経営の目的とは何か ドラッカー経営の本質

ドラッカー 経営とマネジメントの本質
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経営の目的とは、ひとことで言えば「顧客を創造すること」です。ドラッカーはそう定義しました。売上や利益はその結果であり、目的そのものではありません。そして、その顧客を生み出すのは人であり、経営とは、人が生き生きと働き、幸せに生きるための手段でもあります。

この記事では、「経営の目的とは何か」という問いに、ドラッカー経営・マネジメントの本質からお答えします。利益の本当の位置づけ、経営理念やミッションとの違い、企業の二つの基本機能、松下幸之助や稲盛和夫といった他の経営者との比較、そして中小企業が明日から使える顧客創造の進め方まで、順を追って整理していきます。(2026年9月時点の内容です。)

書き手は、ドラッカー学会員として二十年以上、中小企業の現場だけを歩いてきた経営コンサルタントです。大企業向けの理論をそのまま持ち込むのではなく、「今いる社員で、今の会社で、どう最大の成果を上げるか」という一点にドラッカーを絞り込んできました。ジャズを長く続けてきた人間として、譜面どおりではなく現場の呼吸に合わせて即興で応える感性を、そして陽明学・論語・禅といった東洋の人間学を、ドラッカーに重ねて読み解いています。理屈で分からせるのではなく、経営者の魂に火をつける。だからありがたいことに「炎のドラッカー」と呼んでいただくこともあります。その視点から、この問いに正面からお答えします。

この記事でまとめたこと

この記事の結論(先に要点)

  • 経営の目的は「顧客の創造」。売上・利益はその結果であって、目的ではない。
  • 利益は目的ではなく、事業を続けるための「条件」であり、貢献の度合いを測る「基準」。
  • 「経営の目的」「経営理念」「企業理念」「ミッション」は別物。まず言葉を切り分けると迷わなくなる。
  • 顧客を創造する基本機能は「マーケティング」と「イノベーション」の二つだけ。
  • 松下幸之助も稲盛和夫も、行き着く先は同じ。人間を中心に置いた経営である。
  • そして顧客を創造するのも人。経営の中心にあるのは、人間の幸せである。

通説では、なぜ経営がうまくいかないのか

本題に入る前に、一つだけ、どうしても先にほどいておきたい誤解があります。ここを取り違えたまま進むと、経営の目的そのものがぶれてしまうからです。

一般的には、こう言われています。「経営の目的は、売上と利益を伸ばすこと」。あるいは、少しドラッカーをかじった方なら「顧客の創造、つまり新規のお客様をどんどん増やすこと」だと。だから多くの中小企業が、広告を打ち、値引きをし、リストを買い、必死に「人数」と「数字」を追いかけます。世の経営記事の大半も、この前提で書かれています。

しかし、正直に申し上げます。二十年以上、中小企業の現場だけを歩いてきて、この通説どおりに走った会社ほど、疲弊していくのを何度も見てきました。落とし穴は、はっきりしています。数字を目的にすると、社員は「売る」ことに追われ、目の前のお客様が「数字」に見えてくる。値引きで取った客は、より安い競合にすぐ流れる。集客の人数だけ増えても、単価も紹介も生まれず、広告費だけがかさむ。そして何より、現場から「この仕事に何の意味があるのか」という手応えが失われていく。ここでつまずく経営者が、本当に多いのです。

では、本当の急所はどこにあるのか。ドラッカーの原典に立ち返ると、彼が問うたのは「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」でした。数ではなく、価値です。ドラッカーの言う「顧客の創造」とは、頭数を増やすことではありません。これまで誰も満たしてこなかった価値を生み出し、その結果として「あなたでなければ」と言ってくれる人を生むこと。私の現場実感でも、「この人の、この不便をなくす」と一点を定めた会社ほど、気づけば値引きも追客もせずに選ばれ続けています。ここが、通説が決して届かない急所です。

そして、この急所を「知る」だけで終わらせず、今いる社員で、明日から動く仕組みに変えていく。それが、私が体系化した村瀬式「ドラッカーの7つの原則」であり、理屈ではなく腹に落とす「炎のドラッカー」の役割です。本記事は、その入口として、経営の目的の本質を順にほどいていきます。

1. 経営の目的とは何か — 一言でいうと「顧客の創造」

結論からお伝えします。経営の目的とは、「顧客を創造すること」です。ドラッカーは「事業の目的として有効な定義は一つしかない。それは顧客の創造である」と言い切りました。

