ドラッカーの著作に「経営者に贈る5つの質問」(ダイヤモンド社)があります。

たった5つの質問で経営の本質から革新を起こす5つの質問です。

【ドラッカー・経営者に贈る5つの質問】

【1】われわれの使命は何か?

【2】われれの顧客は誰か?

【3】われわれの顧客が価値としているものは何か?

【4】われわれの成果は何か?

【5】われわれの計画は何か?

(ドラッカー著:経営者に贈る5つの質問)

■5つの質問はトップマネジメントチームで考え抜く

この5つの質問は、経営計画・経営戦略の策定の半年前から

トップマネジメントチームで深く検討していきます。

5つの質問を現在の事業に照らし合わせて考え抜き

使命を考え、顧客を考え、顧客への価値、自社の成果、行動への計画

を考え抜くことで、経営の新たな打ち手が見えてきます。

■5つの質問は毎年考え抜く必要がある

市場・顧客・経営環境は毎年変化していくために、この5つの質問は

一度やったら終わりではなく、毎年検討し、修正していく必要性があります。

ドラッカーセミナーでは、ドラッカーの5つの質問の活用法について解説しています。

■現場のアクションプラン

【1】まず「われわれの使命は何か」を、社長自身の言葉で一枚に書く

立派な経営理念を借りてくる必要はありません。自社は何のために存在し、誰の役に立つために事業をしているのか。飾らない自分の言葉で一枚の紙に書き出してみる。ここがすべての出発点になります。

【2】「顧客は誰か」「顧客は何に価値を感じているか」を、思い込みで決めない

社内で「うちの客はこういう人だ」と決めつけると、大切な変化を見落とします。実際にお客様の声を聞き、買ってくれた理由をたずねる。頭の中の顧客ではなく、現実の顧客に向き合ってみてください。

【3】五つの質問を、幹部と一緒に半年かけて考える場をつくる

社長ひとりで抱え込まず、経営幹部と同じ問いを共有する。答えがすぐ出なくてもかまいません。同じ問いを考え抜く時間そのものが、経営チームを育てていきます。

■成果につながる方法とそうでない方法

成果につながる方法 成果につながらない方法
使命から出発して事業を考える 目先の売上だけを追いかける
顧客に直接たずねて価値をつかむ 社内の思い込みで顧客像を決める
五つの問いを幹部と共有して考える 社長ひとりで抱え込んで決める
毎年見直して問いを更新する 一度決めた計画を数年放置する
計画を具体的な行動にまで落とす 立派な計画書を作って満足する

■経営者へのメッセージ

たった五つの質問だと侮ってはいけません。この問いは、答えようとするほど深く、そして経営の芯に触れてきます。使命は何か、顧客は誰か。当たり前のようでいて、日々の忙しさの中で、私たちは意外とこの問いから遠ざかってしまうものです。

大切なのは、正しい答えを一発で出すことではありません。この問いを、幹部と一緒に、何度も何度も考え抜くことです。その過程で、社員一人ひとりが「自分たちは何のために働いているのか」を腹の底から理解していきます。それが、強い組織の土台になります。

環境は毎年変わります。ですから、この五つの問いに終わりはありません。去年の答えが今年も正しいとは限らない。だからこそ、毎年立ち止まって考え直す会社は、変化に強くなっていきます。

焦らなくて大丈夫です。まずは今年、五つの問いのうち一つでも、幹部と本気で話し合う場をつくってみてください。そこから、会社は静かに、しかし確実に変わり始めます。

■参考にしたい経営の問いに関する名言

「われわれの事業は何か。何であるべきか。この問いに答えることこそ、トップマネジメントの第一の責任である。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「重要なことは、正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』

「企業の目的は、顧客の創造である。」
── ピーター・ドラッカー『現代の経営』

「事業とは何かを問われて、正しく答えられる経営者は少ない。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』

■クライアントの実践事例

私のお客様の、金属加工業E社(社員28名)の社長さんは、毎年きちんと経営計画書を作っておられました。ところが「作った翌月には、もう誰も見ていない」と、正直に打ち明けてくださったのです。計画が現場の行動に結びついていませんでした。

そこで私がお願いしたのは、いきなり数字の計画を立てるのではなく、まず「われわれの使命は何か」「顧客は誰か」という五つの問いを、幹部四人と半年かけて話し合ってもらうことでした。最初は「そんな哲学みたいな話が売上になるのか」と半信半疑の様子でした。

けれど、話し合いを重ねるうちに、幹部の方から「うちの本当のお客様は、価格ではなく納期の安心を買ってくれているのではないか」という気づきが出てきたのです。そこから、営業のやり方も、現場の段取りも、少しずつ変わっていきました。

一年後、E社の経営計画書は分厚さこそ変わりませんでしたが、幹部全員が「なぜこの計画なのか」を自分の言葉で語れるようになっていました。計画が、初めて自分たちのものになったのです。

■経営の問いに関してよくある質問と実践へのアドバイス

Q. 五つの質問は、うちのような小さな会社にも必要ですか。

A. むしろ小さな会社ほど効きます。大企業のように部署が分かれていない分、社長と幹部が同じ問いを共有すれば、翌日から行動が変わります。規模が小さいことは、この問いを実践するうえでは大きな強みです。

Q. 五つの問いに、なかなか答えが出ません。

A. それが自然な姿です。ドラッカー自身、この問いに簡単な答えはないと言っています。大切なのは即答することではなく、幹部と一緒に考え抜く時間そのものです。答えが揺れること自体が、経営を深めている証拠だとお考えください。

Q. 毎年考え直すのは、さすがに大変ではないでしょうか。

A. 一からやり直す必要はありません。去年の答えを見ながら「この一年で、顧客や環境はどう変わったか」だけを問い直せば十分です。半日でもかまいません。定点観測のように、毎年少しずつ更新していく感覚を持ってください。

Q. 幹部を巻き込みたいのですが、うまく議論になりません。

A. 最初から結論を求めないことです。社長が「正解を言ってほしい」という顔をすると、幹部は黙ってしまいます。「一緒に考えたい」という姿勢で、まずは五つのうち一つの問いだけを、時間をかけて話してみてください。

なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか

ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。

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とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。

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「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修

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管理職が育てば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。


ドラッカー7つの原則研修

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ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介

中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。

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