現代マーケティングの父・コトラーは言います。

「多くの企業が自社の商品・サービスには非常に興味を持っている。

しかし顧客の関心に興味を持っている企業は非常に少ない。」

顧客に商品・サービスを購入してもらおうと思ったら、顧客が何を価値としているか

顧客にとっての成果は何かについて考え抜かねばなりません。

顧客は商品・サービスを買うのではなく、何らかの問題を解決手段として、商品・サービスを

利用しているのです。

例えば、ベンツを購入するお客様は、単に移動手段としての車を買っているのではありません。

顧客が本当に得たいものは、ステータスだったり、プライドの満足だったり、ラグジュアリー感

かもしれません。

顧客が御社の商品を使って、本当に解決しようとしているもの、顧客の価値は何ですか。

その価値からマーケティングはスタートするのです。

顧客が自社の商品・サービスにおいて本当に価値と感じているものは何か、理解せねばならないと

ドラッカーも、名著「経営者の5つの質問」において強調します。

極めて本質的なマーケティング上の質問です。

経営者が考え抜くべき課題です。

■現場のアクションプラン

【1】「お客様は本当は何を買っているのか」を書き出す

自社の商品名やスペックを一度わきに置いて、お客様がその商品で何を解決したいのかを考えてみる。安心なのか、時間の節約なのか、見栄えなのか。売っているモノではなく、お客様が得たい成果を言葉にすると、訴え方が変わります。

【2】お客様に「なぜ当社を選んだか」を直接聞く

こちらが想像する価値と、お客様が感じている価値は、たいてい食い違っています。実際に買ってくださった方に「決め手は何でしたか」と尋ねてみてください。返ってくる言葉の中に、自社の本当の強みが隠れています。

【3】その価値を、そのままお客様の言葉で伝える

お客様が口にした決め手の言葉を、そのままチラシやホームページ、営業トークに使う。作り手の理屈ではなく、お客様の実感で語ると、伝わり方がまるで違ってきます。価値は、こちらで作るのではなく、お客様から教わるものです。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
お客様が得たい成果から考える 自社の商品の良さから考え始める
お客様に価値を直接聞く 価値を社内の想像で決めつける
お客様の言葉で商品を語る 作り手の専門用語で説明する
問題解決の手段として商品を提案する 機能や仕様の多さを売りにする
価格ではなく価値で選ばれる工夫をする 値引きだけで勝負しようとする

■経営者へのメッセージ

私たちは、自社の商品に誰よりも詳しくなります。だからこそ、つい「この機能が優れている」「他社よりここが良い」と、作り手の目線で語ってしまう。ところが、お客様が知りたいのは、その商品で自分の困りごとがどう解決するか、ただそれだけなのです。

コトラーが指摘したように、多くの会社は自社の商品には夢中でも、お客様の関心にはあまり目を向けていません。ここに、成果の分かれ目があります。同じ商品でも、「何を売っているか」ではなく「お客様が何を得られるか」で語れる会社は、強い。

難しく考える必要はありません。お客様に「なぜ当社を選んでくださったのですか」と聞くだけで、本当の価値が見えてきます。その答えは、たいてい社内の予想とは違います。そのずれに気づくことが、マーケティングの第一歩です。

まずは、あなたの会社の商品が、お客様のどんな悩みを解いているのかを、一度書き出してみてください。そこから、選ばれる会社への道が始まります。

■参考にしたい顧客価値に関する名言

「顧客が価値ありとし、購入するものは、決して製品そのものではない。それは効用である。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』

「人はドリルが欲しいのではない。穴が欲しいのだ。」
── セオドア・レビット

「お客様への価値創造。それが商売の原点である。」
── 松下幸之助

■クライアントの実践事例

私のお客様の、住宅リフォーム業F社(社員18名)の社長さんは、価格競争に疲れ切っておられました。相見積もりを取られては安いところに流れる。「うちの技術はどこにも負けないのに」と、悔しそうにおっしゃっていたのを覚えています。

そこで私がお願いしたのは、過去に工事をさせていただいたお客様に、「なぜ当社を選んでくださったのか」を直接聞いてみることでした。すると、返ってきた答えは意外なものでした。「値段」を挙げた方はほとんどおらず、多くの方が「小さな相談にも丁寧に乗ってくれた」「工事後も気にかけてくれた」と話されたのです。

F社が本当に売っていたのは、リフォームという工事ではなく、「安心して長く付き合える相手」でした。社長さんはそこに気づき、チラシもホームページも、価格ではなく「工事後のお付き合い」を前面に出すよう変えていきました。

半年ほどで、安さだけを求めるお客様が減り、じっくり相談したいお客様が増えてきました。無理な値引きをしなくても選ばれるようになったのです。お客様が本当に価値を感じているものは、社内の想像とは違うところにありました。

■顧客価値に関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. うちの商品はどこにでもあるもので、特別な価値なんてありません。

A. そう思い込んでいるだけかもしれません。同じ商品でも、お客様は「あなたから買う理由」を持っています。対応の速さ、相談のしやすさ、地元での安心感。モノ自体でなくても、価値は必ずどこかにあります。お客様に聞いてみてください。

Q. お客様の価値を考えても、結局は価格で決まってしまいます。

A. 価格でしか選ばれないのは、価値が伝わっていないサインです。お客様が本当に得ているものを言葉にして伝えると、「多少高くてもここで」と思ってもらえるようになります。まず伝え方から見直してみましょう。

Q. 顧客価値というのは、社内で話し合えば分かるものですか。

A. 社内の話し合いだけでは、たいてい想像で終わります。ドラッカーが言うように、顧客のことは顧客にしか分かりません。会議室を出て、お客様に直接聞く。これが一番の近道です。

Q. 業種によって、お客様の価値は違うものですか。

A. 表れ方は業種で違いますが、根っこは同じです。お客様は必ず「何かの困りごとを解決したい」と思っています。自社のお客様がどんな悩みを抱えているかを具体的に描くと、業種に関係なく、価値は見えてきます。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。

難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に

とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。

管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

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貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。

ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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