なぜ「顧客の創造」なのでしょうか。企業の成果は、企業の外にいる顧客が生み出すものだからです。どれだけ立派な製品を作っても、それを買って価値を感じてくれる顧客がいなければ、事業は成り立ちません。企業は社会の機関であり、その目的は企業の中ではなく、社会の側、つまり顧客の側にあるのです。

ここで大切なのは、「顧客の創造」とは単に集客の人数を増やすことではない、という点です。まだ満たされていない欲求に気づき、そこに価値を届けることで、「これは自分のためにある」と感じてくれる人を生み出す。それが顧客の創造です。既存客をつなぎ止めるだけの守りではなく、これまで自社を必要としていなかった人(非顧客)の中に、新しい需要そのものを立ち上げる。ここに攻めの経営があります。

売上・利益を上げることこそ経営の目的だと思われていた時代がありました。しかしドラッカーが現れ、経営の本質がはっきりと定義し直されたのです。

2. 利益は経営の目的ではない — 目的ではなく「条件・結果」である

では、利益は何なのでしょうか。ドラッカーの答えははっきりしています。利益は経営の目的ではなく、事業を続けていくための「条件」であり、正しく経営した「結果」です。

ドラッカーは「利益は企業存続の条件である。利益は、事業がどれだけ社会に貢献できているかを検証する一つの基準にすぎない」と述べています。血液や水と同じで、なければ生きていけませんが、生きること自体が血液を流すためではないのと同じです。

利益には、大きく分けて三つの顔があると整理すると分かりやすいでしょう。

  1. 目標としての利益 — どこまで貢献できたかを測り、翌年の目安を立てるためのものさし。
  2. 手段としての利益 — 未来への投資、社員の処遇、いざというときの備えの原資。
  3. 結果としての利益 — 顧客に価値を届けた結果として、後からついてくるもの。

ここを取り違えると、経営は道を誤ります。利益そのものを目的にすると、数字さえ上がれば何をしてもいいという空気が生まれ、品質のごまかしや不正会計につながっていきます。数字を目的化した末に信用を失い、崩れていった企業を、私たちは何度も見てきました。売上・利益だけを目標にすることは、そこで働く人の幸せを犠牲にすることと表裏一体なのです。

誤解のないよう申し添えます。利益を軽んじてよい、という話ではありません。利益なくして雇用も未来への投資も守れません。要は順番です。顧客に価値を届けることを目的に置き、利益はその結果として、しかし確実に確保する。この順番を守ることが、健全に稼ぎ続ける会社の条件です。

3. 「経営の目的」「経営理念」「企業理念」「ミッション」はどう違うのか

「経営の目的」という言葉は、しばしば「経営理念」「企業理念」「ミッション」と混同されます。競合記事を読んでも、ここが整理されないまま語られていることが少なくありません。まず言葉を切り分けておくと、以後の話がすっきりします。

言葉 意味するもの 問い
経営の目的 事業が果たすべき普遍の答え。ドラッカーの定義では「顧客の創造」。 そもそも何のために事業をするのか
企業理念 自社が存在する意義・変わらない価値観。社外にも示す。 われわれは何者か
経営理念 その理念を経営でどう体現するかの方針・指針。主に社内に示す。 どう経営していくか
ミッション(使命) 誰の、どんな幸せに貢献するのかという具体的な使命。 われわれの事業は何か

関係を一本の線にすると、こうなります。普遍の目的(顧客の創造)があり、その顧客を「誰の、どんな幸せか」まで自社の言葉に落とし込んだものがミッションです。ミッションを支える価値観が企業理念で、それを日々の経営でどう貫くかを表したものが経営理念です。順番としては、まず自社のミッションを定め、その実現手段として顧客を創造していく、と考えると迷いません。

4. 経営と管理(運営)はどう違うのか

「経営」と「管理・運営」は、似ているようで役割が違います。経営は「何のために、どこへ向かうのか」を決めること。管理・運営は「そこへどう進むか」を担うことです。

日々の業務を滞りなく回すのが管理・運営だとすれば、経営は、そもそも自分たちは何のために存在するのかという目的を定め、人・モノ・カネという資源をその目的に向けて配分していく仕事です。目的が定まっていなければ、どれほど管理が上手でも、船はどこにも着きません。

