ドラッカーは言います。
 
「人が成果を上げるのは、強みによってのみである。

弱みはいくら強化しても平凡になることさえ難しい。

強みに集中し、強みからアウトスタンディング(卓越)の領域を目指しなさい。」

(ドラッカー著:マネジメント)

ドラッカー経営の基本は強みから卓越した領域を目指すことです。

メンバーの強みに着目して、高い成果を生めるように仕事を設計します。

メンバーの強みが際立ち、弱みは中和できるような組織を創っていきます。

しかし、ドラッカーはこうも言います。

「強みからしか成果を上げることはできない。

しかし多くの人が自分の強みを分かっていない。」

強みからしか成果はあがらないのに、強みが明確化されなければ、自分の強みをどう使っていいかもわかりません。

強みというには、自分では自然とできてしまうために、自分では把握できないのです。

社長は、全メンバー―の強みを明確にし、強みを相互に利用できる関係にしなければなりません。

そのために私のクライアントが取り組み成果を上げているシンプルなアイデアをご紹介します。

それは会議の前や飲み会の前に、今日はA君の強みを皆で言い合おうというような、強みの言い合いっこをすることです。

強みは自分ではわからないので、相互に言い合い、客観的に把握する必要があるのです。

この強みの言い合いっこは、相互に強みが明らかになり、またお互いの美点を褒め合う文化となるため、組織のモチベーションも非常に高くなります。

とてもシンプルなアイデアです、是非実践してみて下さい。

ドラッカー・経営セミナーでは、強みを活かすドラッカー経営のコンセプトについて解説しています。

■現場のアクションプラン

【1】社員一人ひとりの「自然にできてしまうこと」を書き出す

強みは、本人にとって当たり前すぎて自覚しにくいものです。だからこそ社長や上司が観察する。段取りが速い、人に気を配れる、細かい確認を苦にしない。そうした「その人がやると、なぜか上手くいくこと」を一人ずつ書き出してみてください。

【2】「強みの言い合いっこ」を会議の前に取り入れる

本文でご紹介した通りです。会議や打ち合わせの冒頭に、今日は一人を決めて、その人の強みを皆で言い合う。三分もあれば十分です。自分では気づかない強みが客観的に見えてきて、職場の空気も温かくなります。

【3】弱みを直すより、強みが活きる仕事に配置し直す

弱みをいくら鍛えても、せいぜい人並みです。それより、その人の強みが最も活きる仕事に思い切って配置する。苦手な作業は、それを得意とする別の人に任せる。組織とは、互いの弱みを意味のないものにする仕組みなのです。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
強みに集中させ、卓越を目指す 弱みばかりを指摘して直させる
互いに強みを言い合い客観化する 本人任せで強みを埋もれさせる
強みが活きる仕事に配置する 全員に同じことを平均的に求める
苦手は得意な人に任せ合う 一人で何でもこなそうとさせる
美点を褒め合う文化を育てる あら探しの空気を放置する

■経営者へのメッセージ

人はつい、足りないところに目が行きます。あの社員のここが弱い、この点が直らない。気づけば一日中、部下の短所ばかりを見ていた、という社長さんは少なくありません。

けれど、いくら弱みを叱っても、そこから成果は生まれません。ドラッカーが言うように、平凡に届くことさえ難しいのです。人が本当に力を発揮するのは、自分の強みを存分に使えているときだけです。

強みは、本人には見えません。だからこそ、それを見つけて言葉にしてあげるのが、社長や上司の大切な仕事です。「君のこういうところは、うちにとって本当にありがたい」。その一言が、社員の中に眠っていた力を呼び覚まします。

一人ひとりの強みが噛み合ったとき、組織は驚くほど強くなります。まずは今日、身近な社員の良いところを一つ、見つけて伝えてみてください。そこから、あなたの会社は変わり始めます。

■参考にしたい強みに関する名言

「何事かを成し遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。できないことによって何かを行うことなど、到底できない。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』

「組織の役割は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』

「長所を伸ばせば短所は自然に消えていく。」
── 松下幸之助

「人の短所と付き合うな、長所と付き合え。」
── 松下幸之助

■クライアントの実践事例

私のお客様の、金属加工業C社(社員28名)の社長さんは、ある若い社員のことで悩んでいました。作業は丁寧だが口下手で、朝礼で話すのも苦手。「もっと積極性を出せ」と何度言っても変わらない、というのです。

そこで私は、その社員の「自然にできてしまうこと」を一週間観察してもらいました。すると分かったのは、彼が誰よりも細かな異常に気づく目を持っていたこと。他の人が見過ごす小さな傷や寸法のずれを、必ず拾い上げていたのです。

社長さんは、彼を検査と品質管理の担当に配置し直しました。苦手な人前での発表は求めず、その代わり、気づいたことを紙に書いて報告する形にしたのです。すると彼は水を得た魚のように動き始めました。

半年後、C社の不良品率は目に見えて下がり、得意先からの信頼も厚くなりました。変えたのは、彼の性格ではありません。彼の強みが活きる場所を用意しただけです。弱みを直させるのをやめた日から、すべてが好転したのでした。

■強みの活かし方に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 社員の強みが、どうしても見つけられません。

A. 強みは派手なものとは限りません。「遅刻をしない」「頼んだことを忘れない」「不機嫌にならない」。そうした地味な美点も立派な強みです。まずは一週間、その社員の「当たり前にできていること」に注目してみてください。必ず何か見つかります。

Q. 弱みを放っておいて、本当に大丈夫でしょうか。

A. 放っておくのではなく、意味のないものにするのです。苦手な仕事は、それを得意とする別の社員に任せる。役割を組み替えれば、一人の弱みは組織全体では消えてなくなります。全員が全部をこなす必要は、そもそもないのです。

Q. 「強みの言い合いっこ」は照れくさくて、うまくいくか不安です。

A. 最初はぎこちなくて当然です。社長さんから率先して、身近な社員の良いところを一つ口に出してみてください。上に立つ人が本気で褒めると、場の空気が変わります。三回も続ければ、社員のほうから自然に言葉が出るようになります。

Q. 強みばかり褒めると、社員が甘えませんか。

A. 甘えとは違います。強みを認められた人は、期待に応えようと、かえって自分を厳しく律するようになるものです。頭ごなしに欠点を責められた人ほど、心を閉ざして動かなくなる。人は、認められてこそ本気になるのです。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に

とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。

「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。

貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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