ドラッカーは言います。
「成果をあげるものは仕事からスタートしない。時間からスタートする。
時間が最重要な資源であることを知っている。」
すべての人に平等の与えられているものが時間です。
時間をどのように生産的に使うかということが成果を上げるにはかかせません。
時間を3つの概念にわけて考えると非常に捉えやすくなります。
【1】現状維持の時間(ルーティン)
【2】問題解決の時間
【3】機会追及の時間
【1】現状維持の時間とは、日々の中でのルーティンや現業務の成果を追及する時間で、事業には不可欠な時間です。
【2】問題解決の時間
例えば、会社でコピー機がこわれたとします。そうするとどうでしょうか、周囲の人がどうしたどうしたと集まってきて、トナーを変えてみようとか、電源を入れなおしてみようとかいろいろやるわけです。
そして治らなければ、結局コピーメンテナンス会社に電話をして1時間くらいで修理完了。一見落着となりますね。
しかし考えてみて下さい。問題解決に多くの労力を費やしても得られるのは以前と同じ光景だけなのです。つまり現状復帰以上のものは何も得られないのです。
【3】機会追及の時間
これは事業の未来に対して使う時間を言います。戦略をたてたり、事業計画を練ったり、新商品のアイデアを模索したり、まさに事業の将来の種まきの時間。事業の未来を創るための重要な時間です。
ドラッカーは言います。
経営者は事業の未来についてより考察する必要がある。
まさにこの事業の未来について考察する時間が、この機会追及の時間です。
【1】の現事業の成果を上げることは必要に迫られるので、ほっておいても時間は割けますが、この【3】の時間は意識して確保しないといつのまにか【1】現事業【2】問題解決に追われて場当たり的な経営になっていたなどということがよくあります。
よって【3】の時間は計画的に、一人になれる場所で行ってみたり、私のようなコンサルタントをコーチとして毎月決まった時間を割いて頂いたりと、意図的にとるようにしてみて下さい。
ドラッカーは言います。
マネジメントは事業の現在と未来のバランスをとる必要がある。
事業の未来についてじっくりと機会を考察している企業こそが、明日への扉をひらくことができるのです。
この記事でまとめたこと
■現場のアクションプラン
【1】自分の一週間を、三つの時間に色分けしてみる
一週間の予定を振り返り、現状維持(ルーティン)、問題解決、機会追及の三色で塗り分けてみる。多くの社長さんは、未来をつくる機会追及の時間が、驚くほど少ないことに気づきます。事実で自分の時間を見ることが第一歩です。
【2】機会追及の時間を、先に予定表へ書き込む
未来を考える時間は、空いたときには決してやってきません。「毎週水曜の朝は、事業の未来を考える時間」と、先に予定表へ固定してしまう。会議や雑務は、その周りに寄せていきます。
【3】問題解決に、時間をかけすぎない仕組みをつくる
壊れたコピー機を全員で囲むような時間は、思い切って外部や担当者に任せる。問題解決はどれだけ頑張っても現状復帰止まりです。かける労力を最小限にし、その分を未来へ回しましょう。
■成果につながる方法とそうでない方法
| 成果につながる方法 | 成果につながらない方法 |
|---|---|
| 未来を考える時間を先に確保する | 空いた時間で考えようとする |
| 機会追及に意図的に時間を割く | 目の前の問題対応に追われ続ける |
| 現在と未来のバランスをとる | 現在の業務だけで一日が終わる |
| 問題解決の労力を最小限にする | 問題解決に力を注ぎ満足する |
| 一人になれる場所で考える | 場当たり的に一日を過ごす |
■経営者へのメッセージ
社長というお仕事は、放っておいても目の前の用事で埋まっていきます。電話が鳴り、社員が相談に来て、トラブルが起きる。気づけば夕方で、「今日も一日、走り回っただけだった」と感じる。そんな日が続いていないでしょうか。
けれど、その忙しさの中身をよく見ると、多くは現状維持と問題解決です。どちらも大切ですが、どれだけ頑張っても、会社を今より前へは進めてくれません。問題解決で得られるのは、壊れる前の光景に戻ることだけなのですから。
会社の未来をつくれるのは、機会追及の時間だけです。そしてこの時間は、意識して守らなければ、日々の忙しさにすぐ飲み込まれてしまいます。だからこそ、あなた自身が予定表に「未来を考える時間」を先に書き込んでほしいのです。
一日十五分でも構いません。静かな場所で、半年後、一年後の会社を思い描く。その小さな習慣が、明日への扉を開く鍵になります。焦らず、まずは今週から始めてみてください。
■参考にしたい時間管理に関する名言
「時間は最も乏しい資源である。それが管理できなければ、他の何ものも管理できない。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
「成果をあげる者は、仕事からではなく時間からスタートする。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。」
── ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
「未来のために、いま何を行うべきかを考えなければならない。未来は明日つくるものではない。今日つくるものである。」