だからこそ、経営者がまず向き合うべきは、業務の効率ではなく「経営の目的とは何か」という問いなのです。

5. 企業の基本機能は「マーケティング」と「イノベーション」だけ

顧客を創造するために、企業がもつべき基本の機能は二つだけです。「マーケティング」と「イノベーション」。ドラッカーはそう明言しました。この二つだけが成果を生み、それ以外はすべてコストだ、とまで言っています。

マーケティングとは、売り込みの技術ではありません。顧客の側から出発し、「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」を問い続け、顧客が本当に求めているものを届けることです。極論すれば、マーケティングが完璧なら、売り込みは要らなくなります。より深く知りたい方は、マーケティングが最重要である|ドラッカーに学ぶ顧客理解の力もあわせてお読みください。

イノベーションとは、新しい満足を生み出すことです。昨日までの当たり前を見直し、まだ満たされていない欲求に新しい答えを出す。ここでも、変化の起点にいるのは人です。現場で顧客と向き合う社員が、小さな違和感や予期せぬ成功に気づけるかどうかで、イノベーションの芽は決まります。ドラッカーがイノベーションの前に「廃棄」を説いた理由については、イノベーションとは|ドラッカーがまず「廃棄」を説いた理由で掘り下げています。

顧客にとっての「価値」も一つではありません。品質や価格といった機能面の価値だけでなく、安心・信頼という情緒的な価値、成長できるという自己変容の価値、社会に貢献できるという価値まで含めて、顧客は買う理由を見出します。この価値を生み出せるのは、結局のところ、生き生きと働く社員なのです。

6. 中小企業のための「顧客の創造」実践5ステップ

ここまでは考え方の話でした。では、明日から自社で何をすればよいのか。中小企業がそのまま使える手順に落とし込みます。理論で終わらせないための、五つのステップです。

  1. 非顧客を見つける。今のお客様ではなく、「本当は困っているのに、自社を選んでいない人」は誰かを書き出す。市場の大半は、実は非顧客です。ここに新しい需要が眠っています。
  2. 満たされていない欲求を言葉にする。その非顧客が、まだ誰にも解決してもらえていない不便・不安・あきらめは何か。顧客の言葉そのままでメモする。
  3. 自社の強みと重ねる。その欲求に対して、自社だからこそ届けられる価値は何かを一つに絞る。あれもこれもは、結局どれも届きません。
  4. 小さく試す。いきなり全社展開せず、一つの商品・一つの地域・一人の担当で試作し、反応を見る。予期せぬ成功が出たら、そこにイノベーションの芽があります。
  5. 仕組みにして繰り返す。うまくいったやり方を、誰がやっても回る手順に落とし込み、組織に定着させる。個人の頑張りを、会社の力に変える段階です。

私がコンサルティングでご一緒したある地方の工務店では、まさにこの手順が効きました。当初は「家を建てたい人」を追って値引き合戦に消耗していたのですが、視点を変え、「古い実家をどうするか決めかねている人」という非顧客に目を向けました。そこで片づけと相続の相談から入る窓口をつくったところ、これまで接点のなかった層から、自然にリフォーム・建て替えの依頼が生まれていったのです。新しく人を採ったわけではありません。今いる社員が、目の前のお客様の不安に一歩先回りするだけで、会社は変わりました。売り込みを強めたのではなく、満たされていない不安に応えた。これが中小企業における「顧客の創造」の実務です。

ここが大企業の経営論と決定的に違うところです。中小企業には、潤沢な採用予算も、大がかりな新規事業部門もありません。だからこそ、「今いる社員で、今ある強みで、目の前の非顧客にどう応えるか」に絞る。ドラッカーの言う「強みの上に築け」は、中小企業においては何より現実的な戦略なのです。

7. 経営は「使命(ミッション)」から始まる

顧客の創造も、マーケティングもイノベーションも、その手前に置くべきものがあります。それが使命(ミッション)です。「われわれの事業は何か」「われわれの事業は何であるべきか」という問いに、自分の言葉で答えること。ここから経営は始まります。

使命とは、自社の存在意義です。何のためにこの会社があり、誰の、どんな幸せに貢献するのか。これが定まると、日々の判断に一本の軸が通ります。逆に、使命があいまいなまま数字だけを追うと、組織はバラバラの方向に力を使い、疲れていきます。

