ドラッカーは言います。
「組織に優劣があるのではない。学んでいるか、そうでないかの違いである。」
(ドラッカー著 創造する経営者)
組織の強みの源泉は、そのビジネスに関する知識・ノウハウです。
組織を強化するとは、そのビジネスに関する専門知識を卓越したものとして強化することにあります。
知識は人に属します、つまり組織強化とは人材の強化に他なりません。
人材の中に眠る知識を強化するためには、学ぶ組織・教える組織を創らなければなりません。
学んでいるか、いないかが組織の優劣を決める時代に、一番必要な事は、全従業員に継続学習の文化・社風を醸造することです。
ドラッカーも言います。
「組織は優秀な人を採るから強くなるのではない。
文化と風土によって自己啓発を動機づけるからこそ、組織は強くなる。」
(ドラッカー:経営者の条件)
ドラッカー・経営セミナーでは学習する組織を創り、組織を強化する実践的な方法を解説しています。
この記事でまとめたこと
■現場のアクションプラン
【1】社長自身が「学んでいる姿」を見せる
学ぶ組織は、社長の後ろ姿からしか生まれません。社員に本を読めと言う前に、社長が学んだことを朝礼で一つ話す。読んだ本、気づいたこと、やってみたこと。それを続けるだけで、「この会社は学ぶ会社だ」という空気が、自然と社員に伝わっていきます。
【2】できる社員の「暗黙知」を言葉にして残す
腕のいいベテランの頭の中には、会社の財産が眠っています。けれどもそれは、本人が辞めれば消えてしまう。その人のやり方を、簡単な手順書や口頭の勉強会で共有する。一人の知恵を、組織の知恵に変える。これが人材強化のいちばん確実な方法です。
【3】月に一度、短くていいから「学び合う場」を設ける
立派な研修でなくて構いません。月に一度、三十分でもいい。失敗から学んだこと、うまくいったやり方を、社員同士で持ち寄って話す。教える側がいちばん学びます。この小さな習慣が、学び続ける風土の土台になります。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| 学ぶ文化・風土を育てる | 優秀な人の採用だけに頼る |
| 社長が率先して学ぶ姿を見せる | 社員にだけ学べと命じる |
| ベテランの知恵を共有し残す | 知識を個人の頭に抱え込ませる |
| 社員同士で教え合う場をつくる | 学びを一度きりの研修で終える |
| 学びを続く習慣にする | 忙しさを理由に学びを後回しにする |
■経営者へのメッセージ
良い人を採れば会社が強くなる。多くの社長さんが、そう考えておられます。けれどもドラッカーは、それは違うと言いました。会社を強くするのは、採用の良し悪しではなく、入った人が学び続けられるかどうか、その風土なのだと。
これは、中小企業にとって本当に心強い言葉です。大企業のように、たくさんの優秀な人を採ることはできないかもしれません。けれども、今いる社員が学び、育つ会社をつくることは、規模に関係なくできるのです。
そして、学ぶ風土は、社長の姿から始まります。社長が学ぶのをやめた会社で、社員が学び続けることはありません。逆に、社長が謙虚に学び続ける会社は、社員も自然と学ぶようになります。難しい制度は要りません。社長が学んだことを、一言、社員に話すこと。そこから始まります。
今日の社員の成長が、三年後の会社の実力になります。焦らず、まず一つ、社員が学び合える小さな場をつくってみてください。その積み重ねが、他社には真似のできない、強い組織をつくっていきます。
■参考にしたい人材育成に関する名言
「教えることほどよく学べる方法はない。」
── ピーター・ドラッカー
「人を育てることなくして、企業の継続的な繁栄はありえない。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』
「企業が必要とするのは、自ら学び、自ら成長する人材である。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
「企業は人なり。事業は人をもって栄え、人をもって滅びる。」
── 松下幸之助
■クライアントの実践事例
そこで私がお勧めしたのは、大がかりな研修制度ではありません。「月に一度、三十分だけ、ベテランが若手に自分のコツを話す会を開いてみてください」ということでした。はじめは「そんな時間はない」「照れくさい」と、ベテランの方々も乗り気ではありませんでした。
ところが続けていくうちに、変化が起きました。教えるために、ベテラン自身が自分の仕事を言葉にして考え直すようになった。若手は、本やマニュアルにはない生きた知恵を受け取れるようになった。そして何より、「教えてもらえる」「頼りにされる」という実感が、職場の空気を温かくしていったのです。
一年後、C社では若手の離職が減り、ベテランの表情も生き生きしてきました。「うちの一番の財産は、人の頭の中にあったんですね」と社長さんは話しておられました。変えたのは、知恵を分かち合う小さな場を、毎月続けたことだけでした。
■人材育成に関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. 研修にお金をかける余裕がありません。
A. 学ぶ組織に、立派な研修は必ずしも必要ありません。いちばん効くのは、社員同士が教え合う場です。ベテランが若手に、できる人がそうでない人に、仕事のコツを話す。費用はかかりません。むしろ社内にすでにある知恵を活かすことが、学ぶ組織の出発点です。
Q. 社員が学ぶことに関心を示してくれません。
A. その場合、まず社長ご自身が学ぶ姿を見せてください。人は命令では動きませんが、背中には影響されます。社長が学んだことを朝礼で一つ話す。それを続けるだけで、社員の意識は少しずつ変わっていきます。風土は、上から静かに広がっていくものです。
Q. せっかく育てても、社員が辞めてしまうのが怖いです。
A. お気持ちはよく分かります。けれども、育てないまま社員を抱えておく方が、はるかに大きな損失です。それに、学べる会社、成長できる会社こそ、人は辞めにくい。育てることは、辞めさせないことにもつながります。安心して、人に投資してください。
Q. 何から学ばせればいいのか分かりません。
A. 遠い話より、まずは自社の仕事に直結することから始めてください。よくある失敗、うまくいったやり方、お客様から言われたこと。身近な題材ほど、社員は自分ごととして学べます。学びは、現場の課題と結びついたときに、いちばん力を発揮します。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に
とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。
「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。
管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。
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ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。



