成果の基準を上げ、制約を超えさせるものである。」
すべての組織が成功するか否かも、すべてこのリーダーのリーダーシップの確立にかかっているのです。
組織のすべての問題は、リーダーシップの問題なのです。
経営者・幹部であるあなたが高いリーダーシップを確立すること、そのことが最大限に重要なのです。
この記事でまとめたこと
■現場のアクションプラン
【1】部下一人ひとりの「強み」を書き出す
まず、それぞれの部下が何が得意なのかを紙に書いてみる。段取りが上手い、人当たりが柔らかい、細かい作業に強い。日ごろは弱みばかりが目につきがちですが、意識して強みを探すと、その人の活かしどころが見えてきます。
【2】弱みを直すより、強みを活かせる仕事を任せる
苦手を克服させようとすると、本人も上司も疲れ果ててしまいます。それより、その人の強みが発揮できる仕事を一つ任せてみる。得意な場で働く人は、自然と生き生きとし、成果も上がっていきます。
【3】できたことを、その場で言葉にして認める
強みを発揮した瞬間を見逃さず、「今の対応、よかったよ」とすぐに声をかける。人は認められると、その強みをさらに伸ばそうとします。認める習慣が、部下の力を解き放つ鍵になります。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| 一人ひとりの強みに目を向ける | 弱みや欠点ばかりを指摘する |
| 強みを活かせる仕事を任せる | 全員に同じことを均一に求める |
| 責任を持って人を育てる | 権力で人を従わせようとする |
| できたことを認め、力を引き出す | できて当たり前と受け流す |
| 部下の視野と目標を高めていく | 目先の作業だけをこなさせる |
■経営者へのメッセージ
リーダーというと、つい「引っ張る力」や「決断力」を思い浮かべます。もちろん大切です。けれど、ドラッカーが繰り返し説いたリーダーの本質は、そこではありませんでした。共に働く人を活かし、その人の中に眠る力を解き放つこと。これこそがリーダーの責任だと、ドラッカーは言い切ります。
中国古典の「人の徳性を解放する」という言葉も、まったく同じことを指しています。人は、弱みをいくら直しても平凡にしかなりません。ところが、強みを活かせる場に立つと、思いもよらない力を発揮します。人を伸ばすとは、欠点をなくすことではなく、良いところを解き放つことなのです。
日々の忙しさの中では、どうしても部下の足りないところが目についてしまいます。それでも、意識して一人ひとりの強みを探し、活かす場をつくる。その積み重ねが、人を育て、組織を強くしていきます。
まずは、お一人の部下の良いところを一つ、思い浮かべてみてください。そこから、あなたのリーダーシップは、静かに深まっていきます。
■参考にしたいリーダーシップに関する名言
「組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」
── 山本五十六
「事業は人なり。」
── 松下幸之助
「己を立てんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。」
── 孔子『論語』
■クライアントの実践事例
そこで私がお願いしたのは、その社員の「苦手」ではなく「得意」を一つ探してみることでした。しばらく観察してみると、その若手は、機械の細かな不調にいち早く気づく目を持っていたのです。作業の速さでは他に劣っても、異音や振動の変化を感じ取る感覚は、ずば抜けていました。
そこで工場長さんは、彼を機械の点検と保全の担当に回しました。すると、水を得た魚のように働き始めたのです。彼が早めに不具合を見つけてくれるおかげで、工場全体の故障による停止も減っていきました。
一年後、その若手は「機械のことなら彼に聞け」と頼られる存在になっていました。変えたのは本人ではありません。強みを活かせる場を用意しただけです。工場長さんは「弱みばかり見ていた自分が恥ずかしい」と、笑っておられました。
■リーダーシップに関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. 部下の強みといっても、なかなか見つかりません。
A. 強みは、本人にとっては当たり前すぎて気づかないことが多いものです。「苦もなくできていること」「周りより早く終わること」に注目してみてください。本人が力まずできていることの中に、その人の強みが隠れています。
Q. 弱みを直させないと、仕事に支障が出ませんか。
A. 支障が出るほどの弱みは、周りで補う仕組みを作ればよいのです。弱みをゼロにするのに労力を注ぐより、強みを伸ばすほうが、本人も組織も成果が上がります。弱みは中和し、強みで勝負する。これがドラッカーの考え方です。
Q. 認めると、部下が調子に乗ってしまわないでしょうか。
A. 具体的な事実を認めるなら、その心配はいりません。「よくやった」だけでは甘やかしになりますが、「あの対応のここが良かった」と事実で伝えれば、本人は次も同じ良さを出そうとします。認めることは、甘やかすことではありません。
Q. リーダーシップは、生まれつきの資質ではないのですか。
A. ドラッカーは、リーダーシップを資質ではなく「仕事」だと言いました。人を活かす責任を果たす、その具体的な行動の積み重ねがリーダーシップです。カリスマ性は要りません。誰でも、日々の姿勢で身につけていけるものです。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に
とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。
「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。
管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。
貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。
ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。