使命を掲げ、人の幸せを中心に考え、人を活かす組織をつくろうと経営者が本気で燃えるとき、経営者としての心の軸、志が定まり、すべてが正しい方向に回り始めます。

8. 松下幸之助・稲盛和夫と比べても、行き着く先は同じ

「顧客の創造」はドラッカーの言葉ですが、日本を代表する経営者の思想と並べてみると、本質が驚くほど重なります。他の経営者の定義とドラッカーを比較しておきましょう。

経営者・思想家 経営の目的のとらえ方 共通する核
ドラッカー 事業の目的は「顧客の創造」。利益は条件であり結果。 人間を中心に置く。利益は目的ではなく、社会と人への貢献の結果。
松下幸之助 企業は社会の公器。人々の生活を物心両面で豊かにすることが使命。
稲盛和夫 全従業員の物心両面の幸福を追求し、あわせて人類・社会に貢献する。

言葉づかいは違っても、三者が指しているものは同じです。経営とは、金を増やすための活動ではなく、人と社会を豊かにするための活動であり、利益はその結果としてついてくる。ドラッカーの「顧客の創造」は、この普遍の考えを、もっとも簡潔に言い当てた定義だと言えます。日本の経営者にとっても、決して遠い異国の理論ではありません。

9. その急所を、続く力に変える — 村瀬式ドラッカー7つの原則

ここで一つ、正直な話をします。冒頭でお伝えした「通説の落とし穴」と「本当の急所」。この急所を頭で分かっても、それだけでは会社は変わりません。ここに、最後にして最大の落とし穴があります。ドラッカーの原著は分厚く、抽象的で、中小企業の現場にそのまま持ち込むと「勉強にはなったが、で、明日何をすれば」で止まってしまう。せっかく急所に気づいても、知識のまま眠らせてしまう。私自身、多くの経営者がそこでつまずくのを見てきました。

そこで私は、難解なドラッカー理論を、中小企業がそのまま現場で使える形に絞り込んで体系化しました。それが「人を活かす経営 7つの原則」です。マーケティング、イノベーション、成果、学習、リーダーシップ、使命、そして人を活かすマネジメント。この記事でお話ししてきた「顧客の創造」「マーケティングとイノベーション」「使命」「人を活かす」は、すべてこの7つの原則の中に、順番と実践手順を伴って収まっています。

単なる理論の要約ではありません。陽明学の「知行合一」——知っていても行わなければ、知らないのと同じ——という人間学を軸に、学びが必ず行動に、そして仕組みに変わるように組み立てています。おかげさまで257社以上に導入いただき、産業能率大学出版部から出した書籍『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』も7刷を重ねました。理屈で終わらせず、経営者の魂に火をつけ、行動が変わる。だから「炎のドラッカー」と呼んでいただくのだと思います。通説では届かない急所を、現場で回る仕組みにまで落とし込む。ここに、一般的なドラッカー解説との、いちばんの違いがあります。

10. 経営の本当の中心にあるもの — 人間中心の経営

ここまで、経営の目的を「顧客の創造」というドラッカーの王道の答えから整理してきました。そのうえで、私がもう一段深くお伝えしたいことがあります。その顧客を創造するのも、価値を生み出すのも、すべて人だということです。

ドラッカーの言葉に「マネジメントとは人のことである」という一節があります。マネジメントとは、人間中心の経営を行うということ。経営の中で何よりも人の幸せを考え抜き、人を活かすことに集中する、という意味です。経営の中心にあるのは、経済活動としての金ではありません。人間の幸せなのです。

ドラッカーが生きた時代、1900年代初頭から2000年にかけては、過酷な時代でした。二度の世界大戦、ホロコースト。多くの人命が、金や思想や経済の名のもとに犠牲になりました。だからこそドラッカーは、経営を、人が自由で民主的に、生き生きと自己実現しながら生きるための手段として位置づけたのです。社会も企業の経済活動も、人の命、人の尊厳より優先されることがあってはならない。これがマネジメントという学問の底に流れる思想です。

私はこのドラッカーの思想を、論語や禅といった東洋の人間学と重ねて読み解いてきました。論語の「己の欲せざる所、人に施すこと勿かれ」も、禅が説く「今ここ」に全身で向き合う姿勢も、行き着くところはドラッカーと同じ、人を人として遇するということです。経営を人間学として捉える。これは、テクニックとしてのマネジメント論とは、立っている地面が違います。