── ピーター・ドラッカー『創造する経営者』
「今日の成果は、過去において行われた意思決定の結果である。」
── ピーター・ドラッカー『マネジメント』
■クライアントの実践事例
そこで、毎月一度、私との定例の時間を「未来を考える時間」として予定表に固定していただきました。その二時間だけは、目の前の工事の話は一切せず、三年後の会社をどうしたいかだけを話し合ったのです。最初は落ち着かない様子でした。
半年ほど続けると、社長さんの中に、若手を育てて現場を任せていく道筋が見えてきました。自分がいなくても回る仕組みづくりに、少しずつ時間を使えるようになったのです。
一年後、E社は新しい分野の工事にも手を広げ始めました。「あの二時間がなかったら、今も現場を走り回るだけだった」と、社長さんは笑って話してくれました。
■時間管理に関してよくある質問と実践へのアドバイス
Q. 機会追及の時間が大事なのは分かりますが、現実にそんな余裕はありません。
A. 多くの社長さんが同じことをおっしゃいます。だからこそ、余裕ができてから取るのではなく、先に予定表へ書き込んでしまうのです。まずは週に十五分から。空いた時間を待っていては、その時間は永遠にやってきません。
Q. 問題解決も大事な仕事ではないのですか。
A. もちろん大切です。ただ、問題解決で得られるのは「元に戻る」ことまでで、会社を前へ進めてはくれません。ですから、問題解決はできるだけ手早く、仕組みや担当者に任せて済ませ、浮いた力を未来へ回すという発想が大事なのです。
Q. 一人で未来を考えようとしても、つい目の前の仕事が気になってしまいます。
A. それは自然なことです。だからこそ、場所を変えるのが効きます。会社の外のカフェや、朝の誰もいない事務所など、日常の用事が目に入らない場所へ移る。環境を変えるだけで、頭は驚くほど未来に向きやすくなります。
Q. 未来を考える時間で、まず何から手をつければいいでしょうか。
A. 難しく考えず、「三年後、この会社をどうなっていたいか」を一つ、紙に書き出すことから始めてください。そこから逆算して、今できる一歩を考える。壮大な計画でなくて構いません。書くこと自体が、未来をつくる第一歩です。
なぜ、今の管理職研修だけでは組織は変わらないのか
ここまでお伝えしてきた考え方や実践法は、確かに組織を変える力を持っています。ただ、正直に申し上げると、個人の工夫や一度きりの研修だけでは長続きしないことも多いのです。担当者が代われば元に戻り、忙しくなればまた元のやり方に引き戻される。そんな会社を、私は数多く見てきました。
変化の遅い時代は、決められたことを回す「管理する管理職」でよかった。しかし今、求められているのは、経営者と視点を合わせ、一丸となって組織に変化を生み出すチェンジリーダーです。生産性、部下育成、理念の浸透——管理職が抱える課題の根本を解くヒントは、すべてドラッカーにあります。だからこそ、普通の管理職研修ではなく、ドラッカーを学ぶ研修が必要なのです。
難解なドラッカー理論を、中小企業がすぐ実践できる「仕組み」に
とはいえ、ドラッカーは難解です。言葉を抽象的に学ぶだけの研修やセミナーは「難しいだけ」で終わり、中小企業の現場では使えないことがほとんどです。
そこで村瀬弘介は、ドラッカーの理論を、中小企業がそのまま実践できる形に体系化しました。それが「村瀬式・ドラッカー7つの原則」です。導入企業は257社以上、土台となる書籍(産業能率大学出版部)は7刷のロングセラーになっています。
「分かる」だけでなく「腹落ちする」研修
知識を詰め込むだけの研修とは違います。受講した社長・管理職の方が、その場で自社の課題に置き換え、「明日、これをやろう」と動き出す。情熱と感動を伴い、心から腹落ちする——それが村瀬式の研修です。これまでの受講実績は1,520名以上。「社長の魂に火がつく」と言っていただくことも少なくありません。
管理職が育てば、組織そのものが変わっていく
一人の管理職が変われば、チームが変わります。チームが変われば、次世代の幹部が育ちます。そして組織全体が、自ら成果を生み出す集団へと変わっていく。管理職研修・社員教育は、その変化の連鎖の起点です。
ドラッカーの原理原則を組織に導入し、成果に集中する強い組織をつくる。それが、村瀬式・ドラッカーの管理職研修です。対象は経営者・経営幹部・上級管理職・マネージャー。社長の判断軸づくり、経営チームの育成、管理職のリーダーシップ向上を、コンサルティングと研修を組み合わせて実現します。
貴社の管理職研修・人材育成の課題に合わせたご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。研修の詳細はこちらのページをご覧ください。
ブログ執筆者:ドラッカー専門の経営コンサルタント 村瀬弘介
中小企業向けに、難解なドラッカー理論を「そのまま実践できる仕組み」へと体系化した「村瀬式・ドラッカー 人を活かす経営7つの原則」を提唱。導入企業257社以上、受講者1,520名以上。全国の商工会議所・経営者団体などでのセミナー講師、上場企業・中堅企業での研修講師を年間200日以上務める。著書『ドラッカーが教えてくれる 人を活かす経営7つの原則』(産業能率大学出版部)は7刷を重ねるロングセラー。「情熱的でドラッカー愛に溢れる講義は、まるでドラッカーのイタコだ」と支持する経営者が後を絶たない。