ここで大切なのは、「顧客の創造」という外向きの目的と、「人を活かす」という内向きの目的が、対立しないということです。生き生きと働く社員が、顧客に価値を届け、顧客を創造する。顧客に喜ばれた社員が、さらに成長し、幸せに働く。人を活かすことと、顧客を創造することは、一本の軸でつながっているのです。中小企業にとって、これは理想論ではなく、今いる社員で成果を上げるための、もっとも実際的な道でもあります。

11. 経営者の価値とは、人を幸せにできる組織を創ること

最後に、経営者であるあなたへ。経営の目的を突き詰めていくと、たどり着くのはこの一点です。あなたの価値は、どれだけの人を幸せにできる組織を創ったかにある、ということ。

顧客を創造し、社会に価値を届け、そこで働く社員が誇りを持って生きられる。そんな組織を築いたリーダーとして、あなたの名が刻まれるように。強い志をもって生き抜かれてください。

人間中心の経営の原理原則を学ぶとき、経営の軸が定まり、確固たる意志をもって経営にあたる、さらに成長した経営リーダーであるあなたの姿があることを、私は確信しています。ドラッカーの教えは、あなたの前に開かれています。より深く体系的に学びたい方は、ドラッカー1日セミナーもご用意しています。

ドラッカーを魂から伝える経営コンサルタント 村瀬弘介

まとめ — 経営の目的をどう捉えるか

経営の目的について、要点を整理します。

  1. 経営の目的は「顧客を創造すること」。売上・利益は結果であって目的ではない。
  2. 利益は、事業を続けるための「条件」であり、貢献の度合いを測る「基準」。目的化してはならないが、結果として確実に確保する。
  3. 「経営の目的」「経営理念」「企業理念」「ミッション」は別物。まず言葉を切り分ける。
  4. 顧客を創造する基本機能は「マーケティング」と「イノベーション」の二つ。
  5. 非顧客・満たされていない欲求から出発し、小さく試して仕組みにする。これが実務の顧客創造。
  6. 松下幸之助も稲盛和夫も、行き着く先は人間中心の経営。ドラッカーの定義はその普遍を簡潔に言い当てている。
  7. 顧客を創造するのも価値を生むのも人。経営の中心にあるのは人間の幸せであり、「人を活かす経営」こそが顧客の創造と社員の幸せを一本につなぐ。

経営の目的を、数字の外にある「人」と「顧客」に置き直したとき、経営は驚くほどぶれなくなります。あなたの会社が、人を活かし、顧客を創造し続ける組織へと育っていくことを、心から願っています。

経営の目的に関するよくある質問

Q1. 経営の目的を一言でいうと何ですか。

「顧客を創造すること」です。ドラッカーは、事業の目的として有効な定義は顧客の創造だけだと述べました。売上や利益は、その結果として後からついてくるものです。

Q2. 経営の目的は利益ではないのですか。

利益は目的ではなく、事業を続けるための「条件」であり、正しく経営した「結果」です。利益がなければ会社は存続できませんが、利益そのものを目的にすると、数字至上主義や不正を招き、かえって信用と事業を失います。目的は顧客の創造に置き、利益は結果として確実に確保する、という順番が要です。

Q3. 経営の目的と経営理念はどう違うのですか。

経営の目的は「そもそも何のために事業をするのか」という普遍の答え(顧客の創造)です。経営理念は、その目的や自社の価値観を、実際の経営でどう体現していくかを示した方針・指針です。まず目的とミッションを定め、それを日々の経営で貫くための言葉が経営理念、という関係で整理すると分かりやすくなります。

Q4. 「顧客の創造」と「社員の幸せ」は、どちらが経営の目的ですか。

どちらか一方ではありません。生き生きと働く社員が顧客に価値を届け、顧客を創造する。その喜びが社員をさらに成長させる。この二つは「人を活かす経営」という一本の軸でつながっています。外向きの目的(顧客の創造)と内向きの目的(人を活かす)を統合することが、本質的な経営です。

Q5. 中小企業がまず取り組むべきことは何ですか。

「本当は困っているのに自社を選んでいない人(非顧客)」を書き出すことから始めてください。その人の満たされていない欲求を言葉にし、自社の強みと重ねて一つに絞り、小さく試す。うまくいったやり方を仕組みにして繰り返す。この順番なら、大きな投資をせずに顧客の創造を始められます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
もし、自社の経営にドラッカーをどう活かせばよいか、少しでもお悩みでしたら、ここから先もぜひ読んでみてください。ドラッカーに関心をお持ちの経営者の方への、補足のご案内です。

なぜ、一般的なドラッカーの学び方では経営が変わらないのか

ここまでの「強みを見る視点への切り替え」は、今日からでも実践できます。
ただ、正直にお伝えすると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは、なかなか続きません。
これも、多くの経営者が同じ壁にぶつかるところなんです。

変化のゆるやかだった時代なら、管理職は決められたことを「管理」するだけで十分でした。
けれど、変化の速い今は違います。求められているのは、
経営者であるあなたと視点を合わせ、現場を一丸にして、自ら組織に変化を生み出す「チェンジリーダー」です。
「管理」の技術だけでは、組織は根っこから変わりません。

根本の答えはドラッカーにある。でも“普通のドラッカー”では実践できない

生産性、部下育成、理念の浸透、組織の元気――。
こうした悩みの根っこを解くヒントは、実はそのすべてが、ドラッカーの原理原則の中にあります。
だからこそ、目先の技術を教える一般的な研修ではなく、ドラッカーの本質を学ぶ研修が必要なのです。

とはいえ、ここで多くの方がつまずきます。ドラッカーの原著は、分厚くて、正直とても難しい。
言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは、「難しかった」で終わってしまい、
中小企業の現場ではそのまま使えないのです。

中小企業が“すぐ実践できる”村瀬式ドラッカー7つの原則

そこで私は、この難しいドラッカーの理論を、
中小企業がそのまま現場で使える形に絞り込んで体系化しました。
それが「人を活かす経営 7つの原則」です。おかげさまで257社以上に導入いただき、
産業能率大学出版部から出した書籍も7刷を重ねています。

いちばんの特長は、一度きりの研修で終わらせず、すぐに実践でき、
「仕組み」として組織に定着すること
。
マーケティング、イノベーション、成果、学習、リーダーシップ、使命、人を活かすマネジメント。
この7つを順に根づかせていくと、管理職の一人ひとりが、自然とチェンジリーダーへと育っていきます。

観点 一般的な管理職研修 村瀬式ドラッカー7つの原則研修
育てる人材 組織を管理する管理職 組織に変化を生むチェンジリーダー
分かりやすさ ドラッカーは難解で実践しにくい 中小企業が実践できる、一番わかりやすい形に体系化
定着 一過性で終わりがち すぐ実践でき、仕組みとして組織に定着
伝え方 知識を頭で理解させる 情熱を込め、心から腹落ちさせる
実績 ― 導入257社以上/受講1,520名以上

情熱が、組織に火をつける

多くの研修は、知識を頭で理解させて終わります。
でも私は、ドラッカーが込めた情熱そのままに、心から「腹落ち」していただくことを、何より大切にしています。
その熱量は、YouTubeの講義動画を見ていただければ、きっと伝わるはずです。

これまで受講された社長さんや管理職の方から、
「社長魂に火がついた」「他のセミナーにはない、魂からの感動があった」といった声を、数えきれないほどいただいてきました。
理屈で終わらせない。心を動かす。だからこそ、研修のあとに行動が変わり、組織に火がつくのです。

経営の軸が定まれば、組織そのものが変わっていく

一人の管理職が変われば、そのチームが変わります。チームが変われば、次の幹部候補が育つ。
そうやって、組織全体が確実に変わっていきます。
これが、一般的なドラッカー研修と、村瀬式ドラッカー「7つの原則」研修との、決定的な違いです。


ドラッカー7つの原則研修

「まずは本を読んでから」という経営者の方も、たくさんいらっしゃいます。
産業能率大学出版部『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(7刷)も、どうぞ手に取ってみてください。
そのうえで、貴社の経営や組織づくりのお悩みに合わせたご相談も、いつでもお受けしています。
大丈夫です。一緒に、その一歩を考えていきましょう。まずはお気軽にお問い合わせください。


著者:村瀬 弘介(むらせ こうすけ)/経営コンサルタント・著者

ドラッカー学会員。中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した
「村瀬式ドラッカー・人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者延べ1,520名以上。
著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。
ジャズ音楽家としての感性と、陽明学・論語・禅などの人間学をドラッカーに融合させた独自の講義は「炎のドラッカー」と評され、
組織に火をつけ、管理職をチェンジリーダーに進化させる研修に定評がある。

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